イーサリアムやビットコインをはじめとした仮想通貨、国際的な規制へ進むか?

目次

    2018年は仮想通貨の「規制元年」とも言われています。近年では、各国による法整備が進む中、ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)などの仮想通貨に対する、国際協調を伴う世界的な規制への動きが見られます。

    国際的な規制、各国の見解

    各国では、ビットコイン及び仮想通貨を懸念視する、国際的な規制を呼びかける声があがっています。欧州連合(EU)は、2月26日に検討会を開き、2019年までに仮想通貨規制の仕組みを構築する予定であると発表しています。

    米国のムニューシン財務長官も「全ての仮想通貨の安全を保つため、世界が同じ規制を行うべきだ」と主張しています。ドイツやフランスも同意見に賛同しています。ドイツ連邦銀行のヨアヒム・ビュルメリング理事は、1月15日に「国ごとの規制効果は限定的であるため、国際的な協力を通じた規制のみが効果的」であると指摘しました。

    「『すべての金融市場の安全を保つため、世界が同じ規制を行うべきだ』。投機取引の拡大などで存在感を高める仮想通貨に対して、米国のムニューシン財務長官は2月、こう強調した。」

    (引用:https://mainichi.jp/articles/20180313/k00/00m/020/125000c

    「ビュルメリング理事はフランクフルトでのイベントで、『仮想通貨の規制において国ごとの規制効果は限定的であるため、国際的な協力を通じた規制のみが効果的だ』と述べた。」

    (引用:https://jp.reuters.com/article/bitcoin-regulations-germany-idJPKBN1F42R5

    日本においても、CoincheckによるNEM大量流出事件等もあり、セキュリティや利用者保護の強化を図っており、国際規制を設ける事による保護の強化という点では、他国と意見が一致しています。

    ダボス会議

    今年1月23〜26日にスイス(ダボス)にて開催された、世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」では、仮想通貨やブロックチェーンに関する議論が行われました。

    ビットコインに対する否定的な声もあり、中では(仮想通貨は)脱税やマネーロンダリングを「主要目的」とした通貨であり、「必要ない」とさえ断言する意見もありました。更に、ブラック・ロックの最高経営責任者(CEO)であるラリーフィンク氏は、仮想通貨には「システミック脅威」があり、「マネーロンダリングの指標になる」と述べ、全面的に否定しています。

    「世界最大手アセットマネジャーのブラックロック(Black Rock Inc.)のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨は世界的に処理すべき『システミック脅威』があり、『仮想通貨産業は投資の対象なるかもしれないが、それ以上にマネーロンダリングの指標になる』と語った。」

    (引用:https://coinchoice.net/world-economic-forum-annual-meeting-in-davos-2018/

    この様に、仮想通貨による不正行為、マネーロンダリング等の悪用等の可能性から、ビットコイン並びにその他仮想通貨を金融経済への「脅威」として懸念視する国・政府が増えている事がわかります。

    G20財務相・中央銀行総裁会議

    国際通貨基金(以下、IMF)の理事であるラガルド氏は「ブロックチェーンを含む仮想通貨を支える技術は、フィナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の推進力となる可能性」があるとし、仮想通貨に対する肯定的な姿勢を表しています。

    「ラガルド専務理事は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前にブログで、ブロックチェーンを含む仮想通貨を支える技術は、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の推進力となる可能性を秘めているが、こうした段階に至る前に危険性についても理解する必要があると指摘。」

    (引用:http://diamond.jp/articles/-/163409

    その反面、仮想通貨には「ダークサイド」があると指摘しました。同氏のブログでは、闇サイト「アルファベイ」で、10億円相当の違法ドラックや銃火器等を取引していたとして、昨年の7月に閉鎖された事例をあげています。仮想通貨は、マネーロンダリング(資金洗浄)や不正送金等に悪用される恐れや、金融の脅威となる可能性があるとし、国境がないからこそ、国境を超える規制及び枠組みが必要であると主張しています。

    フランスやドイツ等の国からの呼びかけもあり、仮想通貨の「国際的な規制」への取り組みが今年の注目すべき話題となっています。アルゼンチンにて3月19から20日にかけて開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、この「国際的な規制」への枠組み作りを計画している模様です。

    ラガルド氏は「進化しつつある仮想資産の世界における答えを見つけるため、IMFは公共の場を担える独自の位置にある」と主張しており、この計画において、同基金が中心的な役割を担うと考えています。

    「同専務理事は13日のブログで、仮想通貨の「ダークサイド」とテロリストへの資金提供やマネーロンダリング(資金洗浄)支援の可能性について警告。脅威に対応するため一段の措置が必要であり、IMFはその役割を果たす意向だと表明した。20カ国・地域(G20)の中央銀行と財務当局のトップは来週、ブエノスアイレスでの会議で仮想通貨の規制について協議する。ラガルド専務理事は『この難題に1国で立ち向かえる国はない』とし、『進化しつつある仮想資産の世界における答えを見つけるため、IMFは公共の場を担える独自の位置にある』との考えを示した。」

    (引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-13/P5JDBQSYF01S01

    具体的な対応手段

    3月13日のロイターの記事において、下記の具体的な対応手段があげられています:

    ①「火には火を持って戦う」という言葉がある様に、仮想通貨の元となる技術や資産を用いて対抗します。例えば、分散型レッジャー等のテクノロジーを応用すれば、市場参加者同士の情報共有を促進し、顧客情報の確認や登録の証明を可能にします。更に、国境を超える取引における脱税行為も管理できるようになります。

    ②バイオメトリクス(軽量生物学)、AI(Aritificial Intelligence:人口知能)及び暗号法を導入し、デジタル上のセキュリティを向上させます。これにより、不正と思われる怪しい取引を「リアルタイムで」識別できます。

    ③標準的・国際的な規制を設ける事により、透明性の向上と共に、潜在的リスクを消費者に知らせる事ができ、消費者保護の強化に繋がります。

    「She also said technology behind crypto assets can be used to “fight fire with fire,” including distributed ledger technology that speed up information sharing between market participants and regulators. This can be used to create registries of standard, verified customer information and help fight cross-border tax evasion, she said.

    Regulators can also use biometrics, artificial intelligence and cryptography to enhance digital security and identify suspicious transactions “in close to real time”, Lagarde added.

    Applying the same securities rules to crypto assets as standard securities also can help increase transparency and alert buyers to potential risks.」

    (引用:https://www.reuters.com/article/us-g20-imf-cryptocurrencies/imfs-lagarde-says-cooperation-needed-to-keep-crypto-assets-safe-idUSKCN1GP1SX

    国際的規制による、市場への影響

    ブロックチェーン技術のメリットを最大限に生かし国際規制体制が整えば、セキュリティや消費者保護の面で、大きく向上します。投資リスクが減り、国境を超えたトランザクションにおいても、投資者が保護される仕組みが設けられるでしょう。更に、政府側にとっては、脱税、インサイダー取引、マネーロンダリング等の不正行為の発覚が容易になり、市場における治安が守られます。結果として、仮想通貨に対する信頼性が増し、市場により多くの人々が参入する事も考えられます。

    その一方で、投資者の観点から、デメリットもあります。規制体制が整う事によってボラティリティ(価格変動)が縮小し、大きな利益(キャピタル・ゲイン)が見込めない可能性が生じます。

    「法定デジタル通貨」への一歩か?

    仮想通貨の規制導入や、ビットコイン(仮想通貨)の急落は、IMFや国際決済銀行(BIS)にとっては、「シナリオ通り」なのではないのか、という見方もできます。ブロックチェーン技術の更なる発展と共に規制が強化され、仮想通貨市場のインフラが安定すれば、中央銀行や政府による「法定デジタル通貨」の発行が期待されます。

    ①キャッシュレス化による紙幣コストの削減、②取引・送金の透明性の向上、③政府や金融当局等の信頼性のある主体による統制等、様々なメリットがあります。しかし、その一方で、デメリットや懸念すべき要素もあります。

    一つ目は、中央銀行等の一つの主体が全ての顧客情報や取引情報を握る事となり、権力の集中化が生じます。特に、IMFやBIS等の国際的機関による法定デジタル通貨が採用されれば、ブロックチェーン上で全世界市民の全てのトランザクションを把握し、管理する事が可能になってしまいます。

    二つ目は、民間銀行等の従来の預金業務を担っていた金融機関や仲介者に影響を及ぼしてしまうという事です。

    三つ目は、ビットコインやアルトコインが急落し、資産としての価値を失う点にあります。結果的には、ビットコインが消滅する可能性も否めません。これは、ビットコインや仮想通貨を支持する者達にとっては、望ましくない結果でしょう。

    法定デジタル通貨における各国の動向

    (引用:https://moneytoday.jp/articles-1239

    最後に

    国際規制が設けられれば、仮想通貨及びその市場が大きく動くターニングポイントとなるでしょう。今月の19、20日にアルゼンチンにて開かれるG20の会議が、今後の仮想通貨規制における展開を左右する「鍵」となります。

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