【日本政府】ビットコインやイーサリアム等の仮想通貨に対する法的見解

目次

     

    ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)などの仮想通貨は、2017年市場が大幅に拡大し、国内でも実際に価値を持つ「通貨」として広く認められる様になりました。

    初めはビットコインや他のアルトコインは「モノ」として扱われ、法定通貨と交換するときに消費税が課税されていました。しかし決済手段として使われる様になるにつれ、「モノ」ではなく通貨(支払い手段)として日本政府が認定する様になり、消費税がかからなくなりました。

    この消費税の二重課税(ビットコインを「モノ」として購入、更にそのビットコインを用いて他の「モノ」を購入する時にも消費税課税)が無くなったため個人・事業での使用が容易となりました。

    しかし支払い手段となった仮想通貨の利用によって生じた利益は「雑所得」、法人の場合「事業所得」として計算する必要がある旨、2017年12月1日国税庁が発表しました(仮想通貨に関する所得の計算方法等について)。また国内の仮想通貨ユーザー保護のため、取引所が認可制(仮想通貨交換業者登録)となり、15の取引所が日本国内で指定されました。

    仮想通貨の歴史

    Bitcoin(ビットコイン)は2009年1月8日に一般公開され、その後すぐにマイニングが開始されました。2011年に違法薬物等の取引が行われていた闇サイト「シルクロード」がアメリカ政府に摘発されると、ビットコインの利便性に気づいた人たちがBitcoinを購入し価格が急上昇しました。「シルクロード」内の決済手段として、匿名性が高く国際間の送金も容易に行えるビットコインが使われていたからです。

    2013年5月23日、中国人民銀行がビットコインの取引を禁止し、他の国でもマネーロンダリングの手段、テロ資金になるおそれがあるとして審議されるようになります。

    このような状況のなかで、2014年、当時世界の約70%の仮想通貨を扱っていたMt.GOXがハッキングされ、およそ半分の資金を奪われる事件が起きました。日本ではテレビニュースにもなったことで、ビットコインに対する一般的信用度は失墜しましたが、根本的な原因はビットコイン自体にあったのではなく、取引所システムの脆弱性だったことが次第に認知され、再び仮想通貨市場は発展を開始していくこととなります。仮想通貨取引所と分散型取引所の違いについてはこちら。

    2017年12月よりビットコインの価格は約100万円付近から急上昇を始め、2018年1月現在150万円〜200万円の幅で推移しています。

    2017年は数々のアルトコインが開発され、ICOが盛んに行われた仮想通貨元年とまで言われるようになりましたが、その反面、EU・アメリカ・日本政府等の各国行政機関は、仮想通貨に対する課税や規制の整備を進めています。

    日本政府が仮想通貨を「モノ」から「通貨」として認識するまで

    仮想通貨=モノ

    仮想通貨を「モノ」として閣議決定

    2014年3月、日本政府は閣議で仮想通貨を貴金属などと同様に、通貨ではなく資産として扱う事が決定されました。売買によって生じる利益は、株式と同じように、課税される事になりました。また下図の様に購入する際、消費税も課税されており、通貨として利用するのが困難な状況が続きました。

    改正資金決済法

    2016年5月、仮想通貨と謳った詐欺が増加した事から利用者を保護するため、改正資金決済法が発表され、仮想通貨交換業者の登録、利用者財産の管理などについて指定されました。

    仮想通貨=通貨

    金融庁による仮想通貨に対する消費税の明確化

     

     

    2016年12月の税制改正大綱で金融庁は「資金決済に関する法律に規定する仮想通貨の譲渡について、消費税を非課税とする。」と発表し、仮想通貨を決済手段の1つとして認識することを発表しました。仮想通貨の売買取引は2017年7月より消費税が非課税となりました。

    仮想通貨の税務上の取扱い

    2017年6月、国税庁の税務大学校論叢において研究された「仮想通貨の税務上の取扱い-現状と課題-」が発表されました。仮想通貨保有者を把握するため「仮想通貨交換業者に対し、顧客の情報(取引に関する情報を含む)の提出を義務付けること」の可能性を示唆しました。また仮想通貨保有者が亡くなった場合の相続税についても論じており、「相続財産に仮想通貨が含まれる場合は、現行では被相続人の住所によって仮想通貨の所在地が判定される。仮想通貨の性質上、このような判断が妥当か、検討を要する。」としています。

    金融庁 仮想通貨モニタリングチーム発足

    2017年8月、金融庁が仮想通貨によるマネーロンダリング、テロ対策などのリスクを調査し、健全な仮想通貨市場を育成する目的で結成された仮想通貨モニタリングチームの新設し、多賀淳一氏がモニタリング長と発表されました。

    国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等を発表

    2017年12月1日、国税庁が仮想通貨に関する雑所得の税金計算方法を、9つの事例を挙げ、説明しました。

    国税庁の仮想通貨に対する「雑所得」

    上述の通り、12月1日、国税庁は「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を発表しました。

    「ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益について は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となります。」

    (引用:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

    「仮想通貨の売却」「仮想通貨での商品の購入」「仮想通貨と仮想通貨の交換」など、雑所得として課税される9つの事例をあげました。

    1 仮想通貨の売却:仮想通貨を売却した場合、購入した際の価格との差額が雑所得として課税

    2 仮想通貨での商品の購入:商品の価格と、購入の際に利用した仮想通貨取引価格の差額が雑所得として課税

    3 仮想通貨と仮想通貨の交換:異なる仮想通貨を交換した場合、決済された時点での時価の差額が雑所得として課税

    4 仮想通貨の取得価額:仮想通貨を二度以上に渡って購入した場合、移動平均法または総平均法を利用して取引価格を計算

    5 仮想通貨の分裂(分岐):仮想通貨の分裂(分岐)により新しく生じた仮想通貨は、取引価格を「0」として計算

    6 仮想通貨に関する所得の所得区分:事業所得でない場合、仮想通貨により生じた所得は雑所得

    7 損失の取扱い:仮想通貨取引により生じた損失は雑所得以外の所得(給与所得、不動産所得など)と通算することはできない

    8 仮想通貨の証拠金取引:仮想通貨の証拠金取引では申告分離課税が適用されず、総合課税が適用される

    9 仮想通貨のマイニング等:マイニングによって得た仮想通貨は、雑所得または、事業所得として課税。この場合、取得した仮想通貨の時価から必要経費(マイニング時に要した費用など)を引き所得を計算

     

    以上が9つの事例です。このタックスアンサーにより仮想通貨によって生じると予想される、ほとんどの利益が雑所得(事業所得)として課税される事が明らかになりました。

    他国と比べると日本は仮想通貨に対して寛容

    日本政府は中国、アメリカとは対照的に仮想通貨を強く規制するのではなく、金融庁の監視下でマネロンや犯罪組織の資金調達といった問題を防ぎ、利用者を保護する方針をとっており、仮想通貨に対して比較的寛容である事がわかります。

    中国ではICOの凍結・取引所の閉鎖、アメリカでは厳しいKYCプロセス・取引所の運営条件によるBitfinexの撤退等の事例が起きています。

    また他の先進国よりも早く法制度の明確化を図る事により、仮想通貨市場と仮想通貨業界の成長を減速させる事なく、新しい決済手段として受け入れる方向性を取っていると推察されます。

    新しく「通貨」として扱われる事で、仮想通貨がただの投機対象ではなく、一般的に利用される支払い手段となり、さらに発展する将来が近いかもしれません。

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