【ICO】を起点とした価値のトークナイゼーションとは?

目次

     

    前回の記事では「ICO」について解説しました。ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)をはじめとした暗号通貨の誕生、それから「ICO」という新しい資金調達の形が浸透することによって、ここ日本でも暗号通貨/仮想通貨/トークンという言葉が徐々に身近になってきています。新規の暗号通貨/仮想通貨/トークンが発行されることは、様々な価値が「トークン化(電子データに代替化)」されることを意味しています。

    本章では、「トークン化=トークナイゼーション(Tokenization)」をキーワードに掲げ、単なるトークン化ではなく、暗号通貨がもたらした「価値のトークナイゼーション」が起きた背景・トークン化の仕組みや利便性について解説を行います。

    トークナイゼーション(Tokenization)とは?

    トークナイゼーション(Tokenization)とは、直訳すると「トークン化する」ことです。

    トークンは、「代用貨幣」という意味や、プログラミング上のソースコードを構成する単位要素として用いられたり、様々な意味を持ちます。

    企業がクレジットカード情報など機密情報を扱う際に活用されている、利便性の高いセキュリティ対策技術のことも、トークナイゼーション(Tokenization)と呼ばれています。この場合は、機密情報を意味のない文字列などの代理データに置き換えることです。

    「新しいデータ保護技術として欧米で注目を集めているのが『トークナイゼーション』である。辞書通りの意味は『トークン(代用券)化する』ということ。セキュリティ対策の文脈では、トークンを『意味のない数列』あるいは『引換券』の意味で使う。クレジットカードのセキュリティ対策基準を発行する団体『PCI SSC』は、トークナイゼーションでクレジットカード情報の保護を大幅に強化できると見ている。」

    http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20101119/354343/?rt=nocnt より引用)

    総じて「トークナイゼーション(Tokenization)とは、代用貨幣や代理データに置き換えること」と表現できそうです。その中で本記事では、主にビットコインやイーサリアムに代表される暗号通貨としてのトークンに焦点を当て、「価値のトークナイゼーション」という新しい概念を定義して論じていきます。

    トークナイゼーション(Tokenization)とは...

    • 価値のトークナイゼーション(Tokenization):ビットコインやイーサリアム等の暗号通貨をはじめとした価値を代替する「デジタルトークン」によって、価値/資産をトークン化し、非中央集権的に「シームレスな価値移動」を可能にすること
    • 情報を「トークン」と呼ばれる代理データに置き換えること。(例:機密情報のトークン化)

    価値のトークナイゼーション(Tokenization)が起きた背景

    2009年にブロックチェーン(分散型台帳システム)が初めて構築され、ビットコインが誕生しました。このビットコインやイーサリアム等の暗号通貨は、中央機関の介入なく、プロトコル・発行上限・マイニング・コンピュータによる相互監視のネットワークパワーで、その価値を担保し国境に捉われないシームレスな価値移動を可能にしました。

    もともと「お金」の概念は、貝殻や金銀に始まり、現在は紙幣等の不換紙幣/法定通貨が主流です。この法定通貨の価値は「国家の信用力」によって成立しています。日本の場合、中央銀行である日本銀行が発行している紙幣や硬貨は、日本国力が世界から信用されているため価値が安定していますが、万が一、日本の財政や経済が破綻した場合は「ハイパーインフレ」が起こり、一万円は紙切れ同然の価値しか持たなくなります。

    実際に政治情勢の悪化や景気後退を原因にハイパーインフレが発生した国家は、歴史を遡ると多数確認できます。最近ではジンバブエ、ベネズエラ、ギリシャの金融危機が報じられました。銀行口座の預金が封鎖され、銀行に駆け寄る人々のニュースが記憶に残っている方も多いかもしれません。現在GDP世界3位の日本における財政破綻は当面起こり得ないと推測できますが、他の国の通貨価値の破綻は今でも実際に起きており、日本でも過去には戦後1945年〜1949年までで約70倍のハイパーインフレが起きました。

    「仮想通貨」と、円やドルといった「法定通貨」とは、何が違うのでしょうか。最大の違いは、中央銀行が発行する法定通貨には国家による信用や国力というような裏付けがありますが、仮想通貨にはありません。例えば、資源価格が上がりますと、資源国であるブラジルやオーストラリアなどの通貨が上昇しますが、それは通貨に「国力」という裏付けがあるからです。国力とは、その国の軍事力、経済力、技術力、資源、人口などを総合したものです。その国力によって、為替レートが変動します。一方で、国の裏付けがない仮想通貨の相場がなぜ上がったり下がったりするのかというと、理由は「需給」だけなのです。各仮想通貨には発行の限度額がありますが、あくまでもその時点での需給で価値が決まるのです。

    http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/101100022/ より引用)

    ジンバブエ・ドル、ついに廃止 壮絶なインフレで300000000000000ドル=1円。財政赤字を埋め合わせるために、中央銀行が政府に求められるがままに紙幣を印刷した結果、ジンバブエでは2008年に5000億%のインフレになった。

    [caption id="attachment_3258" align="alignnone" width="630"] A child poses with wads of Zimbabwean dollar notes begged on the streets of Harare Tuesday, Feb. 19, 2008. The official rate of annual inflation in Zimbabwe rocketed past the 100,000 percent barrier, by far the highest in the world, the state central statistical office said Thursday Feb 21, 2008. (AP Photo)[/caption]

    (2015年06月14日記事/http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/12/zimbabwe-dollar_n_7574706.html より引用)

    こうした国単位の通貨という枠に収まらない新しい価値の形として誕生したビットコインは、国家の通貨危機とも分けて考えることができます。自分以外の誰にも管理されず、中央機関を介さない価値移動の革新性と可能性を支持した潜在的な分散主義者達は、「初期ビットコインコミュニティ」を形成しました。

    暗号通貨(トークン)による価値移動=送金における利便性

    • シームレス:文字列から成る送信先アドレスで世界中どこにでも送金可能(銀行海外送金手続は煩雑)
    • 手数料:数百円(銀行海外送金は3000-6000円程)
    • スピード:数秒〜数時間(銀行海外送金は半日〜祝日挟むと数日)

    暗号通貨(トークン)による価値移動=送金における安全性

    • トレーサビリティ:ブロックチェーン上の記録は消えず永続的に追跡可能
    • 自己管理:ウォレット選定/秘密鍵の管理を怠らなければハッキングによる盗難は有り得ない

    ビットコイン&ブロックチェーン創成期から開発に携わっていた開発者や資産家は、上記の利便性と安全性にいち早く気付き、潜在的な価値を見出したと考えられます。為替や株式等の既存金融マーケットや、各国家間で区切られた既存の経済圏とは別に、このシームレスな暗号通貨(トークン)によって新しい経済圏を築くことが可能だと考えたのでしょう。ビットコイン&ブロックチェーン自体、中央集権的な社会構造に嫌気がさしていた人々の潜在的な共通意識が成し遂げた「分散型社会組成への挑戦」と表現できます。

    価値移動における潜在ニーズの顕在化要素(分散型社会への挑戦)

    • 国家や銀行等の中央機関へ不信を抱く人々
    • 従来の送金システム(煩雑且つ手数料が高い)
    • シームレスな暗号通貨(トークン)による新しい経済圏構築を期待

    更に頻発して行われたICO(前章の記事参照)が数々のトークンを生み出しました。取引所上場後に何十倍もの値段をつけたビットコインやイーアリアム。この「ICO連発」と「キャピタルゲイン」による「投機サイクル」が、価値のトークナイゼーションを加速させたと考察できます。

    価値のトークナイゼーション(Tokenization)組成〜加速経緯

    • ビットコインの誕生→シームレスな価値移動が誕生
    • 潜在ニーズの顕在化(効率&利便性:簡単自由に価値移動を行いたい&従来の送金手数料高すぎる / 安全性:銀行や国家等の中央集権機関はそもそも信用できるのか)
    • 潜在ニーズを抱く新しい経済圏を求める人々(Who?=初期ビットコインコミュニティ)→コミュニティ形成
    • ICOや上場後投機が後押しし、トークナイゼーションが加速

    暗号通貨(トークン)の送金/安全性の仕組み

    では技術的にトークン送金の仕組みや、安全性の仕組みをみていきましょう。

    ビットコインやイーサリアムベースのトークンに代表される暗号通貨(トークン)は、送り先のアドレスさえあれば、全世界中に送金することが可能です。

    特にイーサリアムでは「ERC20」という規格に準拠し発行されたトークンであれば、一つのイーサリアムアドレス/ウォレットで様々なトークンの送受信が可能です。11月30日(木)現在、https://etherscan.io/tokens に上がっているトークンだけでも49種類確認できます。

    ERC20に準拠した暗号通貨(トークン)の一部

    • Ethereum(ETH)
    • AirSwap(AST)
    • Bancor(BNT)
    • BlockMason Credit Protocol (BCPT)
    • Grid+ (GRID)
    • Basic Attention Token(BAT)
    • Augur (REP)

    「通常、ウォレットと呼ばれるものは、1種類の通貨しか保持できませんよね。例えばBTCのウォレットアドレスにETHを送金すると、消し飛んでなくなってしまうかもしれません。しかしこのERC20という規格に対応したイーサリアムウォレットであれば、ERC20に準拠した基軸通貨ETHの「トークン」と呼ばれるものを何種類も保管することができます。」

    http://eiking.asia/article/2017/10/6457/#ERC20 より引用)

    ERC20トークン管理ウォレット

    暗号通貨(トークン)は、wallet to wallet で仲介者を経由することなく直接送金が実施されます。こうした送金されたトークンの送信履歴は、誰でも何時でもエクスプローラーサイトで調べることが出来ます。ビットコインはhttps://blockchain.info/、イーサリアムベースのERC20トークンは全てhttps://etherscan.io/で検索閲覧可能です。

    また全ての取引履歴はブロックチェーン上に記録され、履歴の改ざんや消失は現実的に起こり得ません。詳しく知りたい方は右記サイトhttps://my-ether.net/defensive/http://orekabu.jp/bitcoin-structure/を参照されると良いでしょう。

    トークン送信(送金)の仕組み

    • アドレス(文字列)のみで送金が可能。
    • P2P(Peer-to-peer)技術と、公開鍵暗号などの暗号技術で直接送金

    「Bitcoinは、銀行のような中央を経由せず、直接、1対1で通貨のようなものを取引できる仕組みである。これはつまり、サーバー・クライアントモデルに基づいた信用によらず、取引ができるということである。この仕組みは、P2P(Peer-to-peer)技術と、公開鍵暗号などの暗号技術を用いて実現されている。このような「通貨」は、Bitcoinによってはじめて実現されたが、現在、同様の仕組みを用いた通貨は、Bitcoinの他にも多数存在する。(Bitcoinの歴史Bitcoinの派生通貨)これらをまとめて、「暗号通貨」(Cryptocurrency; クリプト・カレンシー)と呼ぶ。」

    http://bitcoin.peryaudo.org/design.html より引用)

    「ブロックと呼ばれる各やり取りはすべて暗号化し、時刻情報を付与し、ほかのブロックと鎖(チェーン)状に連結して管理する。ブロックチェーンに記録された情報の改変は不可能で、真正性が保証される。」

    https://japan.cnet.com/article/35110762/ より引用)

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