【DEXとは】イーサリアムベースの仮想通貨取引システム(分散型取引所)

目次

    この記事では、異なる暗号通貨(Bitcoin:ビットコイン、Ethereum:イーサリアムなど)を取引する上で現在、主に使われているセントライズ(中央集権)型取引所(日本では主にBitflyer,Coincheck、海外ではPoloniex:ポロニエックス,Bitfinex:ビットフィネックス等、過去にハッキングにより破綻してニュースになったMt.Gox:マウントゴックス)と、対照的な特徴を持つDEX(分散型取引所)について解説します。

    DEXとは?

    DEXの定義:DEXとは、第三者の関与なしでp2pトレードを可能にする取引システム

    DEXとは「decentralized(分散型) exchanges(取引所)」の略で、第三者の組織に資産を預けず、ユーザー間で直接取引を行う(p2p)ことを可能にする次世代の仮想通貨/暗号通貨取引所システムです。主にイーサリアム(Ethereum)ベースのERC20トークンを売買する際に使用されます。

    DEXは様々な種類があり、ほとんどのプロセスにおいて分散型システムを取り入れているもの、プロセスのスピードをあげるために一部セントライズ型システムを取り入れているものなどがあります。

    DEXは主に3つの要素から構成されています。

    1. オン・チェーン上での取引処理
    2. ユーザーによる資産管理権の維持
    3. 分散化されたオーダーブック(注文板)

    このDEXシステムはユーザーが自身の資金を預金し、取引所がプラットフォーム上で自由に取引できるIOU(借用証書)を発行するセントライズ型と対照的なものです。セントライズ型取引所ではユーザーが資金の引き出しを求めると、IOUはそれらが表す暗号通貨に変換され所有者に送られます。

    「This system contrasts with the current centralized model in which users deposit their funds and the exchange issues an IOU that can be freely traded on the platform. When a user asks to withdraw his funds, these are converted back into the cryptocurrency they represent and sent to their owner. 」

    (https://www.cryptocompare.com/exchanges/guides/what-is-a-decentralized-exchange/

    より引用)

    DEX(分散型取引所)とは…

    • 第三者に資産を預けることなく、ユーザーが直接取引できる取引所
    • 顧客が自身の資金を預金するセントライズ型取引所とは相反するものである

    DEXのメリット(セントライズ型取引所との比較)

    DEX(分散型取引所)のメリット

    ・信用性

    資産を預ける必要が無い=>取引所を信用する必要も無い(持ち逃げ、ハッキング)=>ブロックチェーンの特徴である"Trustless"natureの実現。DEXでは資産を第三者に預金せず、個人のウォレット間での直接的な取引を可能にします。自身で資産と秘密鍵を管理する為、取引所の安全性、誠実性を信用する必要がなくなり、ブロックチェーンの特性である”Trustless” natureを実現することができます。

    ・ダウンタイムが起こるリスク

    システム全体が各ノードに分散されているため、セントライズ型取引所システムと違い、ダウンタイムが起こるリスクがありません。

    ・個人情報

    スマートコントラクトにより不必要に個人情報を開示する必要性がなくなります。スマートコントラクトによりDEXのユーザーは、取引相手に必要最低限の個人情報のみ(ウォレットのアドレスなど)を開示するだけで取引を実行できます。

    ・透明性の実現

    DEXはユーザーに資産管理権があり、取引所も初めからプログラムされたスマートコントラクトを基に動くため透明性が高いと言えます。これに比べ、現在の金融機関は顧客の資金をどのように運用しているかユーザーは知る方法がなく、透明性が高いとは言えない状態です。そのため将来的にはDEXの「安全性・透明性」の高いブロックチェーンベースのシステムを金融機関に適用することが好ましい考えられます。

    ・マイナートークンの取引ほとんどのセントライズ型はICOが終了し一般公開されたばかりのトークンの取り扱い、ハードフォークによって生まれたコインの配布を行いません。しかし、DEXは取扱銘柄が非常に多く、ハードフォーク時もウォレットを自身で管理する為、確実にトークンが付与されます。

    セントライズ型取引所のデメリット

    ・ハッキングに対する脆弱性

    ハッキングされると、取引所に資産を預金している全員の資産、個人情報が危険に晒されます。

    ・ダウンタイムが起こるリスク

    分散化されていないため、極度にアクセスや取引が集中した場合など、ダウンタイムが起こるリスクがあります。

    ・信用性、透明性における問題

    資金管理権がユーザーにない為、取引所を信用する必要性があり、透明性にも欠けます。

    DEXのデメリット(セントライズ型取引所との比較)

    DEX(分散型取引所)のデメリット

    ・流動性問題

    DEXは現時点では、ユーザビリティ(使いやすさ)が低く未熟なため、取引ユーザーの主流派/多数派を獲得できておらず、リクイディティ(流動性)の乏しさに繋がっています。

    現在Etherdelta等のDEXでは、上述の通りトレーダーやマーケットメーカーの絶対数が少なく、流動性が低いため、価格変動が激しい状態が続いています。Bancor Protocolはスマートトークンにより、流動性リスクを取り除くシステムを構築しています。また、AirSwapなどのプロジェクトでは、グローバルトレードプラットフォームを創設する事により、活発なマーケットメーカーを創出し多くのトレーダーをひきつけ、この問題を解決しようとしています。

    「リクイディティ(Liquidity) 流動性。豊富に取引されていて、世界中に多くの市場参加者が存在しており、いつでも売買したい時に、すぐにその時の気配値で取引が可能なことをリクイディティが有る、流動性が有る、という。」(https://kotobank.jp/word/%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3%28Liquidity%29-775667より引用)

    ・低速度な取引処理

    DEXが注文板を出してチェーン上で取引する場合(Etherdelta等)、ブロック生成時間が遅いと長い待ち時間が発生します。またブロックの高使用率で処理が滞ることもあります。意図的にネットワークを詰まらせ、流動性が豊富な他のマーケットでアービトラージ(裁定取引)を行う者が現れることも考えられます。Kyber Networkはリザーブ提供によるマッチングの自動化、Leverjは重要な部分のみをブロックチェーン上で処理する事により、安全性を保ちながら取引速度を上げています。またブロックチェーン自体の技術的改善(シャーディング、ライデン)によりスケーラビリティ問題を解決することも考えられます。

    ・コーディングの欠陥

    悪質なコーディングがスマートコントラクト内に存在する可能性があり、これにより取引の過程で資産が失われるリスクがあります。

    セントライズ型取引所のメリット

    ・利用、アクセスが容易

    DEXと違い、セントライズ型は基本的にユーザーフレンドリーで使いやすく、仕組みが単純でアクセスも容易です。

    ・素早い取引が可能

    セントライズ型はブロックチェーン生成時間の遅れによる取引の遅延がない為、素早い取引が可能です。

    ・Fiatの取り扱い

    DEX ではFiat(法定通貨)と仮想通貨の取引に対応しない為、DEXが主流となってもセントライズ型はFiatと仮想通貨の交換所としての役割を継続すると考えられます。

    DEXの仕組み

    ①ブロックチェーン:ブロックチェーン(スマートコントラクト)技術によるp2p取引の実現

    DEXではブロックチェーンにスマートコントラクトを埋め込むことによって、自動的に行われるp2p取引を実現しています。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で格納、置き換えられるプログラムです。事前にプログラムされた条件が達成されれば、人間の指示なしに自動的に取引の内容を完了します。取引処理、オーダーブック(注文板)などの運用はブロックチェーン上で行われます。

    ②第三者に資産を預金しないことによる安全性、透明性の実現

    DEXでは第三者に資産を預金せず、個人のウォレット間で直接取引を行うことができます。そのため取引所がハッキングされたとしても自身のウォレットから資産が消えることはありません。また資産管理権がユーザーにあるため、取引所が預金した資金を持ち逃げ、所有者に不利な取引を行うこともなくなり、完全な透明性が実現されます。

    複数プロジェクトの比較(AirSwap,0x,Leverj,Kyber)

    ①Etherdelta:https://etherdelta.com/#PPT-ETH

    Etherdeltaはイーサリアムベース初のDEX(厳密には取引所ではなく交換所)です。

    DEXの中でもオンチェーンで取引工程が多く行われる特徴を持ちます。イーサリアム・ブロックチェーンのブロック生成速度が遅いため、オフチェーン上の注文板を提供しています。買手と売手の自動的なマッチングはなく、買手が注文板にある、売手の価格を選択することで取引が成立し、ブロックチェーンに記録されます。マッチングを達成するためにリレーヤーを利用します。

    ②0x:https://0xproject.com

    厳密には取引所ではなく、様々な取引所が0xのシステムを利用できるプロトコルです。オフチェーンでマッチ、注文処理はオンチェーンで行います。しかし買手と売手の自動的なマッチングが存在しないため、Etherdeltaと同じく取引のスピードが遅いという問題を抱えています。マッチングを達成するためにリレーヤーを利用します。
    ③Kyber Network:https://kyber.network

    売手がトークンをリザーブし、買手がリザーブにある通貨を取引する形式をとっています。このリザーブはKYC(本人確認)を通った人がリザーブオペレーターとなり、各トークンの価格を設定することにより成立します。リザーブオペレーターは自身のリザーブで取引が行われるよう、レートの良い価格でトークンを提供しようと、他のリザーブオペレーターと競合します。カイバーネットワークは買手に、複数のリザーブの中からレートの良いものを自動的に選択し提供します。自動的にマッチングが行われる為、取引のスピードを上げることに成功しています。これによりリレーヤーの必要がなく、取引時にGASのみ払えば取引を成立できることになります。

    ④AirSwap:https://www.airswap.io

    p2pで直接ERC20トークンの売買が可能なプラットフォームです。

    注文処理のみにオンチェーンを利用しています。トークンを交換したいパーティー/トレーダー同士をマッチングさせ、オフチェーンで取引のレートを決めさせ、両パーティー/トレーダーが合意する条件で取引を成立させます。この時AirSwapは、オラクルにより適切なレートを提案します。取引処理のみオンチェーンで行うため、取引スピードが速く、GASも安く済むというメリットがあります。AirSwapは、12月5日に二番目のプロダクトであるTokenTraderの限定β版を開始しました。

    (https://consensysmediajapan.com/3265.htmlより引用)

    ⑤Leverj:https://www.leverj.io

    暗号通貨におけるレバレッジ取引を初めて実現するDEXです。システムの重要な部分は分散型、注文処理やマッチングは集中型を採用することにより、安全性、UXの向上を実現しています。

    Bancor Protocol:https://www.bancor.network
    スマートコントラクトを基にしたトークンによる取引で流動性問題を解決するプロトコルです。(イーサリアムネットで稼働中)

    (what is a decentralized exchange? by Jackson Palmer: https://youtu.be/lx6rq0dbcDE )

    DEXがもたらす社会変革

    DEXは開発が開始されてから時間が経過していないため、まだ普及しておらず、一般的には認知が低い状態です。また流動性、取引処理の速度の問題などシステムとしてまだ未熟な部分が散見されます。しかし近いうちにこれらの欠陥は、様々なプロジェクトが開発を進み、ユーザー数が増えるにつれ改善されるはずです。

    ブロックチェーンの特徴を最大限を生かしたDEXは、金融業界に「信用性」「安全性」「透明性」という面で、多大な影響を与えるポテンシャルを持っています。

    煩雑な手続きを介して開示しなければならない多くの個人情報、ハッキングに対し脆弱なセントライズ型仮想通貨取引所、自身の資金がどのように管理されているか知る術がない現在の金融機関のシステムは、DEXが取引所として主流となった時、大きく変化すると考えられます。

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