【ICO】ビットコインやイーサリアムを起源とするICOとは?

目次

    ビットコイン(Bitcoin)・イーサリアム(Ethereum)等の暗号通貨/仮想通貨の名前を一般的にも耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。デジタル通貨(トークン)を活用した新しい資金調達の形である「ICO」は、グローバルでは2013年が起源と言われており、2017年に入って一気に加速しました。

    本章では「ICOとは何か?」をテーマにし、他資金調達方法との違いにも触れながら、起源や歴史について振り返ってみたいと思います。全2章「トークナイゼーション」についてはこちらから。

    ICOとは?

    ICOは「Initial(最初の)Coin(コイン) Offering(売り物)」の略称で、新規公開株IPO(Initial Public Offering)になぞらえてICOと呼ばれています。広義的に「暗号通貨(仮想通貨/トークン)を発行し、資金調達を行うこと」を意味します。

    投資家にとってICOは、取引所上場前に暗号通貨/仮想通貨/トークン/コインを入手できるチャンスで、上場後イグジット(売却)によってキャピタルゲイン(売買差益)を得ることも可能になります。ICO時に設定されたトークンの値段より、上場後高い値段で売却ができれば利益に、反面価格が下がった場合は当然資産が減ることになります。

    ICOとは...

    • 暗号通貨/仮想通貨/トークン/コインを発行し、発行側が資金調達を行うこと
    • 英語ではよくクラウドセール/プレセール/トークンセールとも呼ばれる

    「ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング/新規仮想通貨公開)とは、資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨を発行/販売し、資金を調達する手段/プロセスのことを指します。投資家には「コイン」や「トークン」と呼ばれるデジタル通貨(資産)を購入してもらい、原則として対価は支払われません。別名「クルドセール」や「プリセール」、「トークンセール」などとも呼ばれ、株式を利用した従来の方法(IPO:新規株式公開)以外の資金調達手段として注目を集めています。」

    (ICOとは何か? / https://www.sbbit.jp/article/cont1/34094 より引用)

    「IPOとは、Initial Public Offeringの略で、新規公開株のことです。これは具体的には、企業が資金集めをする際に、一般の投資家に向けて自社の株を売り出すことで株に保有させることを指します。未上場だった企業が、新規に株式上場をし、上場前に株主が保有していた株式を売り出すことからInitial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)と呼ばれています。」

    (IPOとは / https://boxil.jp/mag/a3112/ より引用)

    他の資金調達方法との違い(メリット/デメリット)

    通常企業が資金調達を行う場合、従来の形式は「デットファイナンス」と「エクイティファイナンス」に二分されます。デットは(debt:負債)、エクイティは(equity:株主資本)を意味します。2つの大きな違いは「返済義務の有無(投資家視点では元本保証の有無)」です。

    • デット・ファイナンス(要返済):金融機関や投資家から借入を行い、負債として資金を調達する
    • エクイティ・ファイナンス(返済不要):株式発行など、資本として資金調達をする

    ICOはインターネット等を介して資金調達を行うため、デット/エクイティファイナンスとは違い、調達側は比較的自由に資金を調達することが可能です。その反面、投資家側はリスクを伴うため注意を払い投資を判断する必要があります。各国の法規制や法整備が追いついていないからです。日本でも2017年10月27日金融庁が注意喚起を促す文書を公表しました。

    「ICO(Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~ 」

    ICOのメリット(デット/エクイティファイナンスとの違い)

    • 調達側:利子の支払いが原則ない(デッドファイナンスとの違い)
    • 調達側:配当を支払う必要がない(エクイティファイナンスとの違い)
    • 調達側:株式発行による議決権を渡す必要がない(エクイティファイナンスとの違い)
    • 調達側:比較的多額の資金調達を行いやすい
    • 調達側:少人数プロジェクトや個人でも実施可能/事業価値の提示がゆるい
    • 調達側:インターネットを用い世界中の投資家相手から資金調達が可能
    • 投資家側:殆どがスタートアップ企業やプロジェクトなのでハイリターンを狙いやすい
    • 投資家側:インターネット上で払い込みが完結可能/小額から投資可能
    • 投資家側:取引所やDEX上場後であればいつでも売却(イグジット)可能

    ICOのデメリット(デット/エクイティファイナンスとの違い)

    • 調達側:ブロックチェーンやプログラミングに関する技術力が必要
    • 調達側:プログラミングにバグがあった場合ハッキングリスクがある
    • 投資家側:値動きが激しいためハイリスク

    下記は、ICOとエクイティファイナンス、双方について言えることです。

    「また、投資家やVC側にもメリットはあります。通常、投資家がスタートアップや新興企業へ投資する場合、配当ではなく、成長性に期待して出資が行われます。特に創業期に近ければ近いほど、ハイリスクではありますが、その後のリターンを見込むことができるのです。また、ICOであれば、議決権が付与されないため、経営者も経営に関与されるリスクが極めて低く、早い段階から出資できる点が魅力と言えるでしょう。」

    https://www.sbbit.jp/article/cont1/34094 より引用)

    ICOの起源/歴史

    2009年に最初のビットコインが発行され運用が開始されました。これが暗号通貨/仮想通貨の起源です。その後2013年、J.R. Willett氏がビットコインプロトコルを応用したMastercoin(現Omni)を開始し、初のICOを実施しました。

    (J.R. Willett氏 https://www.linkedin.com/in/jrwillett/ / 写真はhttps://www.forbes.com/sites/laurashin/2017/09/21/heres-the-man-who-created-icos-and-this-is-the-new-token-hes-backing/#412217b11839 より引用)

    「ビットコインはサトシ・ナカモト[8][9] (Satoshi Nakamoto) を名乗る人物によって投稿された論文[10]に基づき、2009年に運用が開始された[11]。」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3 より引用)

    主要ICO事例や経緯

    • 2009年:初のビットコインが発行され運用開始
    • 2013年7月:Mastercoinが初のICO実施
    • 2014年7月:Ehereum ICO実施(約31,500BTC調達/当時約16億円相当)
    • 2015年8月:Auger ICO実施(当時約6億円相当調達)→2016年10月トークン配布
    • 2016年5月:DAO ICO実施(当時約150億円相当調達)→約65億円相当が盗まれる
    • 2017年6月:Bancor ICO実施(当時約167億円相当調達)

    初の大型ICOとしてクラウドセール/プレセールを成功に収めたのがイーサリアムです。開始後12時間で3,700BTC/当時約2400万円相当を調達し、最終的には42日間で約31,500BTC/当時約16億円相当を調達しました。このイーサリアムのプレセールでは、購入者が指定されたビットコインアドレスへBTCを送金し、後日ETHが付与されるスキームで行われました。

    <イーサリアム開発者ビタリックの当時の投稿>

    https://blog.ethereum.org/2014/07/22/launching-the-ether-sale/

    <イーサリアムICO時に使用されたBTCアドレス>

    https://blockchain.info/address/36PrZ1KHYMpqSyAQXSG8VwbUiq2EogxLo2

     

    月間ICO調達額(2014年1月-2017年10月/coindesk調べ)

    https://www.coindesk.com/ico-tracker/ より引用)

     

    ICO調達累積額の推移(2014年2月-2017年10月/coindesk調べ)

    https://www.coindesk.com/ico-tracker/ より引用)

    上図Coindeskの集計データに寄ると、2016年5月DAOのICOを起点にその後落ち着き、2017年5月以降、累積額が一気に増加しているのが見て取れます。2014年2月〜2017年11月6日までに行われたICOで、総額約35.18億ドル/約3950億円相当が確認できますが、カウントされていないICOを勘案すると、これ以上の金額になると推定されます。

    ICOの仕組みや流れ

    企業やプロジェクトがICOを行う際のプロセスは、下記①〜④に大分されるでしょう。

    自社HPやmedium等の自社ブログ上で発表される進捗や提携ニュースは、投資家サイドへ適切な情報開示を行う上で重要です。また資金調達側も、マーケティングやPRを行う上で計画的に実施されることが適切と考えられます。

    ① 資金調達側が事業概要や進捗状況を随時公開

    • 事業概要:プロジェクトミッション、ビジネスモデル、ロードマップ、トークンデザインの定義(ホワイトペーパーと呼ばれる定義書を公開)
    • PR&マーケティング:HPやブログ上で進捗や提携ニュースの発表

    ② ICO概要発表(プレセール・メインセールの概要)

    • 期間:約1ヶ月で設定される場合が多い
    • トークン配布総量:総発行量の内、ICO売却分の数量
    • 交換レート:1トークン=xxETH等の定義
    • 調達上限:ハードキャップ
    • トークン配布方法:コントラクトで自動的にトークン付与、または事後付与
    • PR&マーケティング:HPやブログ上で進捗や提携ニュースの発表
    • プレセールの有無等

    ③ ICO実施期間中

    • PR&マーケティング:HPやブログ上で進捗や提携ニュースの発表

    ④ ICO終了〜終了後

    • トークンセールの結果を公表
    • 取引所上場に関する情報を公表

    2015年はAugerのように、先に資金調達を行いトークン付与が事後になるケースもありましたが、2016年5月DAOトークンICOが実施された頃から、投資家はETHを特定のアドレスへ送金すると、スマートコントラクトで自動的にトークンを受け取ることが可能になりました。

    ICOが向かう先は?期待と懸念

    ICOによる資金調達は2017年に入り一気に加速し、多数のプロジェクトが大型資金調達を成功させました。しかしその自由さゆえ、各国の行政機関が警鐘を鳴らし規制を強め、2017年11月現在ようやく本来の落ち着きを取り戻していると感じられます。

    資金調達の方法としての「ICO」は、今後然るべき形で規制や整備を受け、資金調達側と投資家側の双方を保護する形で成熟していくでしょう。ここで注目すべきは、単なる資金調達方法としての「ICO」ではなく「トークン」という新しい価値の形式です。

    当たり前のように全ての情報がデータ化されて行く中、中央機関の介入なく資産や価値が担保された「トークン」というシームレスなデータ化が可能になりました。suicaや企業ポイントといった閉じた形の価値ではなく、世界中で取引や決済に利用可能なビットコインやイーサリアムがその価値と利便性を証明し続けています。

    次章では、この「あらゆる資産のトークン化」が加速することの意味について解説していきます。2章「トークナイゼーション(Tokenization)とは?」をお楽しみに!!

    コメントする

    メールアドレスが公開されることはありません。