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【β版公開】Golemの仕組みと展望〜次世代のビジネスモデル〜

【β版公開】Golemの仕組みと展望〜次世代のビジネスモデル〜

2018/05/24 at 3:08 PM 0 comments
はじめに 今回は、ベーター版がリリースされ、大手取引所のBinanceに上場したばかりのGolemについて解説します。 Golemは、パソコンの計算能力を他人にかしたり、他人から借りれるレンタルサービスです。詳しい仕組みや、機能などを以下で見ていきましょう。 Golemとは 概要 GolemはEthereum上に敷かれた分散型のクラウドコンピューティングを実現するアプリケーションです(DAPP)。普通、機械学習や、DNA解析などの高度な計算を行う場合には、計算能力の高いスーパーコンピュターなどを使わないと計算に途方もない時間がかかってしまったり、できないことが多いです。そのため、スーパーコンピュータを持たない、高度な計算を行いたいユーザーはAmazonなどのクラウドコンピューティングのサービスを使い計算などを行います。 一方、GolemではこのクラウドコンピューティングサービスをAmazonなどの管理者がいないP2Pで実現します。 具体的に説明していきます。Golemの提供するネットワークでは,高度な計算をしたい人と、ネットワーク上にいる計算リソースが余っているコンピューター所有者をつなげる事ができます。所有者の使用していないリソースを無駄なく他者に使用してもらうことができます。この事業形態は、まさにUberやAirbnbといった事業とランスフォーメションを起こしたシェアリングエコノミーの1つです。 使用しきれていないリソースを他者に提供し利益を得るモジュールを備えたアプリケーションプラットフォームがGolemなのです。 「Golem is a worldwide, decentralized supercomputer that combines the computing power of every machine on its network. In the Golem ecosystem, you can loan out your computer’s spare resources to others who need the additional power to perform complex computations and tasks. Following the same trend that led to Uber and Airbnb, this is a solid way to make some extra money with your unused and/or underused resources.」(引用:https://coincentral.com/golem-gnt-beginners-guide/) ICO Golemは.今から約1年と半年前にICOを行いました.ICOを行った結果、提供予定であった10億Golem Network Token(GNT)は即完売、約9億円を調達することに成功しました。 「そして2016年11月のクラウドファンディング(ICO)において販売された10億GNTが30分程度で完売し、当時のレートで約860万ドルもの資金調達に成功しました。」(引用:http://coinpost.jp/?p=1832#golem_overview) しかし、プロジェクト期間が4年ということで、上昇したGNT価格は低迷することとなりました。 仕組み Golemネットワークに参加するユーザーは次の3種類があります。 リクエスタ・・・Golemネットワーク上にあるマシーンの処理能力を利用する人 プロバイダ・・・Golemネットワーク上でマシーン能力を提供する側の人 ディベロッパー・・・Golemネットワーク上で計算用のアプリを開発する人 これらのユーザーがどのようにGolemのネットワークを利用していくのかのフローを次で説明します。 1・まず。リクエスタはGolemのネットワーク上でタスクをサブタスクに分割してリクエストを発行します。リクエストは難易度(レベル)が存在します。そこで、Golemはいくつかのテンプレートを設定し、依頼者はそれに沿って、自身の依頼内容のレベルを設定します。そのレベルによって払われる料金基準が変わってきます。もし、その設定されたテンプレートに当てはまらない場合、依頼者は自身で依頼内容のフレームワークを書き出し、コードを記述しなければなりません。しかし、このテンプレート以外の依頼内容を依頼することは、今までにリリースされたGolemでは不可能です。 2・コンピューターの提供者は、上で発行されたサブタスクのリクエストの内容を確認し、自身にあう条件を選択し、作業に取り掛かります。(マッチング)  提供者が自身に見合った依頼を選択し、価格設定を行い、コンピューター情報を依頼者に送付します。 3・依頼者はその条件を確認し、依頼を任せるか決定します。(マッチング完了) 「A provider (party providing the computing power) receives all the broadcasted task offers and selects the best one. In doing so, it also checks the reputation of each node broadcasting the tasks and rejects ones with a poor reputation. When a provider finds a suitable offer, it sends a price and its computing power information to the requestor. In return, the requestor verifies that the provider has a high enough reputation to work with.」(引用:https://coincentral.com/golem-gnt-beginners-guide/) 4・一度依頼を遂行したら、IPFSネットワーク上を通し、依頼者に結果が届きます。それからタスクマネージャーが適切なノードを送り、結果を確認します。 5・その全ての結果が確定したのち、Ethereumのスマートコントラクトによって支払いが行われます。依頼者、提供者共に信頼度を示すために、支払い等全てのプロセスが時間通りに行われた場合、Golemネットワーク上での両者の評価は優良と評価され、他者からも確認することができます。もし、プロバイダが不正な計算や、きちんとした値を出してくれない場合、リクエスターは後からプロバイダに対してレビューをすることができ、以降そのプロバイダには、悪い評価のせいでリクエスストが来づらくなります。このようにして、不正をするものは、Golemネットワークから淘汰されます。 「If all is kosher, the provider receives the appropriate resources via IPFS and begins the computation on the task computer. Once the task is complete, it sends the results to the requestor back through the IPFS network. Then, the task manager passes the information to the appropriate node to verify the results. The requester may decide to send it to multiple nodes for redundant verification. Finally, the payment system is notified through an Ethereum smart contract, and funds move from requestor to provider. If the provider sends accurate results and the requestor pays on time, both parties will see an increase in their reputation.」(引用:https://coincentral.com/golem-gnt-beginners-guide/) ここで、計算を並列で分散して行うことは、大規模な計算ではとても重要です。そのため上の処理は、何人ものプロバイダーが並列で同時に計算を行います。したがって、報酬を払う相手が多くなり、報酬自体もマイクロペイメントになります。このときに、問題になるのが、多くのプロバイダーに報酬を送金するため、報酬に対して送金手数料が多くなってしまうことです。 そこで、golemでは報酬が支払われるプロバイダを確率的に決める仕組みを取っています。こうすることで、報酬を支払う人を少人数にでき、またビットコインのマイニングと同様の確率的に報酬が手に入る仕組みを作り上げています。 セキュリティ このように、不特定多数のマシーンで計算を行うため、計算するほうも、タスクをリクエストする方もセキュリティについて気に留める必要があります。 プロバイダは、リクエスターから送られてきたデータをもちいて計算を行うので、悪意のあるデータを送信することもできます。そのため、プロバイダは、自らのマシーンの中にサンドボックスと呼ばれるインターネットと接続がない環境をつくりそこで計算を行います。 リクエスト側にも危険があります。プロバイダに計算してもらうためには、データそのものを送信しなくてはいけないため、プライベートの情報などが混ざっている場合、プロバイダに見られる危険性があります。そのため現在のバージョンでは、そのようなデータを送らないように注意しなくてはなりません。 機能 Ethereumのスマートコントラクト技術により、開発者がGolem上にて自身のアプリケーションを開発することが可能です。これがディベロッパーです。ディベロッパーは、ユーザーが必要とするツールをいち早く提供することを目指します。ディベロッパーの作った計算のためのアプリ利用された場合、その作成者に対しても、報酬が支払われるような仕組みになっています。 「Outside of the scenario outlined above, Golem contains two other related features. Application Registry – An Ethereum smart contract for developers to publish their own Golem applications. This makes it easier for developers to find users and requestors to find the tools they’re looking for. Transaction Framework – A set of requirements that a developer must follow when implementing a transaction model for their self-made Golem application.」(引用:https://coincentral.com/golem-gnt-beginners-guide/) Golem Network Token (GNT)の役割 GNTはERC20トークンです。Ethereumの分散型プラットフォーム上で使用することが可能です。GNTはコンピューター使用依頼完了後の支払いに使用されます。提供者は、自身でGNTによる価格設定を行うことができます。 「GNT is an  token that you use to pay for the computing power that you rent. As a provider, you’re free to set your GNT rental price at whatever you deem is appropriate. Because Golem is a marketplace, these prices should find an equilibrium over time. You’ll also need GNT to submit deposits as a provider and participate in the Application Registry. The Golem team minted 1,000,000,000 GNT during the ICO of which 82% was distributed to the crowdsale participants.」(引用:https://coincentral.com/golem-gnt-beginners-guide/) β版公開 プロジェクト開始から約1年半の時間を経て、ようやく今回β版がリリースされました。 このベータ版により、GolemのP2Pマーケットプレイスが真に利用価値のあるものかを判断するが可能です。というのも、どれほどの市場規模を有し、どれほどの金銭が流通するのかをリアルに把握することできるからです。 「And this current release, Golem Brass Beta, is an effort to test whether the technology functions in real market conditions with real money. "We have to see how it behaves in the wild," Zawistowski said.」(引用:https://www.coindesk.com/golem-arrives-one-ethereums-ambitious-apps-finally-live/) 今後の開発 GolemはEthereum同様、4つの段階で開発されていきます。 ICO の節でも述べたように、Golemの開発は、かなりの開発力と長い年月が必要だと考えられておます。 第一段階 Brass Golem・・・アルファ版でコンセプトの実装の段階です。限定的な計算にしか使用できません。 第二段階 Clay Golem・・・Task APIとApplication Registryが導入される予定です。この段階で多目的な汎用分散計算ができるようになります。 第三段階Stone Golem・・・ストーンゴーレムでは、前段階のクレイで提供していた機能を強化し、高度なAPIを用いた開発が可能になります。またセキュリティや安定性が向上されます。 第四段階Iron Golem・・・インターネット接続を利用するGolemアプリケーションやサンドボックス外で動作するアプリケーションを作成することができるようになります。 また、アプリケーション開発をサポートする様々なツールをディベロッパーに提供していきます。 まとめ Golemのβ版公開はGolemプロジェクトの進展を強く証明することとなりました。その結果GNT価格も上昇しました。今後、このプロジェクトが完全成功を収めるには長く時間を費やすと考えられます。次の進展が早いタイミングで報告されることに注目しましう。
イーサリアム(Ethereum)における手数料Gasとは?

イーサリアム(Ethereum)における手数料Gasとは?

2018/05/15 at 6:58 PM 0 comments
はじめに 今回と次回の記事で、イーサリアム(Ethereum)上での様々なトランザクションについて解説します。トランザクションは、誰かに仮想通貨を送金をしたり、コントラクトを実行するときに発生します。このようなトランザクションは、マイナーによって承認され、ブロックに記録されます。 その際、ユーザーはマイナーに対してインセンティブとなる報酬として、手数料を払う必要があります。イーサリアムではスマートコントラクトという複雑処理が実行可能であるがゆえに、手数料の算出方法がビットコイン等のシンプルなトランザクションのみ実行するシステムとは異なります。つまり、少々複雑なのです。 そこで今回は、この手数料がどのようにして決まるのかについて解説します。 イーサリアム(Ethereum)の手数料 ~Gas~ ユーザーは、イーサリアム(Ethereum)上で、送金や(スマート)コントラクトといったトランザクションを実行します。それらは、マイナーによって処理され検証されます。このとき、それぞれの操作に使われたマシーンパワー、すなわちマイナーの作業コストに対する対価が手数料として支払われます。手数料はGasという考え方で計算され、ETHで支払われます。 Gasの概念を理解するために、車の運転に必要なガソリンのアナロジーから考えて見ましょう。 長い距離を走ったり、より速い速度で走るには、それに応じた燃料が必要になります。そのため、ガソリンという燃料が必要で、ガソリンを燃やして車を動かします。 イーサリアムでも同様で、マイナーがマシーンを動かして計算をするための燃料が、Gasです。ユーザーは送金やイーサリアム上でトランザクションを発行したとき、マイナーに対して手数料をETHで支払います。一方で、マイナー達は手数料をインセンティブとして、そのトランザクションを承認/計算します。 では、実際にイーサリアム上でマイナーの原動力になる、支払うべき手数料は、どのように算出されるのでしょうか?  簡潔に述べると、手数料としてマイナーに支払われるETHは、 手数料(Gas)総量 =  GasPrice × GasUsed で決まります。GasPriceはGasの単価で、GasUsedが使われたGasの総量です。この総量をマイナーが受け取ることになります。次の節では、GasUsedとGasPriceについて詳しく解説して行きます。 GasUsed この節では、上で出てきたGasUsedについて解説します。 GasUsedは、ガソリンの例で考えると、自動車を運転した時に使われるガソリンの量です。 長い距離を走ると、使用する燃料であるガソリンを多く使います。GasUsedも同様で、マイナーがトランザクションを処理し、検証するときに、使ったマシーンの計算量などによって決まります。したがって、複雑な処理の方が、単純な処理を実行する時よりもより多くのGasが必要になります。具体的な処理とそれに必要なGasの量は、イーサリアムのBeige Paperに書かれています。例えば、前回の記事で述べたハッシュ化(SHA3)の作業には、30Gasが必要になることが書かれています。 正確には、Gasは高級言語で記述されたcontract(コード)を、低級言語であるアセンブラに直した時に、アセンブラで処理する各プロセス(opecode)、計算ごとに消費するGasが定義されています。 トランザクションを生成するユーザーはあらかじめ、そのトランザクションで消費しても良いと思う、十分なGasの量を指定します。この指定されたGasの量をGasLimitと呼びます。 先ほども述べたように、スマートコントラクトのトランザクション実行時に消費されるGas量を前もって正確に見積もることは困難です。しかし、使われなかったGasはユーザーに返却されるため、多めにGasLimitを設定しておくのが良いでしょう。というのも、もしトランザクションの処理中にGasが切れた場合は(必要なGasがGasLimitを上回ったら)、そのトランザクションは中断されます。さらに、使われたGasはユーザーには返却されず、マイナーが受け取ります。 ここで重要なのは、ユーザーの設定したGas Limitを超えては、Gasも手数料も取られないような仕組みになっていることです。もし、実行しようとしているプログラムに誤りがあり、無限に同じ操作を繰り返えすように設定されていたとしましょう。この場合、ユーザーは、無限にマイナーに対して手数料を払わなくてはいけない状態が発生します。(車の例だと、車が故障して家の周りを無限に回り続けるイメージです。しかし、燃料は決まった量しかないので減り続けていつか車は停止します。)。 そのため、GasLimitは、払うGasの限界を定め、不必要に手数料を払い過ぎないような安全装置として機能します。プログラムに誤りがあり、何度も同じ操作が繰り返された場合は、設定しているGasLimitに対して使用するGas(GasUsed)が多くなり、そのトランザクションが中断されます。 Gas Price 再びガソリンの話に戻りましょう。GasUsedが使われたガソリンの量であったのに対して、GasPriceはガソリン1リットルあたりの価格(単価)に対応します。 イーサリアムの場合、マシーンパワーを使って実行した仕事の単価がGasPriceです。 先ほどユーザーが確実にトランザクションなどの処理を実行してもらえるように、十分な量をGas Limitとして設定しなければいけないことを述べました。GasPriceも同様に、ユーザーに決定権があります。では、このGasPriceが低いとどうなるのでしょうか。 マイナーのインセンティブは手数料ですので、単価が安い仕事はやりたくないでしょう。したがって、GasPriceの安いトランザクションは後回しになってしまいます。安すぎる場合は、そのトランザクションは永遠に処理されないことになります。できるだけ早く承認してもらいたい場合は、このGasPriceを高く設定しましょう。 Ethereum gas stationでは、現在の設定するGasPriceに対応する承認時間が書かれています。またMyEtherWalletでは、通常時(トランザクション詰まりなどが起きていないとき)の基準として 40 GWEI Gas Price・・・ほとんどの場合、当該のトランザクションが次のブロックに格納される。 20 GWEI Gas Price・・・ほとんどの場合、2~3個後のブロックに格納される。 2 GWEI Gas Price・・・ほとんどの場合、8-12個後ブロックに格納される。 と書かれています。 ただし、通常の取引所ではこれらを自動で行ってもらえるので気にしなくても問題ありません。 (ここで出てきたGas Priceの単位であるGWEIについては、次の節で説明していきます。) Example 上記の復習として、Meta Maskの設定を参考にしながら、一度計算をしていきましょう。 Meta Maskでは以下のように、はじめにGasLimitとGasPriceを設定する欄があります。 今回はこの例にあるように、GasLimitを21000にして、GasPriceを1GWEIに設定しました。ここで、1 GWEI は 0.000 000 001 etherのことです。ETHの単位変換は以下の表を参考にしてください。 単位 ether wei(最小) 0.000000000000000001ether kwei 0.000000000000001ether mwei 0.000000000001ether gwei 0.000000001ether szabo 0.000001ether finney 0.001ether ether 1ether 上記のようにユーザーが設定したとしましょう。したがって、ユーザーは最大の手数料(Gas)として、 最大手数料= 0.000 000 001 ether × 21000 = 0.000 021 ether を支払うことになります。しかし、実際にマイナーが処理したところ、使用されたGasが19000だったしましょう。これがちょうどGasUsedです。この時実際に支払われる手数料は、 手数料= 0.000 000 001 ether × 19000 = 0.000 019 ether で、差額分の0.000 002 etherはユーザーに返却されます。 まとめ 今回の記事では、イーサリアムにおける手数料の仕組みであるGasについて説明しました。 GasPriceとGasLimitを独立させることで、1)トランザクションに取り入れるか入れないかのマイナー心理と、2)プログラムでエラーが起きた時にお金を使い切らないような構造を独立させています。このような特徴もビットコイン(Bitcoin)にはない工夫されている部分です。
イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンを活用し、UNICEFやWFPが人道支援を活発化

イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンを活用し、UNICEFやWFPが人道支援を活発化

2018/05/15 at 4:10 PM 0 comments
近頃、仮想通貨やブロックチェーン技術を活用した慈善活動が増えてきています。 2018年4月、シリアのアサド政権が一般市民に対し化学兵器を使用した疑いから、ついにアメリカ、イギリス、フランスの3カ国が武力攻撃を開始しました。シリアや他中東の国々は混乱を極めており、多くの人々が故郷から去ることを余儀なくされました。 そんな中、このような難民を対象に、UNICEFやWFPなどの慈善団体によるブロックチェーン技術や仮想通貨を使った最先端の人道支援プロジェクトが動き出しています。ブロックチェーンなどの技術を活用し、人道支援の効率化を図る今回の取り組みは大きな意味を持つと同時に、科学技術や最先端デジタル技術の発達が社会解決へ繋がることを表しています。 イーサリアムブロックチェーン技術を使い難民の食糧支援、個人情報の保護 難民を支援するために、WFP(国連世界食糧計画)と業界パートナーによって、ブロックチェーンを用いたプロジェクト「Building Blocks」が開発されました。このプロジェクトは食糧支援の効率化と支援対象者(主に難民)のIDの管理、プライバシーの保護を目的としています。「Building Blocks」は開発パートナーであるドイツの「Datarella」や英国の「Parity」との提携のもと、ブロックチェーンの代表的なプロトコル、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンをベースとしています。 「The United Nations agency in charge of food aid—often billed as the largest aid organization in the world—is betting that an Ethereum based blockchain technology could be the key to delivering aid efficiently to refugees while slashing the costs of doing so.」 (引用:https://qz.com/1118743/world-food-programmes-ethereum-based-blockchain-for-syrian-refugees-in-jordan/) 中東でのWFPの食糧支援は、現金や電子マネー、デビットカード、引換券などを配布し、支援対象者はこれらを使って地域の小売店で自由に食糧を購入する方法を採っていますが、このやり方では決済のたびに金融機関への手数料が発生する上、第三者機関を介在させることによる個人情報の漏洩や取引に関わるセキュリティ上のリスクがありました。 そこで、イーサリアムブロックチェーンを活用することによって、WFPが食糧支援を行う際の現金の移送をより早く、より低コストに実行することができます。また、WFPが行うすべての取引をリアルタイムに記録し、認証されるシステムとなっているため、機密データを第三者と共有する必要もなく、難民のセキュリティとプライバシーはさらに強化されます。 「The WFP’s move to adapt Ethereum was part of an effort that explored better, cheaper, and less risky means to deliver cash-based transfers. It had to be secure and fast at the same time. Blockchain, being the decentralized digital ledger that it is, seemed to be the most viable option. It offers a level of transparency, coupled with cryptography-based security, that makes it ideal for monitoring transactions. 」 (引用:https://futurism.com/blockchain-is-helping-us-feed-the-worlds-hungriest-families/) 2017年5月にシリア難民1万人以上が、ヨルダンのアズラック難民キャンプでの食糧支援において「Building Blocks」を試験的に導入したところ、地元の金融機関に支払う手数料の98%削減に成功し、支援対象者の個人情報を国連以外の第三者に提供することもありませんでした。これまで金融機関への手数料の支払いにかかっていたコストが大幅に削減されることになり、そのコストを生活の再建費に回せるようになります。 「For instance, the WFP would usually deliver food to people like the Syrian refugees in the Jordanian camp. But instead, they’re empowering these individuals by giving them money instead. The blockchain-fueled program cuts out much of the friction tied to bank transfers and the fees that accompany them, as evidenced by a 98% reduction in those costs. That leaves the refugees more money with which to rebuild their lives.」 (引用:https://www.ccn.com/an-ethereum-blockchain-is-restoring-the-identity-of-syrian-refugees/) 2018年以降、さらに多くの地域で「Building Blocks」の導入を引き続き検討し、ブロックチェーン技術を用いたデジタルID管理やサプライチェーンオペレーターなど、現金送金以外の利用についての応用も模索され始めています。イーサリアムブロックチェーンの活用により、慈善活動の効率化を進める取り組みは、最先端テクノロジーが社会課題の解決に大きく貢献できるることを示しています。今後のさらなる発展が期待できるでしょう。 社会的/経済的の両面でメリット このプロジェクトは社会的、経済的なメリットがあり、厳しい状況下にある人々の生命を救い、彼らの人生の質を高める事に大きく貢献します。人道的側面から、人生を再建するチャンスを与えるでしょう。プログラムの設計者、Houman Haddad氏は、シリアの難民たちが身分証明書からなる単一のデジタルウォレットから、ブロックチェーンIDシステム経由で取引できることを期待しています。 「The architect behind the program, Houman Haddad, hopes to see these Syrian refugees one day be able to transact from a single digital wallet comprised of a record of their purchase history, identification and “access to financial accounts” via a blockchain-fueled ID system, as per MIT Technology.」 (引用:https://www.ccn.com/an-ethereum-blockchain-is-restoring-the-identity-of-syrian-refugees/) 透明性向上により多くの資金が慈善事業に流れる ブロックチェーンを基盤とした支援システムは、慈善活動への信頼向上にもつながります。第三者機関を通しての支援活動は、資金の多くが諸経費に充てられ、プログラムに直接投入されているかを疑問視する声が多数あります。 そこで、ブロックチェーン技術を活用し、仲介機能をなくすことができれば、直接支援者と受給者を繋げることができます。諸経費を減らすことによって運営効率をさらに上げることができれば、懐疑的な資金提供者の慈善行為に対する信頼を回復させることができるかもしれません。 これがやがては、慈善活動への関与や、資金を提供するという行為の全般的な高まりにつながります。 「The WFP’s move to adapt Ethereum was part of an effort that explored better, cheaper, and less risky means to deliver cash-based transfers. It had to be secure and fast at the same time. Blockchain, being the decentralized digital ledger that it is, seemed to be the most viable option. It offers a level of transparency, coupled with cryptography-based security, that makes it ideal for monitoring transactions. 」 (引用:https://futurism.com/blockchain-is-helping-us-feed-the-worlds-hungriest-families/) このように可能性は無限大ではありますが、多くの懸念すべき点があることは事実です。 一番の問題は、デジタル通貨による資金提供やブロックチェーンによるシステムは、いまだ慈善活動分野では新しい挑戦であり、実証されていないことが多く、個人の寄付提供者や慈善団体のなかでもなかなか周知されていないのが現状です。 しかし、長期的に考えると仮想通貨やブロックチェーンプラットフォームは、これまでの慈善事業や人道支援の在り方を著しく変えながら取って代わる可能性を秘めています。ビットコインやイーサリアム、その他の仮想通貨による寄付が今後より活発に行われ、仮想通貨市場の繁栄がこの先も続くと認識されれば、仮想通貨による慈善事業はより身近なものになってくるでしょう。 まとめ 発展途上国や政情が不安定な地域では、国際機関や非営利団体の活動も困難を極めます。そこで、いくつかの団体は仮想通貨やブロックチェーン技術を活用することで、最大限の支援を得られる事を望んでいます。ブロックチェーンは、暗号化されたデータの記録や転送が効率的で、透明性も高いとされています。金融業界のみならず、政府やNGOなど様々な機関や団体がこれらを積極的に導入していくことでしょう。 また、イーサリアム上で寄付、追跡を管理するスマートコントラクト契約やブロックチェーンについての研究をさらに重ね、それらが実証されれば、資金を寄付する者と受益者が直接的につながります。これにより、寄付やその結果の透明性が著しく増すことで慈善活動への信頼が高まり、現状より多くの資金が社会問題の解決に充てられるでしょう。
EOSの価格上昇、イーサリアム(Ethereum)とEOSの相違点

EOSの価格上昇、イーサリアム(Ethereum)とEOSの相違点

2018/05/15 at 11:29 AM 0 comments
近頃、仮想通貨市場全体がバブル崩壊から回復しきれていない中、現在時価総額5位に位置付いてるEOSの価格は日々上昇しており、最高値を更新し続けています。 EOSとイーサリアム(Ethereum)は両者とも、DApps(分散型アプリケーション)が開発され、それが動作するために設計されたスマートコントラクトを実装したプラットフォームです。EOSのプロジェクトが成功すれば、イーサリアムプラットフォームを基に開発されたERC20の様なトークンが生まれると言うことです。 イーサリアムとEOSは、考えの相違から様々な面で異なる特徴を持ちます。この記事では両者の特徴とEOSの将来性について分析します。 イーサリアムとEOS:特徴の比較 コンセンサスアルゴリズムの違い 両者の異なる点として多く挙げられるのが、コンセンサスアルゴリズムの違いです。 イーサリアムは現在POWからPOSに移行することを計画(メトロポリスの次の段階であるセレニティで移行すると言われている)しています。これに対しEOSは、DPOS(Delegated Proof of Stake)を採用しています。 DPOSとはエコシステムにより選出された少数の人(21人)のみが、マイニングやコンセンサスに参加できるというコンセンサスアルゴリズムです。限られた人のみがコンセンサスプロセスに関わるため、一見分散化が実現できていない様に思えます。しかしPOWやPOSでもマイナーはマイニングプールと呼ばれる、マイナーのグループに所属する事になります。 結果的にこれはマイナーがどのマイニングプールを選択するかという”選挙形式”となっており、DPOSと類似するシステムであるとも考えられます。 傍観主義的アプローチ VS スタンダード機能の内蔵 イーサリアム・ネットワークは、Vitalik Buterin氏が中心となって開発された全てのアプリケーション開発に対応したプラットフォームです。イーサリアム設計原理書はイーサリアムに初期設定がなく、ユーザーが自身でコントラクトにサブプロトコルを付け加え、独自の機能も開発する事を求めるとしています。この傍観主義的なアプローチが柔軟性をもたらし、アプリケーションの機能肥大化による効率低下を避けます。 これに対しEOSは、開発者が自社のビジネス面の機能に集中できるように、暗号アルゴリズムや、アプリ/ブロックチェーンのアクセス機能があらかじめ内蔵されています。これによりブロックチェーンに精通していない開発者も、時間や資金をかけることなくアプリケーションを作成することができます。 フォークによるコミュニティの統一性 VS Graphene technology イーサリアムは規範を遵守する事を重視し、コミュニティ内で大きな見解の相違が生じた場合、DAO事件と同じくフォークにより解決します。この解決方法を採ることにより、コミュニティの統一性を保ち、ネットワークの効率化を高める事ができます。 EOSはDelegated Proof-of-Stake (DPOS)合意メカニズムを用いる、Graphene technology Scalabilityを利用します。このメカニズムはハードフォークの際、チェーンが分岐し競合チェーンが生まれる事を防止します。さらに、EOSは法的拘束力のある第三者機関を取り入れ、コミュニティ内における争いを解決し、ステーク加重投票制で自己資金によるコミュニティのアプリケーション開発に関する決断を下します。 GAS VS 0フィー イーサリアムは、計算処理、データ保存、バンドワイズ使用の際、GASというフィーを支払う必要があります。必要とされるフィー(GAS)の額は変動し、マイナーはフィーが高いトランザクションを選択することができます。開発者たちはGASの低価格化と、マイナーが GASの大きさをもとにトランザクションを選択できない様にする計画を進めています。 EOSは所有権モデルを採用しており、EOSトークンの所有者は、発行されているEOSトークンを占める自身の所持割合だけネットワークのバンドワイズ、ストレージ、処理能力の一部を所有する事ができます(全体の5%のEOSトークンを所有する場合、システムの5%を所有し、これを自由に利用することができる)。 ユーザーは予測可能な量のネットワーク・バンドワイズと処理能力が提供され、EOSを追加で購入することにより、これらをアップグレードする事ができます。ネットワークの取引手数料はゼロ(イーサリアムで言うGASはなし)であり、開発費用を徴収される事もありません。DAppsを無料で使うことを可能にしているのです。アプリ開発側としても、無料で使えるほうがユーザー獲得に有利なはずです。 トランザクション数 イーサリアム・プラットフォームは現在、約毎秒15のトランザクション処理が可能です。今後は、POSへの移行、Raiden、Plasmaなどを実装することによるスケーラビリティ問題の解決を計画しています。 EOSはストレステストで毎秒10,000-100,000トランザクションを処理することに成功しました。またシステムの並列化により、何百万ものトランザクションを可能にしネットワークのスケーラビリティを向上する事を目指しています。 ヴィタリックのEOS批判 Reddit上のイーサリアムに関するスレッドで、自身が開発したEOSプラットフォームが可能なトランザクション数とそのシステムの柔軟性からイーサリアムのそれより優れていると主張するDan Larimerに対し、イーサリアムの顔であるヴィタリックが反論しました。 ヴィタリック氏はEOSが多数のトランザクションを処理できることは認めましたが、マークルツリーのセキュリティ性を無視する形で実現していると批判しました。(マークルツリーについての説明はこちら) ヴィタリック氏は、EOSプラットフォームは一般のユーザーがシステムを監査するには自ら大規模なハブを購入する必要があり、稼働させない限り不可能なシステムを構築していると主張しています。さらに、EOSの分散型システムDPOS(Delegated Proof of Stake;EOSコインの所有者が投票により選出されたマイナーだけがマイニングする)はシステムに関わる人全体が投票しなければ成り立たないとも指摘しています。投票を動機付けるメカニズムが作り出されなければ、投票結果はかなり偏ったものになると予想されます。1つのマイナーグルーブがマイナーの座を独占する様なことがあれば、もはやプラットフォーム として成り立たなくなることは明らかです。 またヴィタリック氏はフィーについて、取引可能量は所持しているコインの量に比例することから、資金力のないユーザーにとって、システム上で取引する際に必要なコインは途方もない金額となるとして批判しています。 価格の上昇 EOSチームが、7月2日にメインネットのローンチを発表した事により、4月20日から1週間で約60%の上昇をみせました。ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの代表的な仮想通貨が下落前の半分以下の価格で停滞しているなか、EOSは1月に記録した$18.00を越えて$22.00付近まで上昇しました。 まとめ 理論上ではEOSは、イーサリアムの高いフィー、スケーラビリティ問題を解決する次世代のプラットフォームであり、より優れているものだと考える人も多いでしょう。確かに手数料がかからず、イーサリアムの何倍ものトランザクション数を処理できることはかなり魅力的です。 しかしEOSのプラットフォームはメインネットにまだローンチしておらず、イーサリアムが実際に稼働しているプラットフォームを持つことを考えると、EOSがイーサリアムと同規模までに発展することはまだ先だということがわかります。 DPOSは消費エネルギー、スピードなど様々な面で優れていますが、本当に成り立つかは、実際に稼働してからわかることでしょう。
イーサリアム(Ethereum)のデータ構造~マークルパトリシアツリー

イーサリアム(Ethereum)のデータ構造~マークルパトリシアツリー

2018/05/10 at 5:55 PM 1 comment
はじめに 前回の記事で説明したように、イーサリアム(Ethereum)上ではユーザーの残高は、Account Stateで管理されています。そしてこのAccount Stateは、ブロックチェーンには含まれません。しかし、この仕組みでは異なるノード(マイナー)同士で各アカウントが持っている残高などの合意が取れないため、発行された全てのアカウントから抽出されるState rootという値を、ブロックチェーンに刻むことによって合意を取ることを説明しました。その際、State Rootはマークルツリーなどを用いて計算されることを述べましたが、その詳細は割愛しました。 そこで今回は、①State Rootの計算方法と②State変更が生じた際のState Rootの再計算方法について解説します。まずはじめに、Sate Rootがどのように計算されるのかについて説明します。さらに、トランザクションによってアカウントのStateが変更された時に、どのようにその変更が伝わって、State Rootが計算され直すかについて説明していきます。 イーサリアム(Ethereum)上でのデータ管理 前節で述べたように、各アカウントの状態はブロックチェーンには刻まれません。そのため、改ざんに対して耐性を持たせる必要があります。また、全てのStateをノードのコンピュータに保存するので、データ容量を小さくする必要もあります。さらに、約15秒に1度ブロックが生成されるので、その都度、アカウントの状態(残高など)の変更をState Rootに反映させる必要があります。State Rootに変更を反映するには、はじめに当該アカウントの検索をし、当該アカウントの状態を変更した後、変更があった全てのアカウントを元に計算されたハッシュ値をブロックに書き込む、といったステップが必要です。 そのためアカウントの状態は、以下の条件を満たすように保存されるのが望ましいと考えられます。 データ構造が改ざんに対して耐性を持っている。 データ容量を抑えられる。効率的に保持できる。 検索、データの挿入、削除が早く容易。 イーサリアムのKeyとvalue イーサリアム(Ethereum)では、各アカウントのアドレスとそのアカウントの残高が紐づいています。そのため特定のトランザクションがあった時に、トランザクションに記述されているアドレスをもとに、コンピューターが変更を加えるべきアカウントを探しに行きます。 このとき、特定の情報を探すためのキーワードをKeyと呼び、探すもの自体をvalueとよびます。イーサリアム(Ethereum)の場合、Keyはユーザーのアドレスに対応し、ValueはAccount Stateとなります Tree(ツリー) ここまでで準備ができたので、上であげた要件を満たすための仕組みについて考えていきましょう。ここでは、まず基礎となるPrefix Treeについて説明します。その後、Patricia TreeとMerkle Treeについて説明し、最後にイーサリアム(Ethereum)で用いられているMerkle Patricia Treeについて述べます。 Prefix Tree(プレフィックスツリー) イーサリアム(Ethereum)では、トランザクションに応じてアカウント状態をその都度変更する必要があります。その際、状態に変更があったアカウントの検索を高速にする必要があります。 イーサリアム(Ethereum)における検索の仕組みに入る前に、まずは検索のイメージを掴んでもらいたいと思います。例としてA,B,C,D のアルファベットからなる4文字の文字列を複数並べて見ました。並べ方は二種類用意してあります。文字列を不規則に並べた場合と、樹形図状に並べた場合です。 それでは以下に示す二つの図からBCDAという文字列を探してみてください。 不規則に並ぶ文字列(下図) すぐに見つけられたでしょうか? では、同じBCDAを次の樹形図状の配列の中から探してください。これは簡単ですね。この樹形図がBから始まる図では、上から順にB→C→D→Aというように探している文字を追って行くことで、目的物にたどり着ける構造になっています。 樹形図状に並ぶ文字列(下図) どうでしょうか? 仕組みさえわかってしまえば、樹形図状の構造の方が整理されていて、すぐに見つけられることが実感できたと思います。また、データの数がさらに多くなると、この樹形図はさらに威力を増します。(辞書などが良い例です) 。このデータ構造のことをPrefix Treeと呼びます。 EthereumにおけるPrefix Treeの考え方 これをEthereumに対応させて考えて見ましょう。上の文字列でBCDAなどのアルファベットに対応する部分は、Ethereumのアドレスに対応します。例えば、6f46cf5569aefa1acc100929・・・というkeyに紐づくアカウントの状態(value)を探す場合は、6→f→4→6・・・のようにtreeをたどることですぐに見つけることができます!! Patricia Tree(パトリシアツリー) Patricia Treeは、Prefix Treeをデータの容量面でさらに進化させて、データ量を軽量化させた構造です。比較のために先ほどのPrefix TreeとPatricia Treeの図を示します。 Prefix Tree(下図) はじめにあげた図とは異なり、BACD、BCADというアドレスをもつアカウントがないとしましょう。このとき、一番左側(BADCの枝)の経路のようにAからは必ずDに行く分岐のない経路が現れます。このような場合、AとDを別々に保存する必要がなくまとめてしまおうというのがPatricia Treeの考え方です。以下のようにADをまとめて保存することでデータ容量を節約して軽量化した構造を作ることができます。ちなみに、Patricia Treeは、Radix Treeとも呼ばれることもあります。 Patricia Tree(下図) Merkle Tree(マークルツリー) Merkle Treeは、大きなデータを要約し、その値を検証することでデータが改ざんされていないかを検証できる構造のことです。要約の際に、ハッシュ関数を用います。そのためハッシュツリーとも呼ばれます。ハッシュ関数とは任意の長さの文字列を入力したとき、一定の長さの入力文字列を反映した文字列を出力する関数です。早速、Ethereumの場合でこの要約の方法について見ていきましょう。 EthereumにおけるMerkle Treeの考え方 前回の記事でも述べたように、Account Stateには四つの情報(nonce,code,storage,残高)がありました。この情報をつなぎ合わせて要約(ハッシュ関数に入れる)して、一つのハッシュ値(要約した値なのでダイジェスト値とも呼びます)を得ます。例えば、 hash(nonce)が17で、codeはなくて残高は0.17ethでstorageには何もない)=ba57d3f1ef8・・・ というようにです。(実際には日本語ではありません。) アカウントの情報が要約できたら、この要約を他のアカウントの要約値と合わせてさらに要約します。 下図は、その要約構造を示しています。HAはアカウントA(一番左のアカウント)を、HBはアカウントB(左から二番目のアカウント)を要約したハッシュ値です。これらをまたハッシュ関数に入れてさらに要約値を得ます。これを繰り返すことで、図の一番上のRoot値が得られます。 注意すべきことは、最下層のアカウントの情報が少しでも書き変わると、このRoot値が全く異なる値に変化します。このようにして、アカウントの状態が改ざんされていないかどうかを、この要約値を使って瞬時にチェックできる仕組みがMerkle Treeです。 また、前回の記事で紹介したTransaction RootもReceipts Rootも、どちらもこの構造を用いていて、データの検証を行なっています。 Merkle Tree(下図) ハッシュ化、ハッシュ関数に関しては、以前の記事を参考にしてください。 [イーサリアムアドレス 〜EIP-55によるチェックサムの導入〜](https://consensysmediajapan.com/4443.html#chapter-4) Merkle Patricia Tree(マークルパトリシアツリー) 上であげたPatricia TreeとMerkle Treeを合わせることで、三つの要件を満たすデータ構造が作れます。それがMerkle Patricia treeです。 はじめに述べたように、Ethereumではブロック生成時間が15秒程度に一度なので、トランザクションが起きたらすぐに関連するアカウントをPatricia Treeから探してきて残高などを変更し、さらに改ざんに対して耐久を持たせるために、変更後の要約(ハッシュ)値をすぐに計算する必要があります。 実は、Merkle Treeは以下の図にあるように、変更が加えられたハッシュ値以外は変わらないので、着目しているトランザクションに関係ないアカウントの要約値は変更しないような仕組みなっています。そのため例えば、アカウントC(左から三つ目)の状態が変わったとしても左側の分岐のハッシュ値は変わらないので、ハッシュをすぐに計算する構造も備わっています。 Merkle Tree(Account Stateの変更)(下図) それでは、最後にMerkle Patricia Treeがどのような構造でできているか考えていきましょう。 以下では、Key(ユーザーのアドレスに対応する値)が7b2d(便宜上、4桁の場合を考えています。)であるアカウントに紐づくAccount Stateを見つけにいきましょう。7→b→2→dとたどることでアカウントにたどり着けるはずです。そこで、下図にあるように、16進数なので0,1,2,・・・fの中から7の四角に進みます。 ここで、ポインターと呼ばれる次にどこのデータの塊を参照すればいいかを示すある値を得ます。今回、7に紐づく値は、a85fだったとしましょう。(もちろん、他の値にもそれぞれ特定のポインターが紐づいています。) 今度は、この値を参考にa85fに紐づくデータの塊のなかで、ユーザーのアドレスの7の次のbの値に対応するポインターを参照します。そこには、3aa7とかいてあるのでその値に対応するデータの塊を参照します。これを繰り返すことで、目的であるアドレスが0x7b2dのAccount Stateにたどりつけます。 ここで、ポイントとなるのは、今まで参照してきた謎のポインターの値は、実は複数のアカウントから抽出された要約(ハッシュ)値であったということです。Merkle Patricia treeの最下層には、全てのAccount Stateが紐づきそれの要約値が、まとめられてその情報の塊を参照するポインターの役割をしているわけです。   このような構造によって、Etherrumのカウント構造は効率よく変更され管理されているわけです。この構造は、うまくできていて感動します。 まとめ Merkle Patricia Tree の構造は、少々複雑です。ですが、解説記事があまり少なかったため今回まとめました。もっと詳しい実装に関しては、Ethereumのgithubが参考になります。わからないところがあれば下記のコメントからも質問を受け付けます。 [Patricia Tree](https://github.com/ethereum/wiki/wiki/Patricia-Tree)
ICOの成功事例とは?イーサリアムベースのプロジェクト紹介

ICOの成功事例とは?イーサリアムベースのプロジェクト紹介

2018/04/27 at 4:52 PM 0 comments
  仮想通貨を活用した資金調達の新手法であるICO。2017年から2018年にかけて多くのICOが行われ、ICOの認知度は大きく上昇しました。しかし、その多くのICOは失敗に終わっているのが現状です。 news.Bitcoin.comの調査によると、2017年に行われた46%のICOが失敗に終わっている事が明らかになっています。さらに、現在そのプロジェクトが停滞、プロジェクトとして進展がないとみなされている”Semi-Failed”を含めると、実に59%のICOを行った企業、プロジェクトがICOによる成功を収めるに至っていません。そのため、ICOの安全性、信用を担保するためにICOに対する様々な規制が確立する昨今ですが、世間のICOに対するイメージは益々低迷しているように感じます。 一方で、ICOにはもちろん成功事例も存在します。ICOに関するネガティブなニュースが多い中、あまり取り上げられる事のない成功事例を紹介します。 ICO成功事例 ICOの成功と言っても、ICOを行う事によってお金が集まる事を成功と呼ぶ訳ではなく、それによるプロジェクトの進展が好調であるか、ROI(Return of Investment)が高い事を成功事例の定義とします。最も成功しているICOといえばイーサリアム(Ethereum/ETH)ですが、今回はそのイーサリアムベースの他プロジェクト、ICO成功事例を紹介します。 Status(調達額:約9000万USD・約92億円) (引用:https://coinmarketcap.com/currencies/status/) Statusはスマートフォンユーザーをイーサリアムのエコシステムにつなげることを目的としたメッセージプラットフォームです。Status Network Token (SNT)を発行し、ICOを行いました。このICOは2017年全ICOの中でも5指にはいるICO規模(約$90,000,000集めた)となりました。 本来、Statusのβバージョンが2017年のQ3に公開される予定でしたが、未だプロジェクトの遅延により公開されていません。しかし、α版のアップデートは頻繁に行われていて、進捗がSlackのStatusグループもしくはTwitterにて情報提供されており、β版がリリースされることは確かでしょう。Statusのメッセージアプリケーション(Dapps)はアンドロイドのグーグルプレイにてダウンロードできます。 SNTの役割は、 ブッシュノーティフィケーションの設定 ネットワーク上に登録が可能 プロトコル変更に伴う投票権 Semi-trustedでトークンベースのチャットの展開 スパムを減らす為に、不明なユーザーはSNT保有者にコンタクトをとる場合、ミニマムのSNTを設定することを義務づける メカニズム構築、発展のコミュニティーに参加できる。 P2P、Crypto-Flatな取引所ネットワークにおいて売り手になれる。 Status Sticker Marketに参加できる。 1SNTの現在の価格は0.118USDです。これは、ICO開始時の0.06USDと比較してROIは高いと考えられます。仮想通貨全体の価格下落が起こったにもかかわらず、価格が安定してきていることは、Statusプロジェクトの信頼が高いといえるでしょう。 (参照:https://blog.status.im/) AirSwap(調達額:約1260万USD・約14億円) (引用:https://coinmarketcap.com/currencies/airswap/) AirSwapは、ハッキングのリスクに晒されたり交換手数料を払うことなく、グローバルネットワーク上でEthereumトークンをトレードする機会を提供することを目的としています。分散型のシステムは、安全で拡張性があり、プライベートな価値交換を可能にします。AirSwapは12月5日、約40名のトレーダーと共にテストネットβ版を開始しました。 (AirSwapのロードマップ 引用:https://blog.airswap.io/the-airswap-roadmap-1c1a3c3b20d3) AirSwapはICOをしてからのロードマップを明確に提示しており、今後の指針が明確で、信頼も固いです。AirSwapが未来の分散型取引所として地位を確立するといった期待も高まっています。 AirSwap Token(AST)には2つの主な役割があります。 トレーダーはEthereumベースのトークンを取引する意図をAirSwapのインデックスに追加することを可能にする。(売り買い) AirSwapプラットフォーム内でオラクルの役割を管理する際に、その管理方法を決定する投票権を得られる。 「First, holding AST will give traders the ability to add their “intent to trade” to the Index. This effectively signals to peers their intent to buy or sell specific Ethereum-based tokens. Second, AST gives traders voting power to manage the roles of Oracles within the platform.」(引用:https://blog.airswap.io/the-airswap-token-42855fe5e120) 1ASTの現在価格は0.45USDです。これは、ICO開始時の0.35USDと比較してそこまでROIが高いとは言えませんが、最近再び値を上げてきています。今後イーサリアムが更に上昇し、AirSwapのロードマップが実現されていくことで、更なる価格上昇も期待できるでしょう。 (参照:【AirSwap】Token Traderを発表) 4/27追記:4/25にサービスが開始され、Airswapプラットフォーム上でのトレーディングが可能になりました。 Cindicator(調達額:1500万USD・約16億円) (引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/cindicator/) Cindicatorは「Hybrid Intelligence for Effective Asset Management」というキーワードを掲げ、効果的な資産運用/投資を行うために「人間とAIによるハイブリッド型の知能」を活用して、正しい投資判断が出来るようユーザー/投資家達をサポートするプラットフォームを構築することを目的としています。CindicatorはICOを行う以前から自身のサービス(アプリケーション)を公開していました。ICOによって投資をする人々にとって、プロダクトがすでに稼働しているといったことは大変な安心感と信頼性の担保となりました。去年のICOを行って以来、Cindicatorが生成するデータ量は月間で30倍に増加しており、機能面での改善、発展が行われています。 「Since September, the volume of data we generate every month is up 30x. Learn more about how our indicators evolve」(引用:https://coincheckup.com/coins/cindicator/news) Cindicator Token(CND)には四つの特徴があります。 CNDホルダーはCindicatorのサービス/プロダクトを利用することが可能。 Cindicatorのサービス/プロダクトの一部は、CND保有量に応じてアクセスレベルが設定され、限定的に使用できる。 Cindicatorのサービス/プロダクトの一部は、CNDを支払うことにより利用できる。 CNDプールが形成され、投資予測を行ったアナリストや他の貢献者へCNDの報酬が与えられる。 (参照:【CND】Cindicator(シンジケーター)のICO(トークンセール)が終了) 1CNDの現在の価格は0.087USDです。これはICO開始時の0.02USDと比較して約4倍に位置しています。このことからも、Cindicatorの期待値、需要の大きさがわかります。 Blockmason(調達額:2500万USD・約28億円) (引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/blockmason/) BlockMasonはイーサリアムブロックチェーンのテクノロジーを駆使し、複数のプロジェクトを立ち上げ、相互的に連携し合うプロトコル/システムを開発しているチームです。主に貸借/信用に関する情報を「クレジット・プロトコル」の開発によって、イーサリアム上に記録し取引可能にすることを目的にしています。これは、スマートコントラクトの実用度拡大と具現化を実現します。BlockMason Credit ProtocolToken (BCPT)は2018年2月に「Bitrex」及び「BitBTC」に上場したことで、取引量が一時大幅に上昇しましたが、現在は他仮想通貨の暴落とともに下落してしまいました。 (参照:【Blockmason】とは?複数プロジェクトの相関性について) 最近では、BaseLayre社とパートナーシップを結んでいたこともあり、BlockMason Japanが遂に設立されました。プロジェクトとしてはまだ進展はないものの、ビジョンの壮大さ、期待値がとても高いプロジェクトだと考えられます。 1BCTの現在の価格は0.48USDです。これはICO開始時の0.18USDと比較しても未だに高い水準をキープしています。 まとめ 多くの規制が確立し、ある程度ICOにも歯止めがかかってきましたが、2018年も多くのICOが行われることでしょう。そんな中、ICOに投資として参加する場合は、そのプロジェクトの本質を理解し、どれだけの期待と可能性を持てるのか自身で判断していくことが必要となります。また、ICOを行おうと考えるプロジェクト、企業は、如何にそのプロジェクトが有益で、今後の未来を変革することができるのか、長期的な視点が必要となるでしょう。以上にあげたICOプロジェクト等を参考に、分析、比較していくことを推奨したいと考えます。
ビットコイン、$8,600以上を維持しなければマイナーに損失?

ビットコイン、$8,600以上を維持しなければマイナーに損失?

2018/04/27 at 4:27 PM 0 comments
仮想通貨の市場規模1位を維持しているビットコイン価格は一度は$6,000(約65万円)近くまで下落したものの、現在は回復を継続しており、記事執筆時は$8,900(約95万円)まで上昇しています。しかし、モルガン・スタンレーの調査によるとビットコイン価格が$8,600ライン以上を維持しなければ、マイニング事業は赤字になる可能性が高いという事を公表しました。この記事では、マイニング報酬の問題について分析します。 モルガン・スタンレーの分析 モルガン・スタンレーは、価格の低い電力によるマイニングが可能だとしても、ビットコインが$8,600を超えなければ、損益分岐点を下回るという分析結果を4月19日に公表しました。マイニングマシンの性能上昇により、ビットコインマイニングのディフィカルティが上がり、2018年下半期には、マイナーの利益が大幅に減少する事も予測されています。 *ASIC・・・ビットコインマイニング用の集積回路 (参考:https://www.cnbc.com/2018/04/19/bitcoin-miners-are-losing-money-at-any-price-below-8600-morgan-stanley.html) 「電気料金がとても低い状況(US$0.03 kW/h)を想定しても、大手マイニング業者の損益分岐点は$8,600となる事が予測されます。」ーCharlie Chan "We estimate the break-even point for big mining pools should be US$8,600, even if we assume a very low electricity cost (US$0.03 kW/h)," ーCharlie Chan 半減期とディフィカルティの上昇 半減期 ビットコインのマイニングは計算処理能力の高いPCを用いて複雑な計算式を解き、マイナーがブロックチェーンに取引情報を記録します。マイナーは計算式を解決した報酬としてビットコインが付与されます。 ビットコインの創始者、サトシ・ナカモトは発行上限量が21,000,000BTCとなるようにシステムを設計しました。初期の頃はマイニング難易度は低く、ブロックの生成に成功したら、50BTCを報酬として得られていました。しかし、ずっと50BTCがマイニング報酬として発行され続けてしまうと、ビットコイン供給量が需要を上回り、ビットコイン価格が低下してしまう可能性があります。 この問題の対策として、中央管理者のいないビットコインは、21万ブロックが生成される度に、報酬が半減するという“半減期”が設けることにより、マイナーがハイペースでマイニングすることを防いでいます。1個のブロックは約10分毎に生成されることから、“半減期”はおよそ4年に1度訪れ、次回の半減期は2020年6月に起こることが予想されています。この半減期はマイニング事業の利益確保に大きな影響を与え、損益分岐点をあげる要因となる可能性が高いと予測されます。 ディフィカルティの上昇 中国に拠点を置く、多くのマイナーは「プール」に所属する事でマイニングの効率をあげています。しかし、マイナーの数とマイニング能力が上昇するにつれ、ディフィカルティも上昇します。上記の半減期が設定されている理由と同様に、ディフィカルティはマイニングされるスピードを落とすために設計されたシステムです。2週間に1度ディフィカルティは更新され、ブロック生成時間が約10分になる様設定されます。 ディフィカルティが上昇すると、計算量に対するブロック生成の成功確率が下がるため、マイニングから得られる利益が下がります。 「私たちはマイニング能力の上昇の影響で、2018年下半期にはさらにディフィカルティが上昇しているでしょう。・・・ 2018年下半期までビットコインが現在の価格を維持したとしても、私たちの模擬実験の結果からは、マイニング事業の利益が大幅に落ちる事が予測されます。」ーCharlie Chan "We think the injection of new mining capacity will further increase the mining difficulty in 2H18… Even if the Bitcoin price stays the same in 2H18, we believe mining profits would drop rapidly, according to our simulation."ーCharlie Chan 下の図は2009年から現在までのディフィカルティ数の推移です。 (ディフィカルティの上昇、引用:https://btc.com/stats/diff ) まとめ マイニング報酬が下がる“半減期”と、必要な計算量が増加するディフィカルティの上昇により、BTC価格が$8,600以下に下降した場合、マイニング業者は厳しい状況に立たされることになります。しかし、現在のビットコインの値動きを見ると、上昇トレンドに転じており見通しの良い状況が続く事が予想されます。 マイニング事業が赤字に転じると、多くのマイニング事業者が撤退することが考えられ、ディフィカルティも下降するかもしれません。あくまで推測の域ではありますが、必要計算量の低下により、再度黒字に戻る事もあるかもしれません。長期的視点にたつと、モルガン・スタンレーの分析により表面化したマイニング報酬問題は、深刻なものではないとも考えられます。 しかし、一部のマイニングプールが独占することがあれば、51%攻撃に対し脆弱性を持つことになるという別の問題を抱えることになります。ビットコインの安定性、実用性を高めるためにはやはり、$8,600以上を維持する必要があると思われます。
イーサリアム(Ethereum)のブロック構造とその仕組み

イーサリアム(Ethereum)のブロック構造とその仕組み

2018/04/17 at 4:44 PM 0 comments
はじめに 今回の連載記事では、イーサリアム(Ethereum)ブロックの構造を、ビットコイン(Bitcoin)などと比較しながら解説します。 はじめに、イーサリアム(Ethereum)におけるユーザーのアカウントや、スマートコントラクトなどの情報がどのように管理されているかについて、解説します。次に、Ethereumブロックの構造をBitcoinなどと比較しながら解説します。 ぜひ、この機会にEthereumのブロックがどのような情報を持っていて、どのように承認されるかについて学んでいきましょう。 Ethereum Account イーサリアム(Ethereum)のアカウントには、以下の二種類があります。 外部アカウント・・・EOA(Externally Owned Account)とも呼ばれます。Ethereumを利用するユーザーが保持しているアカウント。秘密鍵によってコントロールされます。 コントラクトアカウント・・・CA(Contract Account)とも呼ばれます。コントラクトに紐づくアカウントでコントラクトに関するコードや情報を持つアカウント。コントラクトアカウントは、秘密鍵は持っていません。 これらのアカウントは、どちらも20byteのアドレスと状態(State)と呼ばれる情報を持っています。このStateについては以下で説明します。また、コントラクトアカウントは、外部アカウントから作成されます。 実際にどのようにしてアドレスが生成されるかなどの詳細は、以下の記事が参考になります。 (参考:イーサリアムアドレス 〜EIP-55によるチェックサムの導入〜https://consensysmediajapan.com/4443.html) Account State アカウントの状態には、以下の4つの情報が含まれます。 どちらのアカウントも共通して、「残高(Balance)、nonce」を記録する部分を持っています。アカウントが持つnonceは、二重支払いを防ぐ役割をしています。着目しているアカウントが行うトランザクションの回数を記録するカウンターとして作用し、トランザクションは、このnonceの小さい方から順にブロックに詰められるようになっています。 そしてコントラクトアカウントのみが、コード(code)、ストレージ(storage)というスマートコントラクトのコードとデータを保存する部分を持っています。外部アカウントの場合、コード、ストレージは無く、空です。 このように、Ethereumでは、アカウントごとの残高が明示的に管理されています。これは、Bitcoinと異なる点です。Bitcoinでは、各アカウントごとに残高が管理されていません。散らばっているUTXOをかき集めることによって、着目しているアカウントがもつ残高を計算しています。そのため、Bitcoinではブロックチェーンから残高を導出する時間計算量も問題視されています。ビットコインのUTXOについては以下の記事が参考になります。 (参考:イーサリアムを理解するためにビットコインの基本を理解しようhttps://consensysmediajapan.com/2485.html) State Root 上であげた全てのアカウントの状態をEthereumのブロックに入れておこうとすると、ブロックのサイズがとてつもなく肥大化してしまいます。そこで、Ethereumでは以下の図に表すように、全てのアカウントの状態をマークルパトリシアツリー(下図の木構造のこと)によって管理しています。(Ethererumでは、すべてのアカウントの状態を記録して管理している全体を特にWorld Stateと呼びます。) すなわち、全てのアカウントの状態ではなく、全てのアカウントのハッシュ値を掛け合わせて作られたState rootと呼ばれるハッシュ値のみがブロックの中に格納され記録されます。このState rootは全てのアカウントのハッシュから計算されるので、いずれかのアカウントの状態が改ざんされると、このstate rootも変わってきます。そのため改ざんなどを防ぐ役割も担っています。 ちなみに、アカウントのStateはブロック内には保存されませんが、マークルパトラシアツリーの状態で各ノードに保存されています。また、全てのアカウントのStateは、ブロック内に保存されている全てのトランザクションから推測、生成することができます。 一番下の段が各アカウントであり、複数のアカウントがもつStateを繋げてハッシュ化することで、全てのアカウントの情報を含む一番上のState Rootが作られます。(マークルツリーなどでは一番上の値をRootと呼びます。) 今回は、あくまでブロックの構造を知ってもらうことをメインに解説しています。 そのためマークルツリーについては次回の記事で詳しく取り上げることにします。 次に、ブロックの中に保存されている項目について整理していきましょう。 ブロック構造 イーサリアム(Ethereum)のブロック構造は、ビットコイン(Bitcoin)のそれに対して複雑です。まず、ハッシュ化されるブロックヘッダーと呼ばれる「ブロックの核」となる部分について比較してみましょう。 BitcoinのBlock Header Bitcoinの場合は,ブロックヘッダーには以下の情報が含まれます。 - nVersion・・・現在のBitcoinのバージョン - hashPrevBlock・・・一つ前のブロックのブロックヘッダーのハッシュ値 - hashMerkleRoot・・・複数トランザクションを先ほど述べたマークルツリーで処理したRoot値 - nTime・・・現在のタイムスタンプ(おおよそ現在の時刻が記録されます) - nBits・・・difficulty(難易度)に関する値。目標とするbit数が入り、この値よりも小さな値になるよう計算を行います。 - nNonce・・・マイナーが選べる任意の値。上にあげたハッシュなどと合わせて、現在のblockから計算されるハッシュが、設定されているtargetよりも小さな値になるように決定します。 これら6つの要素から成り立っています。 ビットコイン(Bitcoin)のブロックチェーンに内包されるBlock header(下図) EthereumのBlock Header 次に、Ethereumのブロックヘッダーについてです。こちらは、項目がBitcoinに比べ格段に多くなります。 Ethereumは、ブロック生成時間が10分であるBitcoinとは異なり、13~15秒と40倍も速い速度でブロックの生成が行われます。 しかし、承認速度が早いということは、計算の難易度が比較的に容易で、すぐにフォークが起きてしまいます。そのため、Ethereumには、承認されなかったブロックに対しても分け前を与えるシステムがあります。また、このときに、承認されずフォークしてしまったブロックのことをUncleブロックと呼びます。このUncleブロックのハッシュ値なども現在のブロックに取り入れられる構造になっています。また、Gasと呼ばれるマイナーに働いてもらうための手数料も特徴的です。 - ParentHash・・・一つ前のブロックのブロックヘッダーのハッシュ値 - UnclesHash・・・Uncle ブロックのブロックヘッダーのハッシュ値(OmmersHash/sha256Unclesとも呼ばれる) - Timestamp・・・現在のタイムスタンプ - Difficulty・・・ブロックを生成する難易度.これ以前のブロックの難易度とTimestampから算出される.Bitcoinとは異なり難易度調整はブロック毎に変動します。 - Nonce・・・マイナーが選べる任意の値。ここにあげたhashなどと合わせて、現在のblockから計算されるhashが、設定されているtargetよりも小さな値になるように決めます。 - TxTrieRoot・・・トランザクションをマークルツリーで処理したRoot値 - Coinbase・・・ブロック生成のマイニング報酬を受け取るアドレス(minerとも呼ばれる) - LogsBloom・・・トランザクションに関連する内容と、それに付随する内容がブルームフィルタと呼ばれる空間効率の良い形で保存されています。(詳しくは,次回以降の記事で紹介する予定です。) - Number・・・ブロック高,現在のブロック数を表します。 - GasLimit・・・このブロックで使用できる最大のGasサイズ - GasUsed・・・このブロックで使用されたGasの使用量 - ExtraData・・・ブロックに関連する任意の情報を記録する場所. - MixHash・・・このブロックで十分な計算が実行されたことを証明するハッシュ - ReceiptsRoot・・・ブロックに入っているトランザクションの実行結果を先ほどのマークルツリーで処理して保存しています。. - StateRoot・・・先述した通り、Ethereum上の全アカウントの情報から得られるハッシュ値(KECCAK-256)。アカウントのstateはblockの外で管理され、ノード値のみブロックに格納されます。 合計15個から構成されています。(正確には、UncleBlockのhash値とUncle BlockのBlockheaderも含まれます。これを含めれば17個の要素から構成されていることになります。) 下図のように、BitcoinとEthereumとの対応が取れるものについては、上図と同じ色で統一しました。 イーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンに内包されるBlock header(下図) イーサリアム(Ethereum)ブロック構造のまとめ 今回は、Ethereumのブロック構造について解説しました。今までよりも、ブロックにどのようなデータが格納されているか、具体的に理解が深まったのではないでしょうか。 最後に、イーサリアムのブロック構造をまとめます。上で述べたブロックヘッダーは、ブロックの中でたくさんの要素が含まれている大切な部分です。 Ethereumのブロックには、他にも各ブロックごとに、その時起きたトランザクションを保管する部分があります。これには、Uncleブロックの分も含まれます。このように大きく分けると三つの要素からブロックが構成されています。(下図) このブロックが連続的に繋がっていくことでブロックチェーンが長く長く伸びて行くのです。 イーサリアム(Ethereum)のブロックに格納される3要素(下図) 次回以降は、今回触れることができなかったトランザクションやGasなどについても詳しく解説して行きます。
イーサリアムアドレス 〜ICAPとENSへの発展〜

イーサリアムアドレス 〜ICAPとENSへの発展〜

2018/04/11 at 4:38 PM 0 comments
ETHの送金などを行う際には、0xから始まる42文字のアドレスを使用します。このイーサリアムアドレスは一文字でも間違えると正しく送金することができません。通常、間違ったアドレスに実際に送金が起こってしまえば、送金したETHは戻ってきません。連載記事の前半では、このようなアドレスの打ち間違いによる誤りを検出する技術 -Capitals-based checksum-について解説しました。 連載の後半にあたる本記事では、イーサリアムアドレスをより使いやすく、送金時のミスを減らせるよう提案された、ICAP(Inter exchange Client Address Protocol)やENS(Ethereum Name Service)について解説していきます。 イーサリアムのアドレス形式 連載前半の記事にて、イーサリアムのアドレスはHEX(16進数)形式であり、この形式であることを示す0xから始まる42文字となっていることを示しました。 例:0x001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9 HEX形式は、よりコンピューターが扱いやすい形式であって、一般的に私達人間が扱いやすいものではありません。試しにイーサリアムアドレスを暗記したり、書き写したりすれば、その難しさを簡単に実感できるでしょう。 またこのイーサリアムのアドレス形式は、チェックサムと呼ばれるアドレスが間違えているのかどうかを検証するための文字列を含みません。 これは後ににICAPやENSといった仕組みによってチェックサムを追加したり、より人間に読みやすい形式に見せたりする意図が設計時にあったために、あえてそのようなチェックサムの追加がなされなかったのです。 ICAP ICAP(Inter exchange Client Address Protocol)はイーサリアムのアドレスの誤りを検出可能にし、国際送金の規格に準じてアドレスを表記する方法として提案されました。ICAPは、銀行間で取引する際にその所在地や、支店、口座番号といった情報を特定する国際標準規格であるIBANコードを参考に設計されています。対応したICAPコードはIBANコードと互換性があります。 IBANコード IBANコードは最大で34文字のローマ字と数字からなる文字列です。ただし、最初の2文字は所在国を示すローマ字2文字、次の2文字は送金情報の誤りを検出するチェックサムに使われることが決まっています。 例えばイスラエルにある銀行では、IBANコードは以下の様になります。   例: IL## AAA BBB CCCCCCCCCCCC IL…イスラエルを表す国名コード ##…チェックサム AAA…銀行コード BBB…支店番号 CCC …口座番号   IBANコードを採用している国同士での送金であれば、IBANコードを使用することによって常に正しく送金を行うことができます。 3つのICAPコード方式 ICAPコードはIBANコードのイーサリアム版と言えます。全てのICAPコードは、どこの国にも属さないイーサリアムのアドレスを意味するXEから始まるという特徴があります。XEのEはEthereum、Xはextendedを表しています。 ICAPコードはその形式でDirect、Basic、Indirectの3つの方式があります。この中で、IBANコードとして使用することができるものは、DirectとIndirect方式のICAPコードの2つです。Basic方式は、IBANとの互換性も無く、チェックサム機能も無いため事実上利用する価値はあまり無いものです。よって以下でDirectとIndirect ICAPコードについて紹介します。 Direct ICAPコード この方式でのICAPコードは、数字とアルファベットを合わせた36種類の文字で表すことができ、最大で34文字となります。Direct ICAPコードの例を示します。   例: XE60HAMICDXSV5QXVJA7TJW47Q9CHWKJDA(34文字)   最初の”XE”はイーサリアムを表しており、次の”60”はチェックサム、それより後ろのHAMI….KJDの部分がイーサリアムアドレスを示しています。 元々のHEX形式のイーサリアムアドレスとの大きな違いは、チェックサムが付いていることによって、アドレス入力時の誤り検出ができることです。 またアドレスの部分が通常のアドレスと少し異なる形をしていることに気付きましたか?HEX(16進数)形式のイーサリアムアドレスでは、使用できる記号は数字およびa〜fまでのローマ字でした。Direct ICAP形式では、数字と全てのローマ字を表記に使用することが可能です。Direct ICAP形式ではbig-endianという方式で、HEX形式からローマ字と数字の形に変換されています。 これはIBANの形式に合わせて変換されていますが、依然として人間が読みやすい形にはなっていません。 Indirect ICAPコード Indirect ICAPコードは、より人間が読みやすい形式を意識した方式です。この方式もXEから始まり、2文字のチェックサムと続きますが、その後にアドレスの代わりになる任意の16文字の文字列(通常ある単語など)が続きます。例を示します。   例: XE##ETHXREGKITTYCATS(20文字)   ここでチェックサムの##部分の以降は、資産の種類を示す3文字(ETH)、4文字のネームーサービス名(XREG)、そして9文字のアカウント名(KITTYCATS)となります。この形式であれば、HEX形式に比べて人間でも覚えやすい形になっているかと思います。 しかし、このアドレスのKITTYCATSの部分から、実際の送金先のHEX形式のアドレスを明らかにすることはできません。Indirect形式では、事前にKITTYCATSというアカウント名に紐付いたイーサリアムアドレスをどこかに登録しておく必要があります。 事前に9文字の文字列とそれに対応するアドレスが対応したデータベースがあり、送金時にはこのデータベースを参照することによって、文字列に紐付いた送金先にイーサリアムを送金できることになります。 ICAPコード利用現状 IBANコードに準拠した形でチェックサムによる誤り訂正機能を持っているICAPコードですが、あまり使用されていないのが現状です。Direct ICAPコードは対応したウォレットを使うことによって生成することができますが、ICAPコードによる取引が可能な取引所はKrakenなど極一部に限られています。 またIndirect ICAPコードについては、文字列とイーサリアムアドレスを結びつけるデータベースをどのように作るのかという現実的な部分は提示されていません。 現状でもICAPの定義には曖昧な部分が多く、これはEIP-57, 70, 77で議論されています。とはいっても現在でも議論open状態として進行中のEIP-77についても、最後の投稿が2016年の3月であり、あまり活発な議論は進んでいないようです。 Indirect ICAPコードはイーサリアムアドレスをより人間が扱いやすい形にするという取り組みの試験的なものとして示されましたが、現在ではこの考え方をより一般的に拡張したENS(Ethereum Name Service)による解決が期待されています。 ENS ENS(Ethereum Name Service)は、イーサリアムのアドレスに対してある文字列を指定することで、送金時にその文字列を使って送金処理を実現させる技術です。 普段私達がインターネットブラウザからホームページにアクセスする際には、URLを使いますが、これはDNS(Domain Name Service)と言って、インターネット上の住所であるIPアドレスに対してURLという形の文字列を指定することによって実現しています。ENSはイーサリアムアドレスにおける、DNSのようなサービスだと言えます。 ENSを使うことによって、   例:0x001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9   このようなHEX形式のイーサリアムアドレスを、   例:consensysmediajapan.eth   のような7文字以上のドメイン名として分かりやすい形に置き換える事が可能になります。ENSではチェックサムの様な機能はありませんが、アドレスに対して好きな文字列を選ぶことができます。人間が扱いやすい単語などを使うことができるため入力時の誤りを減らすことが期待できます。 ENSの取得手順 あるアドレスとそれに対応するドメイン名の関係は、イーサリアムブロックチェーン上のスマートコントラクトに保存されます。この登録は、MyEtherWalletなどから誰でも行うことができます。 ENSの取得は大きく分けて以下の手順になります。ドメイン名の取得は合計5日間のオークションによって行われます。オークションは、入札価格を公開しない3日間と公開できる2日間に分かれています。以下にその手順を示します。  1・準備 ドメイン名と紐付けるイーサリアムアドレスを選択します。そして、自分がオークションで支払える最大額のETHを指定します。(この時、オークションのトランザクションを処理するために0.01ETHが追加で必要です。)  2・オークションの開始(72時間/3日間) あなたは、名前と入札額を提示しますが、この情報はこの段階では公開されません。  3・入札額の開示(48時間/2日間) あなたは、この期間で自分の入札額を公開することができます。入札額を公開した場合、もしこのドメイン名を落札した際に、2番目に高い入札額と自分の入札額の差額の返金を受けることができます。  4・オークションの最終処理 合計5日間のオークションが終了すると、オークションでの落札者は最終処理を行い落札したドメインを自分のものに確定させます。3.にて入札額を公開していた場合は、差額の返金を受けることができます。もし入札者が自分だけだった場合には、トランザクションの処理にかかる0.01ETH以外の全てのETHが返金されることになります。 取得したENSの有効期限 このようなオークションプロセスによって落札したENSは、落札から1年間、所有権が有効になります。落札から1年が経過した時、落札者は所有権を放棄することでオークションによってロックアップしたETHの返却を得ることができます。 また、現段階で取得したENSには1年の期限が設けられていますが、今後永続的に取得したENSを保持できるようなシステムも開発途中です。有効期限が存在しないシステムに移行した場合には、既に所有している期限付きのドメインを、所有権が無期限なシステムに登録し直す事ができるようです。 ENSの価値 企業を立ち上げる際、”屋号” つまり会社名はとても重要なものです。同様にインターネット上で何かしらのサイトを立ち上げる際にも、取得したドメインの名前はサイトの認知度合いに何らかの影響を持つでしょう。もし今後、イーサリアムによる支払いやスマートコントラクトを利用したサービスが一般化したならば、イーサリアムアドレスのドメイン名もまた大きな価値を持ってくるでしょう。 既にこのENSの取得競争は始まっています。Cointelegraphによると既に、仮想通貨の取引所を意図するexchange.ethが6,660ETH、foundation.ethが300ETHなど、非常に高額な入札が行われています。 まとめ この2回の連載記事では、イーサリアムのアドレスにまつわる誤り訂正技術や、アドレスをより人間にとって可読性が高い形式に置き換える技術について紹介しました。現在は、まだ一般社会でブロックチェーンを利用したDappsが浸透してはいませんが、今後Dappsやイーサリアムを用いた支払いが一般的になったとき、このような誤りを訂正する技術がより重要になってくるでしょう。
イーサリアムアドレス 〜EIP-55によるチェックサムの導入〜

イーサリアムアドレス 〜EIP-55によるチェックサムの導入〜

2018/04/04 at 8:03 PM 0 comments
はじめに 今回の連載記事では、イーサリアムの”アドレス”について解説します。読者の皆さんは、自分が保有するイーサリアムアドレスについて気にかけたことはありますでしょうか?イーサリアムアドレスは0xから始まる合計42文字の文字列です。これを正確に記憶している人はなかなかいないのではないでしょうか。 イーサリアムに限らず仮想通貨におけるアドレスは、銀行口座の口座番号のようなものです。送金・受金の際に、この長いアドレスを1文字でも打ち間違えてしまうと、保有する仮想通貨を失うことになりかねません。このような背景から、打ち間違えた際に誤りを検出する技術や、より覚えやすい文字列に置き換える技術が開発されています。 連載記事の前半では、イーサリアムアドレス生成の流れと現状取り入れられている誤り検出の技術(Capitals-based checksum)を解説します。 後半では、イーサリアムのアドレスを国際送金の基準に準じ、より扱いやすくするICAPコードや、覚えやすい文字列に置き換えるENS(Ethereum Name Service)について解説します。 必要な知識 本連載記事を読み進めるにあたり、必要となる前提知識について、簡単に解説します。秘密鍵/公開鍵・一方向ハッシュ関数・チェックサムといった用語について既に知っている場合、読み飛ばしていただいて構いません。 秘密鍵/公開鍵 暗号技術を用いて、他者に知られたくないコミュニケーションをしたい場合は、内容を暗号化および復号化する必要があります。暗号化と復号化には、それぞれ”鍵”が必要となります。 暗号化と復号化に同じ鍵を用いる場合は、共通鍵認証と呼ばれています。一方で、イーサリアムをはじめとする仮想通貨においては、暗号化と復号化に異なる鍵を用いる公開鍵認証と呼ばれる暗号方式が利用されています。公開鍵認証自体にはいくつかのアルゴリズムが存在しますが、イーサリアムでは、楕円曲線DSA(ECDSA)を採用しています。 この公開鍵認証においては、秘密鍵と公開鍵と呼ばれる二つの鍵が存在します。両者の特徴は以下の通りです。 秘密鍵 他者には知られてはいけない鍵(銀行の暗証番号に相当) ランダムに生成 公開鍵 他者に知られても良い鍵(銀行の口座番号に相当) 秘密鍵を元にして生成 公開鍵から秘密鍵を推測することは困難 より詳しく知りたい場合は、ビットコインやイーサリアムの保管、仮想通貨の公開鍵と秘密鍵が参考になります。 一方向性ハッシュ関数 ハッシュ関数(要約関数)とは、ある任意の長さのインプットのデータを与えた時に、アウトプットとして固定長の文字列や数値列に変換する関数です。インプットとアウトプットは、それぞれ”メッセージ”と”ハッシュ値”と呼ばれます。このハッシュ関数の重要な特徴として、”一方向性”が挙げられます。 一方向性とは、メッセージからハッシュ値はアルゴリズムによって計算されるものの、ハッシュ値からメッセージを逆に計算することは非常に困難であることを意味しています。このような特徴から、一方向性ハッシュ関数と呼ばれています。またハッシュ関数にインプットするメッセージが僅かでも変化すると、アウトプットされるハッシュ値が大きく変化することから、データ改竄の検出等に使うことが可能です。 一方向ハッシュ関数の重要な特徴を以下にまとめます ハッシュ値は固定長の文字列/数値列となる メッセージが僅かでも変化するとハッシュ値は大きく異なる ハッシュ値からメッセージを推測することは非常に困難 チェックサム インターネットをはじめとする情報通信においては、必ずしも送信したデータが正確に受信されるとは限りません。データの一部が誤って受信側に伝わることは頻繁にあることです。そのような状況が生じた時に、受け取ったデータが”誤っている”ことを検出できれば、送信側に対して再度送信を要求するなどの対応を取ることが可能になります。このような誤り検出を可能にする手法の一つが、チェックサムです。 チェックサムの仕組みを簡略化して説明します。 例として、”462565”というデータを送信するとします。ただし、”462565”をそのまま送信するのではなく、ある数字Sを追加して誤り検出をできるようにします。 まず”462565”のそれぞれの桁の合計値をSとして、それを計算します。   S = 4+6+2+5+6+5   = 28   この合計値 S を送信するデータ”462565”の末尾に付けて送信することにしましょう。送信データは、”462565+S” = “46256528”となります。このチェックサムの仕組みを、受信側が理解していれば、受信したデータの一部が誤っていた場合に誤りを検出することができます(データの合計値と付加したSの間に不一致が生じるため)。 例えば、チェックサムをつけた状態の正しいデータは”46256528”ですが、何らかの原因によって”46256628”とデータが受信されたとします。   正しいデータ:”46256528” 誤ったデータ:”46256628”   この時、誤ったデータのチェックサムを取り除き、”462566”の合計値S’を計算してみましょう。   S’ =  4+6+2+5+6+6   = 29   受信したデータ“46256628”から、チェックサムSは28であることが分かっています。一方で、誤ったデータを元に再度計算して求めたチェックサムS’は29です。この違いから、データに誤りがあることがわかります。 上記の例では非常に簡略化した例を用いてチェックサムの概念を紹介しました。イーサリアムにおいては、Capitals-based checksumと呼ばれる手法を用いることで、入力したアドレスが誤っているかどうかをその場で判断することができます。Capitals-based checksumについては、後ほど詳しく説明することとします。 イーサリアムアドレス生成 生成の手順 前節において解説した前提知識を用いて、イーサリアムのアドレス生成の手順を説明します。手順は以下の通りです。 ※以下で用いられるアドレス等の文字列は、Mastering Ethereumから利用しています。   秘密鍵 k を生成(32バイト) 例:k = f8f8a2f43c8376ccb0871305060d7b27b0554d2cc72bccf41b2705608452f315   秘密鍵 k から楕円曲線DSA(ECDSA)を用いて公開鍵 K を生成(64バイト) 例:K = 6e145ccef1033dea239875dd00dfb4fee6e3348b84985c92f103444683bae07b83b5c38e5e2b0c8529d7fa3f64d46daa1ece2d9ac14cab9477d042c84c32ccd0   公開鍵 K から一方向性ハッシュ関数 Keccak-256を用いてハッシュ値を計算(32バイト)    例:Keccak256(K) = 2a5bc342ed616b5ba5732269001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9   先頭12バイトの文字を消去し20バイトのイーサリアムアドレスを取得    例:001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9   アドレスが16進数であることを示すために 接頭辞”0x”をアドレスに付加    例:0x001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9   さてこのようにして得られるイーサリアムアドレスは、HEX(16進数)形式のアドレスと呼ばれています。HEX形式のアドレス生成においては、チェックサムを付加するステップはありません。つまり1文字でもアドレスを打ち間違えた場合には、誤りを検出することができず、ETHを失うことになります。 イーサリアムがチェックサムを持たない理由 イーサリアムのアドレスがチェックサムを持たない理由として、将来的にアドレスをより可読性の高いネーム形式(ENS: Ethereum Name Service)に移行するためだと言われています。ネーム形式とは、”consensysmediajapan.eth”のような任意の文字列が、あるHEX形式のアドレスに対応している形式です。ユーザーはHEX形式のアドレスを利用する代わりに、より可読性が高く、記憶のしやすい文字列を使えるようになります。これは現在のインターネットのURLのドメインに相当する概念です。 加えて、イーサリアムアドレスはICAP(Inter exchange Client Address Protocol)形式のアドレスといったフォーマットも検討されています。このICAP形式のアドレスは、デフォルトでチェックサムが付加されていることから、誤りを検出することが可能になっています。 上述のENSとICAPについては、連載の後半で詳しく説明します。 EIP-55 イーサリアムはICAP形式を用いることで、誤り検出が可能になると述べました。しかしICAPへの移行はあまり進んでおらず、多くのユーザー、取引所、ウォレットがHEX形式のアドレスを利用しているのが現状です。 しかしICAP形式が広まるまでHEX形式のイーサリアムアドレスの誤り検出ができないのは大きな問題です。そこで2016年1月にイーサリアム創設者のVitalik Buterin氏が提案したのが、Capitals-based checksumと呼ばれる誤り検出方法です。これはEIP-55において議論され、最終的に正式に採択されています。 Capitals-based checksumとは Capitals-based checksumとは、HEX形式アドレスのローマ字の小文字を、ある一定の手順によって大文字に置き換えることで、誤り検出の機能を持たすことが可能なチェックサムです。変換されたアドレスは大文字・小文字が混在していますが、小文字のみのHEX形式アドレスと下位互換性があります。 つまりCapitals-based checksumに対応していない取引所やウォレットおいて、Capitals-based checksumに基づいて変換されたアドレスを用いても何も問題は生じません。 先ほどアドレス生成の流れで説明したアドレスをCapitals-based checksumを用いて変化すると以下のように変換されます。ローマ字の一部が大文字に変換されています。 変換前:0x001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9 変換後:0x001d3F1ef827552Ae1114027BD3ECF1f086bA0F9 自分のイーサリアムアドレスを取引所やウォレットで確認してみましょう。おそらく大文字と小文字が混在したアドレスが表示されているのではないでしょうか?これはCapitals-based checksumによって誤り検出を可能にした形式のHEXアドレスなのです。 Capitals-based checksumの仕組み Capitals-based checksumによってアドレスを変換する方法と誤りを検出する方法を解説します。 アドレス変換方法 変換前のイーサリアムアドレスから接頭辞である”0x”を削除し、一方向性ハッシュ関数Keccak-256を計算してハッシュ値を得ます。 ハッシュ値 = Keccak-256(“イーサリアムアドレス”) ハッシュ値 = Keccak-256("001d3f1ef827552ae1114027bd3ecf1f086ba0f9") = 23a69c1653e4ebbb619b0b2cb8a9bad49892a8b9695d9a19d8f673ca991deae1   アドレスのローマ字部分に対応するハッシュ値の値が、16進数で8以上の場合(8,9,A,B,C,D,E,F)は、アドレスのローマ字の小文字を大文字にします。   表1:ハッシュ値と変換後アドレスの関係 表1にアドレスとハッシュ値の先頭10文字を示しました。アドレスの4文字目はローマ字の”d”です。対応するハッシュ値は6ですので、8以下ですので大文字には変換しません。次にアドレスの6文字目を考えてみましょう。対応するハッシュ値はcですので、これは16進数では8以上の値です。よってアドレスのローマ字を大文字に変換します。この手順によって、アドレスの全てのローマ字を大文字に変換するかを確認します。この際、比較されるハッシュ値は先頭20バイト(40文字)のみです。これはアドレスの長さが20バイト(40文字)であるためです。 誤り検出方法 次に誤り検出の方法について説明します。今、変換されたアドレスの一部を誤ってウォレットにタイプしたとしましょう。最後から2文字目”F”を誤って”E”とタイプしてしまいました。   正しいアドレス:0x001d3F1ef827552Ae1114027BD3ECF1f086bA0F9 誤ったアドレス:0x001d3F1ef827552Ae1114027BD3ECF1f086bA0E9   誤ったアドレス(を全て小文字に置き換えて)の再度ハッシュ値を計算します。使用する一方向ハッシュ関数は、アドレス変換時と同じくKeccak-256です。   ハッシュ値(誤)  = Keccak-256(”誤ったアドレス”) ハッシュ値(誤) = Keccak-256( "001d3f1ef827552ae11114027bd3ecf1f086ba0e9") = 5429b5d9460122fb4b11af9cb88b7bb76d8928862e0a57d46dd18dd8e08a6927   このハッシュ値(誤)を、正しいアドレスの場合のハッシュ値(正)と比較してみます。   ハッシュ値(正):23a69c1653e4ebbb619b0b2cb8a9bad49892a8b9695d9a19d8f673ca991deae1   ハッシュ値(誤):5429b5d9460122fb4b11af9cb88b7bb76d8928862e0a57d46dd18dd8e08a6927   たった1値文字のアドレス違いから、全く異なるハッシュ値が得られました。このハッシュ関数の特性が誤り検出をする際のキーポイントとなります。 表2:アドレスの入力を誤った場合のハッシュ値(誤)と変換後アドレス 誤ったアドレスに基づいて得られたハッシュ値(誤)を元にして、もう一度元のアドレスの大文字小文字を変換しました。表1と表2の変換後アドレスを比較してみましょう。先ほどまでは小文字であったdが大文字に変換されていることがわかります(4文字目)。他にも大文字であったFが小文字に(6文字目)、小文字であったeが大文字(8文字目)などに変換されてしまっています。 上記の例に示したように、正しくCapitals-based checksumによって変換さえれていたアドレスを1文字でも打ち間違えると、元のアドレスとは異なった位置のローマ字が大文字・小文字に変換されてしまいます。 この違いを検出することで、入力されたアドレスに誤りがあることを示すことができます。Capitals-based checksumは99.986%の精度で誤りを検出できるとされています。また実装も簡単なことから、現状ではイーサリアムアドレスのチェックサムとして活用されています。 まとめ イーサリアムアドレスに関する連載の前半では、アドレス生成の流れとCapitals-based checksumを利用したアドレスの誤り検出について説明しました。連載の後半では、ICAPやENSといった将来的なイーサリアムのアドレスの進展について解説します。
【ビットコイン(Bitcoin/BTC)とは?総集編】仮想通貨/ブロックチェーン技術仕組み/変遷

【ビットコイン(Bitcoin/BTC)とは?総集編】仮想通貨/ブロックチェーン技術仕組み/変遷

2018/03/27 at 6:50 PM 0 comments
「仮想通貨」「暗号通貨」「ビットコイン(Bitcoin/BTC)」「イーサリアム(Ethereum/ETH)」。様々な媒体を通して、これらの単語を頻繁に耳にするようになったのではないしょうか。 本章では「ビットコイン(Bitcoin/BTC)とは何か?」をテーマにし仮想通貨・暗号通貨の定義、ブロックチェーンの技術や、ビットコインの特徴・メリット・デメリット・価格変遷に関する情報をまとめていきたいと思います。 ビットコインとは? ビットコインの誕生 ビットコインは、2008年10月にナカモトサトシ(Satoshi Nakamoto)と名乗る人物が発表した論文を元に作られた通貨です。ブロックチェーンという技術を応用して作られた「仮想通貨」及び「暗号通貨」の一種です。 生みの親、Satoshi Nakamotoとは? ナカモトサトシはビットコイン・プロトコール及びソフトウェアBitcoin-Qtの創始者として知られていますが、本名・年齢・国籍等の情報はもちろん、個人か団体なのかさえ不明となっています。同人物は複数のメンバーと共にソフトウェアの開発に携わっていましたが、2010年の半ば頃に忽然と姿を消しました。様々な人物がサトシ氏ではないかと推測・憶測されていますが、未だ正体は不明のままです。これは仮想通貨界の「最大の謎」といわれています。 なお、ナカモトサトシと名乗る人物は2100万BTCの内100万BTCを所有していると推測されています(現在の相場で9880億円に相当する)。 ビットコインの特徴 ブロックチェーン技術及びP2Pネットワーク ブロックチェーンとは、 「ビットコインなどの取引のデータの塊、つまり “ブロック” を ”チェーン状” に連ねたものです。新しい取引データは新しいブロックとなりブロックチェーンに繋がれていきます。 ビットコインやイーサリアム等の仮想通貨のブロックチェーンはインターネット上で世界中に公開されており、誰でも同じ一つのブロックチェーンを信用して取引内容を確認することができます。」 (引用:https://consensysmediajapan.com/3614.html#chapter-3) この「一つのブロックチェーンを信用する」システムを採用している為、ビットコインは管理者や発行主体を持ちません。中央銀行を発行主体として持つ「法定通貨」との主な違いは、この点にあります。 具体的には、ネットワーク参加者の複数の端末によって運用されていて、直接的なやりとりを実現します。更に、ネットワーク上に取引記録が公開されており、参加者によって維持管理されているため、二重譲渡等の不正や改ざんが難しくなります。この仕組みは「Peer-to-Peer Network」(P2Pネットワーク)及び「分散型元帳」とも呼称されます。 発行上限がある ビットコインはプログラムのコードによって発行上限が2100万BTCと定められています。当初は1ブロックあたり50BTCの報酬でしたが、現在では12.5BTCで発行されています。2140年までには上限に到達し、新規発行が終了する事が予測されています。 (引用:https://jpbitcoin.com/about/whatisbitcoin1) 通貨としての「交換性」 不特定多数の人によって発行され、世界中の誰に対しても、どの通貨でも安価・即座に送金できる。個人間での直接送金を可能にします。その一方で、電子マネーの場合、発行主体が存在し、「現金の対価」として限定的な役割を果たします。 (引用:https://jpbitcoin.com/about/whatisbitcoin1) ビットコインの仕組み 秘密鍵・公開鍵・アドレス ビットコインには「秘密鍵」と「公開鍵」という対になった鍵があります。 秘密鍵はランダムに51の英数字で形成され、公開鍵はこの秘密鍵から生成されます。公開鍵は暗号化されており、公開鍵から秘密鍵を割り出す事は難しい仕組みとなっています。 更に、この公開鍵からビットコイン・アドレスが生成されます。これは27〜34文字の英数字で形成されていて、「入金口座」として各ウォレットに設定されています。このアドレスから秘密鍵を調べる事はできません。 実際にビットコインを送金する際に、上述のビットコイン・アドレス及び公開鍵が必要となります。まず、送信者が「誰に」「いくら」送るか等の情報が正しいかを確認し、それを証明するものとして自身の秘密鍵を用いて電子署名します。ビットコインの受信者は、自身の公開鍵を用いて暗号化された取引データを解読します。 これらの取引データはハッシュ関数というものを用いて計算され、一定の値に変換されます。これを「ハッシュ化」と言います。ブロックチェーン上の前取引の前ハッシュに新たな取引情報及び自身の公開鍵を加え、新たなハッシュを生成する仕組みとなります。一度ハッシュしたデータは元に戻せません。また、このハッシュ値から元のデータを復元する事もできません。 (引用:https://consensysmediajapan.com/3827.html) マイニング マイニングとは、ビットコインを「新たに発行(採掘)する」行為です。ビットコインを採掘する人々はマイナー(採掘者)と呼ばれます。 ハッシュを完成させる為には特別な条件を充した数字、「ナンス値」(Nonce / Number used once)を求める必要があります。この作業が、マイニングにおける「作業」となります。つまり、マイナー同士で競争し、一番最初にその数字を探し当てた者が「勝者」となり、報酬が与えられるシステムとなります。この作業は、鉱山で金を掘り出す作業を連想させる為、「マイニング(採掘)」と呼ばれています。 Proof of Work (PoW) Proof of Work(PoW / プルーフ・オブ・ワーク)とは、「仕事・作業による証明」の略で、ビットコインが採用しているコンセンサスアルゴリズム(合意形成)です。 上述の通り、マイナー達は「ナンス値」という「特別な条件を充した数字」を計算し、探し当てる作業を行います。具体的には、「前グロックのハッシュ値+取引データ+ナンス値」から新規ブロック用のハッシュ値を求める作業です。「先頭に一定の数以上のゼロが並んでいる」ようにハッシュ値を導くナンス値を求めます。 上述の通り、マイナー達はナンス値を探し当てる為、作業を行います。プルーフ・オブ・ワークでは、この膨大な計算処理を伴う「作業」に対する「承認」を行う仕組みを指します。一番手の計算に対して、二番手以降のマイナーによる正誤の確認が行われ、複数のマイナーによって合意・承認されたブロックが生成・認証される仕組みとなっています。 もし、PoWが採用されていなければ、誰でもブロックを生成する事が可能になり、どれが正しいブロックチェーンなのかが分からなくなってしまいます。よって、PoWは、一定且つ安全なネットワーク環境を維持する為に採用されたシステムであり、ビットコインの改ざんや二重送金等の不正を防ぐ中核的な枠組みとなります。 「Proof of Workでは世界中のマイナーが同じ計算問題を解きます。計算問題には特に攻略法は存在しないので、ただ繰り返し適当に数字を入れてみて合ってるか検算するしかありません。この繰り返しをより多くするほど答えを見つける可能性が上がるので、マイニングはどれだけ多くの繰り返し計算ができるかの競争になります。」 (引用:https://consensysmediajapan.com/3614.html#chapter-3) ビットコインの価格推移と歴史 (参照:https://consensysmediajapan.com/3621.html) 2008年 2008年10月:ビットコインの論文 2008年10月にナカモトサトシと名乗る人物によって、論文『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』がインターネット上に投稿及び公開され、多くのプログラマーや技術者達の関心を集めました。 2009年 2009年1月:ビットコインの最初のブロック、世界初の取引 技術者が集まり、2008年に発表されたナカモトサトシ氏の論文を元にオープンソースのソフトウェアの開発に取り組み、2009年1月3日には、ブロックチェーンの最初のブロック(genesis block)が公開されました。 更に、同月にビットコインによる初のトランザクションが行われました。ナカモトサトシ氏が暗号研究者Hal Finney氏へビットコインをスキンしました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2010年 2009年5月:実世界における初の商取引 あるエンジニアがピザ2枚を宅配注文し、1万ビットコイン(1BTC=¥0.2)と交換しました。これがビットコインによる初めての商取引であったと考えられています。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2011年 2011年4月:ビットコインがメディアに掲載 ビットコインが大手メディアであるTIME誌に掲載された事により、世界中に広まるきっかけとなりました。その後、ビットコインの価格は急騰し、1500前後となります。 2011年6月:Mt.Gox、最初のハッキング被害 マウントゴックス(株式会社Mt.Gox、Magic: The Gathering Online eXchange)は、東京都に拠点を置いていたビットコイン取引所です。2011年に、Mt.Gox社はハッキングを受け、1習慣程取引が停止しました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2013年 2013年3月:キプロス危機 キプロス共和国は元々、タックスヘイブン(租税回避地)として認識されており、多くの富裕層や投資家を引きつけていました。しかし、リーマンショックによる不況や同国のEU加盟により、「キプロス危機」とも呼称される金融危機を招いてしまいます。結果として、EUから支援を受ける代わりに、政府は全国民の預金に最大9.9%の資産課税をかけ、国民から税金を徴収しました。そこで、国民は預金を守る一つの手段として、ビットコインに着目しました。 政府や法定通貨に対する信頼の希薄化により、キプロス国民は「中央集権のない通貨」の重要性を理解し、ビットコイン(仮想通貨)の人気が高まりました。キプロスの金融危機をきっかけに、ビットコインの魅力が世界中に広まり、一時266ドル程に上昇しました。 2013年10月:シルクロード閉鎖 ビットコインは、「シルクロード」という闇市場において、薬物取引等の目的で利用されていました。2013年10月に、FBI(米連邦捜査局)によって摘発され、閉鎖しました。 2013年12月:NHKビットコイン特集 日本の放送局であるNHKがビットコインの特集を放送し、国内における認知度が上がり、ビットコイン価格の高騰要因となりました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2014 2014年2月:Mt. Gox事件 2010年から事業開始後、世界最大規模のビットコイン取引所として知られるようになりました。2013年には、ビットコイン取引量の全体の70%を占める程の規模でした。 しかし、2014年2月に「マウントゴックス事件」が起こりました。マウントゴックス事件とは、ビットコインが不正操作によって消失した事件を指します。合計115億円に及ぶ資産(75万BTC及び28億円の預かり金)を消失しました。現在のレートで換算すれば、かなり巨額(約470億円)になります。同年2月24日までには全取引が中止され、最終的にMt.Goxは破綻しました。 仮想通貨界を震撼させる事件となり、特に日本国内におけるビットコイン(仮想通貨)のイメージダウンのきっかけとなりました。当然、ビットコインの価格も暴落しました。 「インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」を運営するMTGOX(東京・渋谷)が28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日受理されたと発表した。債務が資産を上回る債務超過に陥っていた。顧客が保有する75万ビットコインのほか、購入用の預かり金も最大28億円程度消失していたことが判明した。」 (引用:https://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2802C_Y4A220C1MM8000/) 2014年5月:bitFlyerがサービスを開始 日本の仮想通貨販売所である「bitFlyer」がサービスを開始しました。 2014年6月:bitbankやQuoineがサービスを開始 中国取引所のOKCoinと提携した「bitbank」及びシンガポールの「Quoine」が6月にサービスを開始しました。 2014年9月:coincheckがサービスを開始 bitFlyerに続き、日本国内において新たな取引所「coincheck」がサービスを開始しました。 2014年12月:米Microsoft、ビットコイン決済開始 Microsoft社が、アメリカ在住者を対象に、ビットコインによる決済の受付を開始しました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2015年 2015年 月:Bitstamp、ハッキング 当時の最大取引所であった「Bitstamp」がハッキング被害に遭い、約500万ドル程の損害が発生いしました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2016年 2016年3月:DMM.com、ビットコイン決済開始 通販総合サイトDMM.comがビットコイン決済を開始しました。 2016年8月:Bitfinex、ハッキング事件 香港にある世界最大級の取引所であったbitfinexがハッキングに被害に遭い、12万BTC(当時6300万ドル、現在では80億円)が盗まれました。その後、ビットコイン価格が急落しました。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2017年 2017年月4月:ビットコインの法律規定 取引所における利用者保護を含む改正資金決済法が4月1に施行されました。 2017年8月:ビットコインの分裂 ブロックチェーンの容量における問題により、コミュニティはハードフォーク(分岐)を決断しました。このハードフォークに反対した一部が分裂し、ビットコイン・キャッシュ(BCH)が誕生しました。 2017年9月:中国、ICO禁止及び取引所停止 9月2日に56万円台の最高値をつけたビットコインでしたが、その後の中国政府による規制への動きやJamie Dimon氏による発言で大暴落となりました。 中国当局による仮想通貨に関する規制強化の動きが見られました。同国政府は9月4日に「ICOの全面禁止」を発表しました。更に、国内の仮想通貨取引所(BTCC、OKCoin、Huobi等)が閉鎖されるという噂がメディアによって浮上し、ビットコインに対する懸念が益々高まりました。この事態は、チャイナ・ショックとも呼称されています。 2017年9月:Jamie Dimon氏、「ビットコインは詐欺だ」 上述の要因と併せて、JPモルガンのCEOであるJamie Dimon氏による「ビットコインは詐欺だ」という批判があり、ビットコインは大暴落し、20%以上下落しました。 2017年12月:ビットコイン先物上場 シカゴオプション取引所(CBOE)にて先物上場。 (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) 2018年 2018年1月:ビットコイン大暴落 1月16日にビットコインが大暴落し、120万円台まで下がりました。 2018年1月:Coincheck、NEM盗難事件 日本の仮想通貨取引所であるcoincheckがハッキングされ、過去最高の損害額である580億円程のNEMが盗難被害に遭いました。この後、ビットコインは一時60万円台まで下落します。 2018年3月:自主規制に向け新団体設立 自主規制に取り組むため、仮想通貨交換業社16社が連結し、新団体(「仮想通貨交換業協会」(仮称))を設立する予定であると発表されました。 「金融庁に登録済みの仮想通貨交換業者16社が、認定自主規制団体を目指す新団体の設置でこの2018年3月1日に合意した。2018年3月2日、JCBA会長でもあるマネーパートナーズ代表取締役の奥山泰全氏とbitFlyer代表取締役の加納裕三氏が記者会見に臨み、合意について明らかにした。2018年1月末のコインチェックへのハッキングによる仮想通貨NEMの大量盗難事件を受けて業界への規制強化、健全化への取り組みが進んでいる中、いままで遅れていた業界団体による自主規制に取り組む。」 (引用:http://jp.techcrunch.com/2018/03/02/cryptocurrency-self-reguration/) (引用:https://www.enigma.co.jp/media/page-4858/) ビットコインのメリット・デメリット / ビットコインの課題 ビットコインのメリット ①送金が早い、安い 銀行等の金融期間を介する必要がなく、インターネット上の取引となるので、営業時間に左右される事なく365日・24時間可能となります。更に、仲介者を必要としない為、送金・決済を比較的低コストで実施できます。 ②両替の必要がなくなる ビットコインは国境の無い「全世界共通」の通貨として捉える事ができます。日本では未だ発展途中の段階ですが、北米やヨーロッパ等ではインフラ設備・環境が整っており、ビットコインでの決済が普及しています。今後、仮想通貨の受け入れ体制が世界中において整えば、更に普及し、様々な国家において通貨として通用するでしょう。よって、銀行で両替をする必要が無くなってきます。 ③自国通貨の金融危機のリスクヘッジ 自国の法定通貨に対する危機感や不安を持っている国民にとって、仮想通貨はその代替えとなる一種のリスクヘッジとなるでしょう。キプロス同様に、中国の国民の人民元に対する信頼の薄さは、ビットコインが加熱した一つの要因となりえます。 ④投資対象としての魅力 市場規模や時価総額が大きく、高リターンが見込まれる為、一種の投資・投機対象としての魅力があります。 ビットコインのデメリット及び課題 ①価格変動(ボラティリティ)が激しい 2017年の12月に一時200万円を超えたものの、2018年2月には一時60万円台に下落しています。この様に、数ヶ月・数週間・数日の間に上下・変動します。また、金融市場や経済、企業の動き等、様々な要因に影響されやすくなっています。 ②決済場所が少ない CoinMapは、ビットコインが利用できる世界中の店舗に関する地図を提供しています。 現時点では欧米やアジアの一部に集中していて、未だ少ないと言えます。インターネットや仮想通貨のインフラ整備が進んでいない国では、利用可能な店舗が非常に少ない事が窺えます。 (引用:http://coinmap.org/#/map/50.28933925/14.58984375/9) ③規制問題 2017年から、各国の仮想通貨に関する規制強化に向けた動きが見られます。 各国は、金融商品に該当するか否か等の判断や仮想通貨の定義を改める必要があります。 更に、仮想通貨取引所の取り締まりややICOに関する規制強化に向けた動きも見られます。 これはビットコインのみならず仮想通貨全般に該当する課題です。 ④トランザクションの難点 ブロックサイズの1MBという上限や7tpsの極めて低い処理能力等、トランザクションにおける様々な難点を掲げます。また、Proof of Work(PoW)という合意形成を用いている為、ブロック生成に10分程所用します。 ⑤スケーラビリティ問題 ビットコインにおけるスケーラビリティ問題とは、ブロックサイズの制限により、処理が追いつかず、無数の取引が未承認のまま滞留・遅延してしまう問題を指します。 ⑥マイニング問題 PoWによる合意形成を採用しているビットコインのブロックチェーンでは、演算量(仕事量)によって報酬が支払われます。よって、マイナー達はスマートコンピュータ等の高技術を使用し、膨大なコストをかけて採掘を試みます。統計によると、ビットコインの電気コストは、159ヶ国の電気コストを超えると言われています。これにより、経済力や技術力を持つ特定の人々によるビットコインの集中化及び占領化が発生します。更に、51%攻撃の恐れもあります。 「Researchers from British energy price comparison platform Power Compare have discovered that the total volume of electricity required for mining Bitcoin – the computational process that keeps transactions on the blockchain moving – now amounts to more consumption than 159 individual countries.」 (引用:https://thenextweb.com/hardfork/2017/11/23/bitcoin-mining-electricity-africa/) ビットコインの将来性 / 今後の展望 ビットコインは単なるバブルである ビットコインは、昨年12月に240万円程に急騰したものの、2月に入り60万円台に暴落しました。この暴落により、多くの人々はビットコインの「バブル崩壊」に対する懸念を持ち始めています。 専門家や関係者の中でも、ビットコインを懸念視する人々が増えています。bitcoin.comのCo-founder兼CTOであるEmil Oldenburg氏は、「ビットコインには価値がない」と主張しています。ビットコインに対して懐疑的な姿勢を見せる人物は同氏だけではありません。GMOの再興投資ストラテジストであるGransam氏は、ビットコインは「本質的なバブル」であり、「明確な本来的価値を持たない」と主張しています。エコノミストであるNouriel Roubini氏も同様の意見を持ち、ビットコインは「人類史上最強のバブルである」と述べています。同氏達はビットコインを「バブル」として捉えている事から、「いずれ崩壊する」事を前提に考えている事がわかります。ビットコインに本質的な価値は無く、バブル崩壊後には、価値が0になるという否定的な姿勢を見せています。 「Bitcoin is “virtually useless” and has no future as a tradeable currency says Emil Oldenburg, the co-founder and CTO of bitcoin.com, one of the world’s largest bitcoin websites. 」 (引用:https://nordic.businessinsider.com/the-swedish-founder-of-bitcoin.com-one-of-the-largest-sites-in-the-industry-has-sold-all-his-bitcoins-because-its-as-good-as-useless--) 「GMOの最高投資ストラテジストのグランサム氏は投資家宛ての書簡で、『誇大妄想を助長する筋立てに加え、明確な本来的価値を持たないこと、市場がほとんど規制対象外であることが過去の何にも増して、ビットコインを本質的なバブルにしている』と指摘した。」 (引用:https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180119/mcb1801190500026-n2.htm) 「Explaining the recent Bitcoin crisis, Roubini said: 『This (Bitcoin) is mother of all bubbles and it is also the biggest bubble in human history if you compare it to Mississippi bubble, tech bubble, and Tulip mania.』 ... It is on the way down to zero. The fundamental value of Bitocoin is zero," Roubini said.」 (引用:http://www.businesstoday.in/current/economy-politics/bitcoin-biggest-bubble-human-history-nouriel-roubini-2008-global-meltdown/story/269733.html) ビットコイン価格は更に上昇:1億円に達する ビットコインがバブルであると主張する人々がいる一方で、ビットコインの更なる上昇に期待する人々もいます。Morgan Creek Capital ManagementのCEO、Mark Yusko氏は、ビットコインが将来$1,000,000(約1億円)を超えると予測しています。 「Mark Yusko, a prominent hedge fund manager and the founder & Chief Investment Officer at Morgan Creek Capital Management, stated that he expects the Bitcoin price to surpass the $1 million mark in the long-term.」 (引用:http://www.newsbtc.com/2017/10/20/50924/) 実際に巨額の時価総額を持つビットコインは、国決済銀行(Bank of International Settlements)の調査による世界中の法定通貨の総額ランキングで6位を記録しています。 (引用:https://bittimes.net/news/4161.html) ビットコインはあアルトコインに負ける ビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインが、いずれビットコインを超えるという意見もあります。上述の通り、取引速度、容量、マイニング問題、スケーラビリティ問題等、ビットコインには様々なデメリット及び課題があります。特にイーサリアムやリップル等のアルトコインは、ビットコインが持つデメリットを克服する潜在性を持ち、仮想通貨競争の覇者候補として注目されています。しかし、現段階では未だどの通貨が覇者になるかは予測不可能であります。 ビットコインではなく、ブロックチェーン技術が未来を変える ビットコインが崩壊したとしても、その基盤となるブロックチェーン技術が経済及び社会に変革をもたらすという見解もあります。 ブロックチェーン技術は非常に柔軟で、様々な場面・幅広い分野において応用できる可能性があります。一番活躍が期待される分野は金融並びにフィンテックの分野です。ブロックチェーン技術は、既に送金手段として用いられていますが、これが更に拡大し、証券取引や、様々な金融商品における取引で応用される可能性があります。更に、プリペイドカードやギフトカード等のポイント/リワード系の分野での活用も期待されます。資金調達の面でも、仮想通貨によるクラウドファンディング(ICO等)の新たな手段が誕生しています。 他にも様々な分野で応用される可能性があります: ・不動産や土地:資産の管理、登記、価値の移転 ・医療:データ保管及び管理、医療機関同士での共有 ・保険:予測市場 ・商業:オンラインショッピングにおける決済・取引 ・シェアリング・エコノミー:カーシェアリングやサプライチェーン等 ・芸術や音楽:著作権問題、音楽のダウンロード ・身分証明:本人確認手段
イーサリアムはビットコインを超える日は来るか?イーサリアムが支持される技術的理由

イーサリアムはビットコインを超える日は来るか?イーサリアムが支持される技術的理由

2018/03/22 at 7:52 PM 0 comments
ブロックチェーン技術を用いて仮想通貨発行の構想を発表する国や企業の増加に伴い、国内外当局からの規制に注目が集まっています。ビットコインやイーサリアムの下落、仮想通貨に関してまだまだ話題が絶えない状況が続いています。 採用しているコンセンサスアルゴリズムやベースとなる台帳の違いによってビットコイン、イーサリアム、リップル等の仮想通貨は各々異なる機能や性質を持っています。その違いを背景に、それぞれの仮想通貨を熱烈に支持する投資家や技術者が多くいるようです。本記事では、ビットコインに続く市場規模を持つイーサリアムが支持を集める理由を著名人の見解から読み解いていきます。 イーサリアムの支持を公言する著名人 Roger Ver - 初期のビットコイン投資家 / Bitcoin.comのCEO (引用:http://www.scmp.com/news/hong-kong/law-crime/article/2021631/bitcoin-investor-sues-hong-kong-firm-over-contract-breaches) <人物> Roger Ver氏は、初期のビットコインや仮想通貨関連スタートアップ投資家の一人であり、日本でビットコインの普及活動を活発に行ったことで著名です。2011年初めにはビットコインへの投資を始めており、他にRipple、Blockchain.info、Bitpay、Karaken等のスタートアップにも投資しています。 Bitcoin.comのCEOでもあり「ビットコイン界のイエス・キリスト」とも呼ばれている彼はリバタリアン・無政府資本主義者であり、ビットコインが経済的自由権を促進する手段であると考えています。 Roger Verはビットコインがずっとトップに君臨し続けるとは考えておらず、最近のインタビュー(2018/3/5)ではイーサリアムの市場規模が近い将来ビットコインを追い抜く可能性について述べています。 <発言> インタビュアー:イーサリアムは年内にビットコインを上回る可能性が高いと多くの人が言っていますが、この予測は当たると思いますか? Roger:ビットコインは様々な観点でもはや頂点にはありません。たとえば、1日あたりのトランザクション数です。 イーサリアムは既にビットコインよりもはるかに多くのトランザクションを処理しています。 イーサリアムがビットコインを超える可能性はどちらかというと高いでしょう。イーサリアムの時価総額がビットコインを上回るためには一度価格が倍になる必要があります。 インタビュアー:仮想通貨やプロジェクトで特に熱烈に支持しているものはありますか? Roger:私は1日あたりのトランザクション数は素晴らしい指標だと思っていて、その点でイーサリアムが一番でしょう。 (Interviewer : A lot of people are saying that Ethereum is likely this year, surpass Bitcoin. Do you think that is a likely forecast?) Bitcoin core has already lost the top spot in a bunch of different metrics. For example, in terms of number of transactions per day. Ethereum already processes far more transactions per day than Bitcoin core. I think it’s much more likely than not if you look at it. Ethereum only has to double in price one more time in order to surpass bitcoins market cap. (Interviewer: What other cryptocurrencies and projects in particular do you respect for and are you enthusiastic about? ) I think the number of transactions per day is a fantastic metric. If you look at the metric, ethereum is already the top spot. (参考:https://www.youtube.com/watch?v=VsHnlTk6zhI&feature=youtu.be&t=2420) Olaf Carlson-Wee - 仮想通貨ヘッジファンドのCEO (引用:https://www.forbes.com/sites/laurashin/2017/07/10/the-emperors-new-coins-how-initial-coin-offerings-fueled-a-100-billion-crypto-bubble/2/#582e94dab2cc) <人物> もともとCoinbase(米国最大手仮想通貨取引所)最初の社員であり、現在は独立し仮想通貨ヘッジファンド、Polychain CapitalのCEOを務めています。多くのベンチャーキャピタルが投資しており、着実に知名度を上げています。2016年に400万ドルで設立されたこのファンドは一年経過した今、運用総額が2億5000万ドルに達したとされています。 <発言> イーサリアムは開発が非常に迅速に行われる有機的なエコシステムであり、それがイーサリアムの価格上昇の原動力となっています。ビットコインよりもはるかに勢いがあります。(2017年5月時点) 「“What we’ve seen in Ethereum is a much richer, organic developer ecosystem develop very, very quickly, which is what has driven Ethereum’s price growth, which has actually been much more aggressive than Bitcoin.”」 (引用:https://www.bitsonline.com/olaf-carlson-wee-eth-tops-btc/) 以前私は、イーサリアムが2018年末までにビットコインを超えると言いましたが、いまだに考えは変わっていません。イーサリアム上で構築されているものの殆どがSFのようなものに感じられるくらい、プロトコルが非常に高度な機能を持っているからです。 これまで可能だとされていたレベルを超えています。私が興味深く思っているのは、すでに他のサービスが提供しているような支払い処理速度や財産管理の改善といったことではなく、この技術によって可能になるアプリケーションです。 インターネットと同様に、ネット上で構築された画期的なものの多くはアナログの世界で実現不可能です。例えばFacebookであれば、そのオフライン版はなかったはずです。だから私が探しているのはイーサリアムの技術によって可能となるユースケースです。(2017年12月時点) 「Last time I was on here I said Ethereum would pass bitcoin by the end of 2018. I would actually hold to that right now … I would. It’s because of the more advanced capabilities of the protocol, so the types of things we’re seeing built on Ethereum are almost a bit sci-fi. “It’s beyond anything that you would reasonably think was possible. So, to me, a lot of what I’m interested in are the applications that will be natively enabled by this technology. Not an improvement in payment speed or an improvement in store of wealth, where there are many other services that offer those things. But like the internet, the most breakthrough things built on the internet were not possible in an analog world. “[With] Facebook, say, there was not an offline version of Facebook. So what I’m looking for and what I’m excited about are those uses cases that are natively enabled by [Ethereum’s] technology.”」 (引用:https://www.bitsonline.com/olaf-carlson-wee-eth-tops-btc/) インフラとしてのイーサリアム 以上で見たRoger Ver氏、Olaf Carlson-Wee氏は、両者とも仮想通貨界隈では著名な投資家で、イーサリアムがビットコインを超える日がくるという予測を立てています。現在市場規模の一番大きいビットコイン以上の性能を持っていること、分散型アプリのインフラとして価値増加が見込めることなどの根拠はいくつかあるようです。 イーサリアムが支持される所以がこの技術的要因であるため、ビットコインを超えるという予測が正しいのかは、短期間でわかるものではありません。現在は、どの種類の仮想通貨にも大量に投機マネーが流れており、本質的価値に相応する適正価格が誰にもわからない状態です。イーサリアムブロックチェーンの普及に応じたイーサの価格上昇は長期的視点で見込むべきものかもしれません。
ICOとトークナイゼーションの未来

ICOとトークナイゼーションの未来

2018/03/19 at 8:13 PM 0 comments
2017年から盛んに行われるようになったビットコインやイーサリアム等の仮想通貨を活用したICOですが、投資するにはリスクがとても高く、詐欺も多いため、中国、ベトナムなど多くの国から規制されています。このようなことからメディアの報道でも良いニュースは聞かず、悪い印象を持っている人が多数を占めていることが現状です。 しかし、ICOはまだ黎明期にあり、大きなポテンシャルを秘めているとも言われています。トークナイゼーションには全てのものをトークン化することにより、価値の流動性を実現するという考えが根底にありますが、ICOはトークナイゼーションの形の1つとして考えられます。この記事ではICOによって生み出されるトークン、トークナイゼーションの実現により、もたらされるメリットについて言及します。 ICOとトークンの種類 ICOで発行されるトークンはユーティリティー・トークン、投資トークン、株式トークン(エクイティ・トークン)と大きく3つに分けられます。投資トークンとは、保持をしても株式のような機能はなく、またユーティリティ機能もないため、市場におけるキャピタルゲインのみが期待できるトークンです。株式トークンとは名前の通り、保持することで配当を受け取る権利を得る等、発行元企業の株を保持するのと近い機能を持つことができるトークンです。 ユーティリティー・トークンのメリット ユーティリティー・トークンとはトークン発行元の企業のサービスを利用する際に、トークンを利用、保持することで何かしらの利益がもたらされるものです。ユーティリティー・トークンは「投資トークン」(投機対象のトークンであり、サービスを利用する上でのメリット、株式は付与されない)、「株式トークン」(株式、共有持分の付与を保証)と違い資産・株式として認識されない為、規制されない可能性が高いというメリットがあります。 “What is the definition of Utility? Utility means the total satisfaction that is received by the consumption of the goods or services. Most of the ICOs do not maximize their token utility. The tokens should be absolutely integral to the ICO and must increase the overall value of your final product.”ーAmeer Rosic 「ユーティリティーの定義とは何か?ユーティリティーとは、ものかサービスを消費、利用することにより得られる、総合的な利益である。ほとんどのICOはトークンのユーティリティーを最大限に引き出せていない。しかしトークンはICOにとって不可欠なものであり、完成したプロダクトの価値を高めるようなものでなくてはならない。」 (引用:https://blockgeeks.com/guides/why-most-icos-will-fail/ ) 上記のRosic氏の文章から分かるようにユーティリティ・トークンを作成することは考慮しなければならない事柄が多く難しいものです。しかし、「完成したプロダクトの価値を高める」ようなユーティリティ・トークンの作成に成功すれば、トークナイゼーションのメリットを最大限に引き出すことができるでしょう。 これに対し、投資トークン、株式トークンはICOを行う必要性があるとは言い切れません。これらのトークンを発行している企業は、手軽な資金調達手段としてICOを利用している傾向が強いと見てとることができます。トークナイゼーションが社会に一般化してない現状を考慮すると、ICOを行う明確な理由がなければICOを使わない手段で資金調達をすることが望ましいかもしれません。 ユーティリティ・トークン作成の条件 ユーティリティートークンを作成する場合、「投資トークン」「株式トークン」と違い、トークンを保持することでシステムを利用する時に利益が生まれる条件を考える必要があります。 その際、考えるポイントとして下記の4つがあります。 誰が買い、保持したがるか なぜ人々は発行されたトークンを使用するのか どのような流れででトークンが必要となるのか トークンを発行するよりも効率の良い選択肢はないのか 1~3のポイントが深く思索されていないと長期的に保持する必要がなくなり、価格のボラティリティーが高くなり、投機対象となる可能性が高くなります(投資トークン)。また4のポイントも先に述べたように、ICOの必要性があるかどうか考える上で重要なポイントです。利用者に十分メリットをもたらし、コストを削減するようなユーティリティ性の高いトークンを生み出せなければ、トークン自体がユーザー獲得の障壁となり、ICOが失敗する可能性が高くなります。 ICOは以前までは、人の興味を引くようなホワイトペーパーを書ければ、簡単に資金を集めることが可能なものでした。しかし仮想通貨バブルが弾け、グーグルがICO・仮想通貨に関する広告規制を開始するなど、仮想通貨業界にとって好ましくない状況が続いていることから、本質的に価値のあるトークンを作り出さなければ、ICOが成功する可能性は低いと考えられます。 「投資トークン」「株式トークン」などトークナイゼーションのメリットを引き出すシステムを持っていない、先を見通したビジネスプランがない、その計画を実現する開発チームを保有していないICOは、現状では資金調達の段階で失敗するでしょう。実際に先週の記事でも取り上げたように、2017年にTokendataでリストアップされたICOは既に59%が失敗しています。 ユーティリティ・トークンの例 Bancor protocol トークンの種類が増えることにより、知名度の低い買手の見つからないトークンも生まれました。これは流動性リスクと呼ばれるものですがBancor protocolはスマートトークンを発行することにより、これを解決しています。 The DAO 数百万イーサがハッキングにより盗難されたことで有名なDAOは、イーサリアムネットワークをベースに稼働する自律分散型ファンドでした。ユーザーがDAOcoinを保持することで、どのプロジェクトに投資するか決める投票権を得ることになっていました。イーサリアムプラットフォームに実装されているスマートコイントラクトにより、ファンドの管理人がいなくても自動で投資対象が定められるシステムが構築されていました。 Golem Golemとは、パソコンの利用していない領域を計算資源として、プロバイダーがその計算資源をリクエスターに提供するシステムです。プロバイダーの数が多ければ、その分計算処理能力も上がり、スーパーコンピュータ並のコンピューティングが安価で実現できます。この“Golem supercomputer”にアクセスする際に必要となってくるのがGolem Tokenです。リクエスターはGolem Tokenを購入し、Golem supercomputerを利用する際にプロバイダーに支払います。 トークナイゼーションによる流動性の実現 トークナイゼーションの可能性 上記で述べたように、ICOで発行されるトークンが、ユーティリティー・トークンの場合は様々なサービスをトークン化することでトークナイゼーションのメリットを最大限に生かしています。現時点では、ICOでのみトークナイゼーションが行われており、ごく一部の人しか、その恩恵を受けることができていない状況があります。 しかし、ブロックチェーン技術がより洗練され、その適用がより一般的になれば、将来的には身の回りにある資産、能力全てのトークナイゼーションが可能になることが考えられます。 「In the future, you’ll be able to tokenize the value of unused bedrooms and backyards in your home. You’ll be able to tokenize use of your vehicle for Uber driving while you’re away on travel. You’ll even be able to tokenize access to your phone so marketers have to pay you tokens in order to gain access to your attention. Yes, this will happen.」ーChris McCoy 「将来的には使用されていない寝室や裏庭をトークン化し価値として提供できるようになる。旅行中に自身の車の使用を価値としてトークン化することも可能になる。さらに言うと、市場が宣伝費として各個人のスマートフォンにアクセスする際、料金を払う必要も出てくるだろう。」 (引用:https://techcrunch.com/2017/08/20/yesterdays-plastics-are-todays-crypto-tokens/) Chris McCoy氏の予想が現実化すればトークナイゼーションにより、市場から隔離されていた人々も実世界の資産・能力などを細分化し様々な方法で収入を生み出すことが可能になります。トークナイゼーションが一般化することによって、既存のシステムでは達成できなかった社会の豊かさ、貧富の差の是正に繋がることが期待できます。 「Tokens will make it possible for people of all economic levels to buy into investments that so far have been out of their reach.」ーChris McCoy 「トークンは全ての経済力レベルの人たちに、今まで手の届かなかった、金融商品を手に入れる機会を与える」 (引用:https://techcrunch.com/2017/08/20/yesterdays-plastics-are-todays-crypto-tokens/) トークナイゼーションの障壁 トークナイゼーションの一般化を実現できるレベルまで技術が進展するのは近いでしょう。しかし、技術面以外でも様々な障壁があります。 銀行システムとの統合 トークナイゼーションの障壁としてはまず、既存の銀行システムとの統合の必要性が挙げられます。既存の銀行システムは長い歴史があり保守的な傾向が見られることから、トークナイゼーションのような新しい技術と統合化することはかなり難しいと考えられます。 しかし、一方でブロックチェーン技術を銀行のシステムに取り入れようとする動きが、各国で見られ、ブロックチェーン技術のポテンシャルを最大限に引き出しているトークナイゼーションもいずれ銀行システムに取り入れられる可能性が考えられます 。 国家による規制 もう1つは国家による規制です。ICOはホワイトペーパーを公表するだけで、比較的容易に資金調達できることはメリットとしても考えられますが、ずさんな計画しか立てられていない、ホワイトペーパーに記載されている計画を実現できる開発チームを所持していない、詐欺の対象となっていることから、中国ではすでに規制されており、EU、ロシアなども規制を行う方針を取っています。 大衆からの信用 最後に大衆からの信用を得られていない現状があるという問題があります。 トークナイゼーションにより価値を流動化させるという考えは、今までにないものであったため、理解し難いものであると考えられますが、ICOやトークンという考え方がより一般的になればトークナイゼーションへの抵抗も薄れるでしょう。 現在ICOには投機目的で投資する人々が多く見られ、市場全体がバブルとなっています。大衆の信用を得るには現在の仮想通貨、ICOバブルが収まり、価格が安定する必要があると考えられます。 (参考:http://reinhard.one/blog/2017/11/icos-the-token-economy-what-is-your-token-about/, https://techcrunch.com/2017/08/20/yesterdays-plastics-are-todays-crypto-tokens/) 最後に 2017年から盛んに行われるようになったICOは、トークナイゼーションが一般に浸透する第一歩として考えても良いでしょう。しかしそのICOも、詐欺や十分思索されていない計画により、その多くが失敗に終わることが予想されています。 トークナイゼーションが社会の一部として機能するには、様々な障壁があり、まだ長い時間が必要だと予想されます。まだ身の回りにある細分化された価値を市場で取引できるようになるトークン・エコノミーの実現は難しいですが、現実化すれば現在の経済システムは予想をはるかに上回るレベルで改善されるでしょう。
イーサリアムやビットコインをはじめとした仮想通貨、国際的な規制へ進むか?

イーサリアムやビットコインをはじめとした仮想通貨、国際的な規制へ進むか?

2018/03/15 at 7:19 PM 0 comments
2018年は仮想通貨の「規制元年」とも言われています。近年では、各国による法整備が進む中、ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)などの仮想通貨に対する、国際協調を伴う世界的な規制への動きが見られます。 国際的な規制、各国の見解 各国では、ビットコイン及び仮想通貨を懸念視する、国際的な規制を呼びかける声があがっています。欧州連合(EU)は、2月26日に検討会を開き、2019年までに仮想通貨規制の仕組みを構築する予定であると発表しています。 米国のムニューシン財務長官も「全ての仮想通貨の安全を保つため、世界が同じ規制を行うべきだ」と主張しています。ドイツやフランスも同意見に賛同しています。ドイツ連邦銀行のヨアヒム・ビュルメリング理事は、1月15日に「国ごとの規制効果は限定的であるため、国際的な協力を通じた規制のみが効果的」であると指摘しました。 「『すべての金融市場の安全を保つため、世界が同じ規制を行うべきだ』。投機取引の拡大などで存在感を高める仮想通貨に対して、米国のムニューシン財務長官は2月、こう強調した。」 (引用:https://mainichi.jp/articles/20180313/k00/00m/020/125000c) 「ビュルメリング理事はフランクフルトでのイベントで、『仮想通貨の規制において国ごとの規制効果は限定的であるため、国際的な協力を通じた規制のみが効果的だ』と述べた。」 (引用:https://jp.reuters.com/article/bitcoin-regulations-germany-idJPKBN1F42R5) 日本においても、CoincheckによるNEM大量流出事件等もあり、セキュリティや利用者保護の強化を図っており、国際規制を設ける事による保護の強化という点では、他国と意見が一致しています。 ダボス会議 今年1月23〜26日にスイス(ダボス)にて開催された、世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」では、仮想通貨やブロックチェーンに関する議論が行われました。 ビットコインに対する否定的な声もあり、中では(仮想通貨は)脱税やマネーロンダリングを「主要目的」とした通貨であり、「必要ない」とさえ断言する意見もありました。更に、ブラック・ロックの最高経営責任者(CEO)であるラリーフィンク氏は、仮想通貨には「システミック脅威」があり、「マネーロンダリングの指標になる」と述べ、全面的に否定しています。 「世界最大手アセットマネジャーのブラックロック(Black Rock Inc.)のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨は世界的に処理すべき『システミック脅威』があり、『仮想通貨産業は投資の対象なるかもしれないが、それ以上にマネーロンダリングの指標になる』と語った。」 (引用:https://coinchoice.net/world-economic-forum-annual-meeting-in-davos-2018/) この様に、仮想通貨による不正行為、マネーロンダリング等の悪用等の可能性から、ビットコイン並びにその他仮想通貨を金融経済への「脅威」として懸念視する国・政府が増えている事がわかります。 G20財務相・中央銀行総裁会議 国際通貨基金(以下、IMF)の理事であるラガルド氏は「ブロックチェーンを含む仮想通貨を支える技術は、フィナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の推進力となる可能性」があるとし、仮想通貨に対する肯定的な姿勢を表しています。 「ラガルド専務理事は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前にブログで、ブロックチェーンを含む仮想通貨を支える技術は、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の推進力となる可能性を秘めているが、こうした段階に至る前に危険性についても理解する必要があると指摘。」 (引用:http://diamond.jp/articles/-/163409) その反面、仮想通貨には「ダークサイド」があると指摘しました。同氏のブログでは、闇サイト「アルファベイ」で、10億円相当の違法ドラックや銃火器等を取引していたとして、昨年の7月に閉鎖された事例をあげています。仮想通貨は、マネーロンダリング(資金洗浄)や不正送金等に悪用される恐れや、金融の脅威となる可能性があるとし、国境がないからこそ、国境を超える規制及び枠組みが必要であると主張しています。 フランスやドイツ等の国からの呼びかけもあり、仮想通貨の「国際的な規制」への取り組みが今年の注目すべき話題となっています。アルゼンチンにて3月19から20日にかけて開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、この「国際的な規制」への枠組み作りを計画している模様です。 ラガルド氏は「進化しつつある仮想資産の世界における答えを見つけるため、IMFは公共の場を担える独自の位置にある」と主張しており、この計画において、同基金が中心的な役割を担うと考えています。 「同専務理事は13日のブログで、仮想通貨の「ダークサイド」とテロリストへの資金提供やマネーロンダリング(資金洗浄)支援の可能性について警告。脅威に対応するため一段の措置が必要であり、IMFはその役割を果たす意向だと表明した。20カ国・地域(G20)の中央銀行と財務当局のトップは来週、ブエノスアイレスでの会議で仮想通貨の規制について協議する。ラガルド専務理事は『この難題に1国で立ち向かえる国はない』とし、『進化しつつある仮想資産の世界における答えを見つけるため、IMFは公共の場を担える独自の位置にある』との考えを示した。」 (引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-13/P5JDBQSYF01S01) 具体的な対応手段 3月13日のロイターの記事において、下記の具体的な対応手段があげられています: ①「火には火を持って戦う」という言葉がある様に、仮想通貨の元となる技術や資産を用いて対抗します。例えば、分散型レッジャー等のテクノロジーを応用すれば、市場参加者同士の情報共有を促進し、顧客情報の確認や登録の証明を可能にします。更に、国境を超える取引における脱税行為も管理できるようになります。 ②バイオメトリクス(軽量生物学)、AI(Aritificial Intelligence:人口知能)及び暗号法を導入し、デジタル上のセキュリティを向上させます。これにより、不正と思われる怪しい取引を「リアルタイムで」識別できます。 ③標準的・国際的な規制を設ける事により、透明性の向上と共に、潜在的リスクを消費者に知らせる事ができ、消費者保護の強化に繋がります。 「She also said technology behind crypto assets can be used to “fight fire with fire,” including distributed ledger technology that speed up information sharing between market participants and regulators. This can be used to create registries of standard, verified customer information and help fight cross-border tax evasion, she said. Regulators can also use biometrics, artificial intelligence and cryptography to enhance digital security and identify suspicious transactions “in close to real time”, Lagarde added. Applying the same securities rules to crypto assets as standard securities also can help increase transparency and alert buyers to potential risks.」 (引用:https://www.reuters.com/article/us-g20-imf-cryptocurrencies/imfs-lagarde-says-cooperation-needed-to-keep-crypto-assets-safe-idUSKCN1GP1SX) 国際的規制による、市場への影響 ブロックチェーン技術のメリットを最大限に生かし国際規制体制が整えば、セキュリティや消費者保護の面で、大きく向上します。投資リスクが減り、国境を超えたトランザクションにおいても、投資者が保護される仕組みが設けられるでしょう。更に、政府側にとっては、脱税、インサイダー取引、マネーロンダリング等の不正行為の発覚が容易になり、市場における治安が守られます。結果として、仮想通貨に対する信頼性が増し、市場により多くの人々が参入する事も考えられます。 その一方で、投資者の観点から、デメリットもあります。規制体制が整う事によってボラティリティ(価格変動)が縮小し、大きな利益(キャピタル・ゲイン)が見込めない可能性が生じます。 「法定デジタル通貨」への一歩か? 仮想通貨の規制導入や、ビットコイン(仮想通貨)の急落は、IMFや国際決済銀行(BIS)にとっては、「シナリオ通り」なのではないのか、という見方もできます。ブロックチェーン技術の更なる発展と共に規制が強化され、仮想通貨市場のインフラが安定すれば、中央銀行や政府による「法定デジタル通貨」の発行が期待されます。 ①キャッシュレス化による紙幣コストの削減、②取引・送金の透明性の向上、③政府や金融当局等の信頼性のある主体による統制等、様々なメリットがあります。しかし、その一方で、デメリットや懸念すべき要素もあります。 一つ目は、中央銀行等の一つの主体が全ての顧客情報や取引情報を握る事となり、権力の集中化が生じます。特に、IMFやBIS等の国際的機関による法定デジタル通貨が採用されれば、ブロックチェーン上で全世界市民の全てのトランザクションを把握し、管理する事が可能になってしまいます。 二つ目は、民間銀行等の従来の預金業務を担っていた金融機関や仲介者に影響を及ぼしてしまうという事です。 三つ目は、ビットコインやアルトコインが急落し、資産としての価値を失う点にあります。結果的には、ビットコインが消滅する可能性も否めません。これは、ビットコインや仮想通貨を支持する者達にとっては、望ましくない結果でしょう。 法定デジタル通貨における各国の動向 (引用:https://moneytoday.jp/articles-1239) 最後に 国際規制が設けられれば、仮想通貨及びその市場が大きく動くターニングポイントとなるでしょう。今月の19、20日にアルゼンチンにて開かれるG20の会議が、今後の仮想通貨規制における展開を左右する「鍵」となります。
イーサリアム資金盗難の救済措置 EIP-867にまつわる議論と平井氏の懸念

イーサリアム資金盗難の救済措置 EIP-867にまつわる議論と平井氏の懸念

2018/03/06 at 3:07 PM 0 comments
イーサリアムなどの仮想通貨/暗号通貨を利用したICOによる資金調達額は、2017年に約40億USドル相当に達しました。このように近年ICOによる資金調達の活発化に伴い、ICOプロジェクトを狙ったハッキングによる盗難や、実装されたコードの不備による資金凍結(誰も取り出せなくなること)の被害も増加しています。そこでETHが盗難・凍結した場合に、そのETHを取り戻す方法がEIP-867として提案されました。 本記事は盗難・凍結したETHを取り戻す方法を提案したEIP-867にまつわる連載記事の後半です。前半記事では、EIP-867で提案されたETH回収の仕組みについて解説しました。本記事ではこの提案に関する考察と、イーサリアムEIPコミュニティの編集者である平井氏が示した2つの懸念に焦点を当てて解説をします。 ハードフォークによる救済 当時最大級のハッキング被害が発生したThe DAO事件では、イーサリアムがハードフォークすることによってハッキングが無かったことになり、ETHは取り戻されました。ハードフォークではブロックチェーンに大幅な仕様変更を加えるために、それまでのブロックチェーンとの互換性は保たれなくなります。 ハードフォークする新たなブロックチェーンが提案された際、この新しいブロックチェーンを正当なものとして受け入れるかどうかは、ネットワーク上の各ノード(ブロックチェーンの管理やマイニングを行っている世界中に分散したコンピュータ)が選択します。 The DAO事件では、ある特定のハッキングのみを無効にするということが、ブロックチェーンの特長である ”過去に起こったことが変更不可能である” という性質に反するとして、1割程度のノードから反対されました。結果として、9割方のノードが採用した新しいブロックチェーンが正式なイーサリアムとなり、反対の立場にあるノードが元のブロックチェーンを運用し、これがイーサリアムクラシックとなりました。 このようにハードフォークを行うには、その提案を行う事自体の労力に加えて、ノード全体の半分以上の同意が必要であり、簡単に実現できるわけではありません。 EIP-867によるソフトフォーク EIP(Ethereum Improvement Proposals)コミュニティでは、現状のイーサリアムの問題に対する解決策が議論され、一般的に現状のイーサリアムに互換性のある形式の提案が承認され、アップデートとして配信されます。 EIP承認の流れやERCについての記事はこちら ネットワーク上のノードは、このEIPで承認されたアップデートをマイナーな公式アップデートとして受け取り有効化していきます。 EIP-867で提唱されたETHの救済方法は、このEIPの承認手順に則ったソフトフォーク的な方法だと言えます。 EIP Editorとは? EIPコミュニティには、EIP Editorという権限を持つ人物がいます。彼らは新たな提案を受け取り、その提案が適切である場合はEIPとして番号を与えて、EIPに関するGithubレポジトリに提案を検討(Draft)状態として公開します。 また、公開された提案に対する議論の末、EIPが公式アップデートとして取り込むべきと判断した場合には、提案を承認(Accept)し最終版を確認(Final)した上で公式なアップデートとします。 (提案されたEIPが経るプロセスフローチャート 引用:https://github.com/ethereum/EIPs/blob/master/EIPS/eip-1.md ) 2018年2月22日現在、EIP Editorはイーサリアムの開発者であるVitalik Buterin氏を含め6名です。EIP EditorやEIPコミュニティの目的やガイドラインについてはEIPの1番としてGithub上に掲げられています。 EIP Editor 平井洋一氏の懸念と辞職 2017年2月上旬に、6名いるEIP Editorの一人であった日本人論理学者の平井洋一氏が、EIP-867に関する提案を以下の2つの懸念事項を理由に受け入れられないと表明しました。平井氏はその後、この件をきっかけにEIP Editorを辞職します。この一件は、今回巻き起こっているEIP-867に関する倫理的な議論を象徴する出来事だと言えるでしょう。以下に平井氏の懸念事項を紹介し考察します。 平井氏の懸念 ① 〜イーサリアムの分散自治的な側面〜 ブロックチェーン技術に根ざしているイーサリアムは、そもそも国家や政府はもちろんのこと、どの様な立場の人や組織も管理権限を持たない分散自治組織的な設計がされています。この組織では権限者が居ないかわりに、全ての意思決定で全ユーザーの投票により過半数以上の賛成を必要とします。 しかし、そうとは言ってもイーサリアムの技術的な変更も公平なユーザーの投票によって過半数を得る事が最善とは言い切れません。イーサリアムは元々Vitalik氏を中心とした天才的なプログラマ達によって開発されている緻密な暗号理論に基づいたシステムです。これを正しく更新し続ける為には高度な専門知識が必要になります。そのため、イーサリアムEIPではこの様な背景から、EIP Editorが改善案の承認を最終的に行う事で初めて公式なアップデートとなるような一部の管理権限を認める仕組みを設けています。 この様な理由から権限を持つEIP Editorは慎重に検討して、イーサリアムコミュニティ全体にとって公平な改善案のみを承認するべきだと言えます。 平井氏の懸念事項の一つ目はこの点です。つまり、もし今回提案されたEIP-867が承認されれば、今後不正(と思われる)ETHの盗難や凍結があった場合に、この資金を最終的にどのように処理するのかと言う、極めて特定の利益に関わる決定権をEIP Editorが持つことになります。 これは上述したイーサリアムの分散システムの哲学に反します。EIP Editorはイーサリアム利用者の信任を得て決定される訳でも無く、また、その存在についても一般に高く認知はされていません。よってEIP Editorが特定のアカウントの残高情報を変更する強い権限を持つべきではない、というのが平井氏の指摘です。 “I don't think anybody has the authority to make an irregular state change. I don't think I have the authority to review processes regarding who has the authority to make an irregular state change. These beliefs come from the lack of authorizations from Ethereum users. I don't think all users of Ethereum gave authorization to this EIP process, or know about the EIP process. The EIP process is not mentioned in the licenses of Ethereum clients. EIP editors are not chosen democratically either.” (引用: https://github.com/ethereum/EIPs/pull/867#issuecomment-365541405 ) 平井氏の懸念 ② 〜日本の刑法との抵触の可能性〜 また日本人である平井氏がEIP Editorとして今後このEIP-867で述べられたERPを承認した場合に、日本の刑法 ”電磁的記録不正作出及び供用” に抵触する可能性があることを述べています。この刑法は、ある電磁記録に関する権限を持っていない状態で記録を作り出す・改変することを罰するという内容のものです。 例えば他人の預金残高の記録を持ち主の許可無く改変することはこの刑法で罰せられる可能性があります。 平井氏は直接的にどのように抵触するかについては言及していませんが、おそらく、EIP Editorとして他人のETH資金の情報を所有者の許可なしに書き換えるERP案を承認する行為が、この刑法での犯罪の幇助にあたると考えているのでしょう。 The Japanese penal code defines a crime called "Unauthorized Creation of Electromagnetic Records". (edit: this item applies also outside of Japan) I'm currently not in Japan but in Germany. I suspect there might be a similar rule in Germany, and I don't know how broadly that applies. Once I thought it's enough not to touch individual cases because I had civil cases in mind. After realizing the penal code aspects, I'm not sure if I can do anything here in this pull-request. (引用: https://github.com/ethereum/EIPs/pull/867#issuecomment-365541405 ) 平井氏の辞職 平井氏は当初、上述した2つの懸念事項を理由にEIP-867に対する否定的なコメント寄せました。ただし平井氏はその後の議論を経て、イーサリアムの哲学に反するという①の懸念事項については解釈を無視することで解決できるとしました。しかし、②の刑法への抵触については無視できないとしました。 平井氏が否定的なコメントを寄せる一方、イーサリアムのコミュニティマネジメント及びParityのテクニカルコミュニケーションを担当しているアフリ氏は、今回のERPの提案を強く支持しています。 そして、アフリ氏はTwitter上にて、日本という一つの国の法律に抵触する恐れがあるという理由で、イーサリアムに有用な提案が拒否されることは、イーサリアムコミュニティで起こるべきではないという旨の意見を表明し、平井氏がEIP Editorを辞任することを呼びかけました。 平井氏はこれに応答し、もし平井氏自身が辞任したとしても、それは後続のEIP Editorが刑法を無視することになるだけだという意見を表明しました。結果として、その10時間後にEIP Editorを辞任するに至りました。 各国の規制と分散自治組織の対立 今回紹介したEIP-867に関する議論は、イーサリアムにて大きな問題となっている盗難・凍結された資金の回収に関するものでした。しかしここから、イーサリアムと言う分散型システムを開発・推進するコミュニティが実際に存在することによって発生する、日本の法規制との対立構造が浮き彫りになりました。 公開されたブロックチェーンによって作られるシステムは、一般的に国などの従来の枠組みを超えた分散自治的な特徴を持っています。しかし、そのコミュニティに参加する人々は、何処かしらの国籍を持ち、自国の法規制に束縛されます。 今後ブロックチェーンをベースとした分散自治的な組織が更に拡大するでしょう。そして、そこで発生する従来の国や政府などの枠組みによる規制との対立をどのように解決していくのかは、分散自治組織を現実社会で利用する上で非常に重要な視点となるでしょう。
ビットコインやイーサリアムのベース技術「ブロックチェーンが創るWeb3.0の世界」

ビットコインやイーサリアムのベース技術「ブロックチェーンが創るWeb3.0の世界」

2018/03/02 at 5:49 PM 0 comments
ビットコインやイーサリアムに代表される、最近の仮想通貨ブームが訪れたことによって、“ブロックチェーン”と言う言葉が広く知られる様になりました。しかしこのブロックチェーン技術を使って、いったい何がどう変わるのでしょうか?またどの様なアプリケーションが生まれてくるのでしょうか?読者の中には、そのような疑問を持っている方は多いかもしれません。もしくは身の回りの人から聞かれたりするのではないでしょうか。 ブロックチェーン技術が広く社会に浸透した後に、このことを振り返るのは簡単でしょう。しかし今この瞬間に先を見通すことは非常に難しいことです。今回の記事は、“ブロックチェーンが創るWeb3.0の世界”と言う視点で、ブロックチェーン技術が社会に与えるインパクトを読み解いていきたいと思います。また代表的なブロックチェーン技術を用いたアプリケーションに関しても簡単に紹介します。 Web 3.0とは? Web 1.0とWeb2.0の時代 Webの移り変わりを区分する説明として、Web 1.0やWeb 2.0といった言葉がよく使われます。まずはweb 1.0とWeb 2.0から振り返りましょう。 Web 1.0の時代はWebが誕生した黎明期を指しており、情報の発信は一方向であったと言えます。誰もが相互に情報をやり取りする訳ではなく、多くの人にとってはWebページ上の情報をただ受け取るだけでした。 Web 2.0の時代は、SNSが広まった時期でしょう。Facebook, twitter, Youtube...これらのSNSの登場によって、私たちの情報発信の仕方は大きく変わりました。情報の発信は双方向であり、誰もが情報の発信者になれる時代です。また、このWeb 2.0と言う概念は2005年にティム・オライリーが提唱したものです。Web 1.0と言う言葉が誕生したのも、それまで存在していたWeb自身がWeb 2.0に置き換えられたからこそです。 ブロックチェーン技術が創るWeb3.0 それではWeb3.0とはいったい何なのでしょうか。冒頭に述べた様に過去を振り返ることは簡単ですが、未来を見通すことは非常に難しく、まだWeb3.0の定義ははっきりとは定まっていません、一つ言えることは、 Webにおける新たなパラダイムの到来ということだけです。ある人は“人工知能が活用されるWeb(The Artificially Intelligent Web 3.0)”を意図するかもしれませんし、また別の人は“人間の意図を理解できるWeb(The Web 3.0 Semantic Web)”を意図するかもしれません。 そんな中、Essentia.one.のファウンダーであるMatteo Gianpietro Zago氏が「Why the Web 3.0 Matters and you should know about it」という記事をMediumに公開し、注目を集めました。記事中ではブロックチェーン技術を元にして、どのようにWebの世界が変わるかが考察されており、一読に値する素晴らしい記事です。また日本語訳は、WEB3.0の衝撃とは??ブロックチェーン・仮想通貨が実現するネットの未来!にて紹介されています。全文を読みたい方は参照されると良いかと思います。 この記事では、Web3.0にはブロックチェーン技術が使われることが前提として話が進んでいます。しかしWeb 3.0が実際にどのようなものになるかは、まだ誰にもわかりません。そこで私は、Matteo氏の考えるWeb3.0を“ブロックチェーン技術が創るWeb3.0の世界”と呼びたいと思います。以下ではMatteo氏の考えるWeb3.0の世界を要約して紹介します。 ブロックチェーン技術が創るWeb3.0の時代 Matteo氏の記事の要約 Matteo氏の記事では、様々な具体例を挙げてWeb3.0の特徴を解説しています。記事からキーワードを抽出すると以下の様になります。 非中央集権 個人によるデータ管理 セキュリティの向上 相互運用可能 ボーダーレス ダウンしないネットワーク Web2.0の時代では、ユーザーは中央集権的な巨大IT企業のプラットホーム上で、データを双方向的にやり取りすることができました。そして数多くの便利なサービスが誕生しました。しかし、莫大な人数が利用する巨大IT企業のプラットフォームでは、大量の個人情報がサーバーに蓄積される結果となりました。つまりユーザーの個人情報は一部の巨大企業に管理されているのです。あまり信じたくはありませんが、ユーザーの嗜好・検索履歴等の情報は売買されているのです。 一方で、ブロックチェーン技術が創るWeb3.0においては、ブロックチェーン技術を利用したトラストレスでセキュアなプラットフォームが提供されます。そこには中央集権的な管理者は存在しません。その様なWebにおいては、個人データの管理は個人に委ねられるようになり、必要に応じて情報の開示を選択できるようになるのです。 Matteo氏の記事に対する補足 Matteo氏の記事ではさまざまなWeb3.0の特徴が挙げられていますが、ブロックチェーン技術が創るWeb3.0の本質は何なのでしょうか?それは“非中央集権化”と“個人によるデータ管理”だと考えています。 Web 3.0のように高度に分散化され、かつセキュアなプラットホームにおいては、これまでWeb2.0には載せることの出来なかった重要度の高い個人情報を載せる事が可能になるかもしれません。つまりWeb 2.0をスキップして、いきなりWeb3.0に現れるアプリケーションやサービスが存在するでしょう。 例えば、本人確認のために必要な身分証明が良い例です。これまで本人確認をおこなうには、中央管理機関に保存されている個人情報を元にして発行された証明書が多くの場合で必要でした。身分証明を必要とするようなサービスを利用するには、中央管理機関から発行された公的な証明書を取得し、提出する必要があります。これらの個人情報にいつでも自由にアクセスできる訳ではないため、身分証明の度に公的な証明書を取得するのは大変な負担です。 しかしブロックチェーン技術を用いた分散型IDがこの状況を変える可能性があります。ConsenSys社が開発しているuPortは、イーサリアム上で動作する「身分証明情報管理システム」です。個人情報をuPortで一元的に管理し、状況に応じて必要な個人情報を自由にアクセスし開示する事ができるのです。  個人情報の管理権限が個人に帰属することは大変素晴らしいですが、しかしそこにはデメリットもあります。Matteo氏の記事では強調されていませんでしたが、全ての情報を個人が管理することには大きなリスクが伴います。分散型ID管理サービスのuPortにおいては信頼すべき第三者機関は必要ありません。しかしユーザーは個人情報を開示するにあたって、信頼できる第三者を自分自身で見極め、情報を提示する必要があるのです。もしあなたが 個人情報を誤って流出させてしまったらどうなるでしょうか。仮想通貨の秘密鍵を流出させてしまった場合にと同様に、あなたの責任を取ってくれる人は誰もいないのです。 具体的なアプリケーション ここまでは主にWeb 3.0の概念を説明してきました。実際にはWeb3.0の世界においては、どのようなアプリケーションが実際に使われるのでしょうか。Matteo氏の記事では、 Web 2.0とWeb 3.0における主要なサービスに対して、比較する形を取りながらアプリケーションが紹介されています。Web3.0の時代に向けて、誰もが日常的に利用している“ブラウザ”と“メッセージングアプリ”に関するアプリケーションを簡単に紹介します。 ブラウザ ウェブサイトを閲覧するためのブラウザは誰もが使った事があるでしょう。普段利用しているChrome/Firefox/Safariといったアプリケーションは、Web2.0時代の代表的なブラウザです。現代のブラウザとウェブサイトの問題点として、広告ブロックが挙げられます。広告はウェブサイトの運営側にとっては貴重な収入源ですが、閲覧者にとっては邪魔なものです。ユーザー側の対策としては、ブラウザにアドオンを追加して広告をブロックする事が考えられます。しかし、広告ブロックにかかる処理によって、ウェブページを表示する速度が遅くなるという問題があります。 そこで現在開発が進んでいるのが、Web3.0時代のブラウザであるBraveです。Braveはブロックチェーン技術を基盤とするブラウザです。2017年6月に実施されたICOでは、30秒で3500万ドルを調達し、大きなニュースとなりました。Braveには広告ブロック機能が標準で装備されており、ユーザーは広告を見ないか、Braveが挿入する別の広告を見るかを選べます。広告を見ないことで非常に高速なページ表示が可能になるばかりでなくユーザーは通信費を節約できます。逆に広告を見ることを選ぶと、ユーザーは見た広告に応じて広告料を得ることが可能になります。これはWeb2.0ではgoogleなどの広告仲介業者がすべて利益にしていたお金です。このようにWeb3.0では従来中間にいた第三者が得ていた利益をユーザーに還元することが可能になります。 メッセージング メッセージングアプリは、現代人のコミュニケーションには欠かせないツールです。日本ではLINE、中国ではWeChatといったメッセージングアプリが人気です。これらメッセージングアプリでは、メッセージの送受信はもちろん、独自の電子マネーのやり取りが可能です。 ただしLINEやWeChatは非常に便利なアプリなのですが、いくつかの問題点もあります。その一つにメッセージングアプリが中央集権的に管理されている都合上、メッセージの通信内容を傍受されるという事が挙げられます。実際にWeChatでは、通信内容が検閲されています。 一方でStatusは、イーサリアム上に構築されたWeb3.0時代の分散型モバイルメッセージジングプラットフォームです。メッセージの送受信内容は暗号化されており、通信が傍受される恐れがなくなります。またStatusのメッセンジャー上では、ETHといったデジタル資産を安全に送受金することが出来ます。その他にもイーサリアム上で動作しているDapps(uPort, Gnosis...etc)にアクセスすることが出来ます。Web2.0時代のメッセージングアプリをより安全かつ便利に使えるようになるでしょう。 まとめ 私たちは今、Web 2.0からWeb 3.0への時代の転換期にいます。Web 3.0がどの様な世界になるかは完全に予測することは出来ません。ブロックチェーン技術によって創られる“個人情報を個人が管理できる非中央集権的なWeb”は、Web3.0の定義に関する一つの答えかもしれません。
【仮想通貨】ビットコインvsビットコインキャッシュ、どちらが優れているのか?

【仮想通貨】ビットコインvsビットコインキャッシュ、どちらが優れているのか?

2018/02/27 at 4:17 PM 0 comments
仮想通貨/市場規模第一位、ビットコイン(Bitcoin/BTC)は、昨年から多くの見出しを獲得し投資家の注目を集めてきました。ピーク時には、数日間で60万円以上価格を上げ、一時は約216万円に到達しました。そんな注目を浴びてきた仮想通貨の王者・ビットコインの分派である「ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash/BCH)」は、一体どのような通貨なのでしょうか? ビットコインキャッシュが一躍有名となったのが、ビットコインウォレットサービスを提供しているBitcoin.comのCTO、ロジャー氏が「保有BTCを全て売却し、BCHを選択した」と発言したことです。ロジャー氏はビットコインキャッシュは将来的にビットコインに取って代わると述べています。 “Bitcoin Cash is the real Bitcoin and will have the bigger market cap, trade volume and user base in the future.” “I do not think the challenges and in-fighting between various crypto camps are a bad thing. In another way we're effectively witnessing democracy in action. These are, in part, simply growing pains of a new technology, but by blasting through these roadblocks Bitcoin also becomes more robust and resilient. This is why, in my opinion, Bitcoin continued to rally to all-time highs after the Bitcoin Cash fork during the summer; Bitcoin users have realized that "Bitcoin is still Bitcoin" any time a new fork occurs.” (引用:https://cointelegraph.com/news/roger-ver-declares-bitcoin-cash-to-be-true-bitcoin-market-forces-bring-more-attention) 本記事では、ビットコインとビットコインキャッシュの違いと将来性について考察していきます。 ビットコインキャッシュ[BCH]とは? ビットコインキャッシュとは、ビットコインからハードフォークしたビットコインの初代フォーク通貨です。BCH誕生の経緯は、ユーザー増加に伴うビットコインの課題(主にスケーラビリティ問題)の改善策を巡り、ビットコイン開発者とマイニング集団の意見が対立したためです。ビットコインのハードフォークに関する詳しい説明はこちらの記事に記載しています。 スケーラビリティ問題の改善策として、二つの案、「Segwit」の実装と「ブロックサイズの拡大」が挙げられました。大手のマイニング業者は後者の「ブロックサイズの拡大」を選び、2017年8月1日にBCHを誕生させました。ビットコインのブロックはこれまで一律1MBで`安全性`を最重視してきましたが、ビットコインキャッシュはスケーラビリティ問題解決のため、容量を8MBへと増加させました。 ビットコインキャッシュはビットコインから派生したため、同等な通貨として関係性を誤解されることが多くありますが、全く違う通貨です。双方の通貨の相違点をまとめていきます。 ビットコインとビットコインキャッシュの違い 価格 まず大きな相違点は、見て分かる通り価格です。ビットコインは現在、1BTCは約10,300USDですが、1BCHは約1250USDです(2月27日現在)。ビットコインキャッシュは誕生してわずか半年程なため、価格はビットコインに対し1/8程しかありませんが、基盤の技術はほぼ同じであるため、今後の価格上昇も期待できると考えられます。 ブロックサイズの拡大 vs. Segwit実装 上述しましたが、双方の通貨は異なる方法でスケーラビリティ問題 (具体的には①取引承認の遅延と②手数料の高騰)への課題解決を試みました。 ビットコインはSegwitを実装しています。Segwitを取り付けるより、単純にブロック容量を増やせば良いのではないかと思われるかもしれませんが、ビットコインはブロックチェーン状で繋がれていることにより安全性を保障しているため、容量を増やすことはセキュリティー面を脅かし、ビットコインのプロトコルにも反するとされました。 また容量を増やす場合、繋がれた他のブロックの数値も変更する必要があったため、ビットコインネットワークが破損する可能性が懸念されていました。ブロックの容量を変更する代わりにSegwitを導入することで、取引容量を`圧縮`することができ、安全な取引システムを提供することに成功しています。 対するビットコインキャッシュは、最大ブロック容量が1MBのビットコインに対し、8MBに設定されています。ブロック容量が8倍ということは、単純計算で考えると、同時間で8倍の取引を処理することができることを意味します。1MBのビットコインと比較するとサイズにかなり余裕があり、ビットコインが当時抱えていた取引承認の遅延や高い手数料などが解決されました。また、ビットコインキャッシュはブロックチェーンのみで取引処理を行うため、全ての手数料がマイナーに入ります。そのため、BCHは多くのマイナーに支持されています。 BTCとBCHが可能とする二つの用途 BTCのスペシャリティー 資産をビットコインとして保有することは、経済状況が不安定な国や地域の人々にとって有益です。例えばブラジルでは、ビットコインが熱狂的な支持を得ています。ブラジルは経済状況が極めて不安定で、2014年には通貨であるレアルが大暴落を起こました。その後、国力・政治力は減退し、現在も多くの国民は政府と銀行を信用できない状況にあります。 そんな中、注目を集めたのがビットコインです。ビットコインも価格は不安定ではありますが、ブラジル通貨のレアルも同等以上の振れ幅があるのが現状です。ビットコインの信用性、送金手数料の安さ(経済不安定な国や地域の手数料は特に高額で時間も用する) や手続きの容易さから、ブラジル国民のニーズを満たしており、今後も人気は高まっていくと予測されています。 In many countries in Latin America, including Brazil, there are many problems with the government. Specifically, the governments often does not take very good care of the local currency, typically inflating the currency a lot. The government is too close with the banks, so the people do not trust neither the government nor the banking institutions. People see Bitcoin as an alternative to the traditional banks and people are discovering it because it is easy to trade and convert to local currency. (引用:https://www.forbes.com/sites/jonathanchester/2017/11/27/the-battle-for-bitcoin-what-you-need-to-know-about-bitcoin-and-bitcoin-cash/3/#58a9454a6323) BCHのスペシャリティー (引用:https://twitter.com/tipprbot) BCHは、マイクロペイメントにおいて利便性があるとされています。手数料の安さと送金の速さから、オンライン上での「チップ」の受け渡しにも多く利用されています。主流のSNSサイトであるRedditとツイッターでは、BCHの送金手数料はわずか2セントと安価なため、BCH保有者は簡単にチップを渡すことができます。 Since the inception of bitcoin cash this past August, BCH users have been able to send small increments because fees are 2 cents or less per transaction. The BCH Tippr bot is available on Reddit and Twitter. At the moment a lot of users are using the program to tip people. Tippr users on Reddit simply call “/u/tippr” and enter the number of funds they want to send and specify another user. The same thing can be done on Twitter by tagging the bot and the person on the receiving end and typing“$0.50 @tipprbot.” Tippr has been used on Twitter quite a lot since it started last September and you can observe this by scrolling through the bot’s account.     (引用:https://news.bitcoin.com/bitcoin-cash-tip-bot-tippr-distributes-thousands-of-micropayments/) 今後普及していくのはどっち?:BTC vs. BCH 現在は、無数のアルトコインを始め、ICOも盛んに行われていますが、それぞれ似通っているプラットフォームが多数あります。最終的には実用性があるものだけに淘汰される可能性が強く、決済プラッフォームであるBTCとBCHも決着をつける時が来ると考えられます。現時点では、どちらの通貨に将来性があるかを推測することはできません。 現在における知名度、ユーザー数、安全性や通貨価値を考慮する場合、ビットコインの方が将来性はあるのかもしれません。しかしながら、ビットコインキャッシュのブロック容量の大きさ(8MB)は、今後ユーザーが増加した際に伴うスケーラビリティー問題への対応が出来ており、手数料の安さと送金の速さは重宝されていくでしょう。
仮想通貨の王者ビットコイン2018年に50回フォーク?!

仮想通貨の王者ビットコイン2018年に50回フォーク?!

2018/02/21 at 8:40 PM 0 comments
2017年はハードフォーク19回 昨年、仮想通貨界の王者であるビットコインは19回「フォーク」(分裂)しました。2017年8月、ビットコイン最初のフォークでは、現在、大手取引所でも取り扱われている「ビットコインキャッシュ(BCH)」が生まれ、それ以降も次々と分裂を行い、10月には「ビットコインゴールド(BTG)」、12月には多くの関心を集めた「Segwit2x (B2X)」や「ビットコインゴッド(GOD)」など、名が知られるようになった通貨もいくつか誕生しました。 ビットコインは現在、月1回以上のペースで分裂しており、予想をはるかに上回るスピードであるため注目を集めてきましたが、今年はその倍以上「50回」以上もフォークする可能性があると推測されています。1月に入り、既に「ビットコインピザ」が配達され、「ビットコインプライベート」など複数のフォークも予定されています。(参照: https://iconow.net/list-of-bitcoin-forks/) フォークとはそもそも何なのでしょうか?またフォーク(分裂)の必要性、メリット・デメリット、またトレーダーに及ぼす影響はどういったものがあるのでしょうか? フォーク(分離)とは? フォークとは簡単に言うと「今までのブロックチェーン上でのルール変更」です。通貨が通貨であるためには、全保有者がその通貨の規格に賛同していることが条件とされます。よってフォークが起こるということは、参加者の通貨の規格への意見が割れ、「新しいネットワーク」と「古いネットワーク」に分裂することを意味します。このように分裂することで、フォークコインは「別の通貨」として規格に変更を加えることができるのです。 ハードフォークとソフトフォークの違い ハードフォークとは「互換性のないアップデート」を意味し、旧ブロックはそのままにして、新しいブロックから生まれ変わります。情報を受信する箱(ブロック)のサイズを大きくして、より多くの情報を取り入れやすくするイメージです。日本の大手取引所で取引されているビットコインキャッシュ(BCH)も、ビットコインからハードフォークが行われて誕生した通貨で、さらに1月のBCHハードフォークによりビットコインキャンディーが誕生しています。 (引用: https://coinvest.info/hardfork/) 一方、ソフトフォークは「全てのブロックの変更」を意味します。ハードフォークとは違い、前の仕様にも対応します。箱(ブロック)のサイズは変更せず、情報を圧縮して保存するイメージです。この場合、変更に反対の意見は軽視されることになります。実際、ビットコインにSegwitを実装 (ソフトフォーク)したことで60%もデータサイズを圧縮できるようになりました。 (引用: https://coinvest.info/hardfork/) フォークする必要性 (引用:https://moneytoday.jp/articles-1238) フォーク本来の目的は、通貨の利用環境を良くするための現状問題解決や機能向上です。また、参加者が増加したこともフォークが必要となった要因と考えられます。上述しましたが、ビットコイン市場は1月の暴落前で最高35兆円、現在は20兆円を超えています (2月21日現在)。参加者は開発者、マイナー、取引事業者、ユーザーと様々なため、時に利害が相反し、フォークが必要になりました。 フォーク(分離)するメリット ビットコインをフォークさせる第一の目的は、言うまでもなく通貨としての「機能向上」です。仮想通貨のキングであるビットコインですが、イーサリアムと同様に、スケーラビリティが問題視されてきました。 スケーラビリティとは、ユーザー数と取引量が増え、取引情報の証明が追いつかないことで取引が遅延する・手数料が高騰する、といった問題を指します。これを解決するにはハードorソフトフォークが必要とされます。詳しいブロックチェーンやPoWの特徴はこちらで説明しています。 二つ目のメリットは、新たに生まれたコインの無料付与です。これはビットコイン保有者とフォークする側双方にメリットがあります。保有者には、フォークが起こる前に特定のウォレットにビットコイン(BTC)を保有していると、分裂して作られた新しいコイン(フォークコイン)がBTCの枚数分付与される仕組みとなっています。 例えば、ウォレットに1BTC保有していれば、新しいフォークコイン、1BCHや1BTGが貰える仕組みです。この場合、コインの数は倍になりますが、資産価値が倍になるというわけではありません。フォークコインに価値がつくかどうかは別の問題です。フォークする側も、無料配布することで、フォークコインの存在や価値を広めることできます。 仮想通貨王者・ビットコインから派生した通貨は優位性がありますが、多くのビットコイン・フォークコインの価値は、ビットコインの10分の1にも届いていません。ビットコインゴールド(BTG)はビットコインの5%前後、ビットコインダイヤモンド(BCD)は10%前後の価値が一時的についた程度です。ブロックタワーキャピタルのCIOであるアリ・ポール氏は、今後、BTCとBCHの現在の価値の10%がBTCフォークコインに移ると予想しています。 三つ目のメリットは、ICOが禁止された国での資金調達に使えるという点です。仮想通貨/ICO規制の強化や無数のICOプロジェクトが各国で起こっている中で、ビットコインフォークを開発し、成功させることができれば、多くの新コインを手に入れることができます。「ビットコインプライベート」を開発中であるレット・クレイトンは、多くのアルトコインは、近いうちにビットコインのフォークに取り替えられると述べています。 「“Bitcoin forks are kind of the new alt coin,” Rhett Creighton, who’s working on the upcoming Bitcoin Private fork, said in a phone interview. “We are going to see now a bunch of Bitcoin forks. And they are going to start replacing some of the top hundred alt coins.” ...Forks can also help startups raise funds in countries such as China, where ICOs have been banned, said Susan Eustis, CEO of WinterGreen Research.」 (引用:https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-23/bitcoin-may-split-50-times-in-2018-as-forking-craze-accelerates) フォークするデメリット 多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも懸念されています。 まず一つ目に、利益目的のハードフォークです。フォークは、すればする程機能が向上するわけではありません。中には実態の分からないような怪しいハードフォークがいくつか存在しています。フォークは本来、現状の問題点を解決するために適用された手法ですが、利益だけを目的にフォークを開発する者も出てきました。 「Ultimately, the number could run even higher now that Forkgen, a site enabling anyone with rudimentary programming skills to launch a clone, is in operation.」 「プログラミングに関する初歩的な知識さえあればクローンを作れるフォークジェンというウェブサイトが現在稼働していることを考えると、もっと多いかもしれない。」 (引用:https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-23/bitcoin-may-split-50-times-in-2018-as-forking-craze-accelerates) ハードフォークは多かれ少なかれ親であるビットコインに影響を及ぼします。どのフォークコインに価値を置くかは、ユーザーが主権を持てるため、それぞれのフォークコインの変更点や内容を留意した上で保有することが大事になってくるのかもしれません。 “We provide our users with choices and let them decide which assets they are going to use and which not,” Coinomi’s Kimionis said. “We don’t make that decision for them.” (引用:https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-23/bitcoin-may-split-50-times-in-2018-as-forking-craze-accelerates) 二つ目は、技術的な未熟点も懸念材料です。2017年の12月にフォークしてできたビットコインアンリミテッド(BU)は、フォーク後にバグが生じ、マイニング報酬が無効となってしまう事態が起こりました。また現状、ハードフォークには、リプレイ攻撃に対する対策が十分ではありません。 リプレイ攻撃とは: 「ハードフォークによってブロックチェーンが複数の枝に分岐し、異なる 2 つ以上の独立した台帳に分かれてしまった場合において、ひとつの枝で有効なトランザクションが他の枝でも有効となることを利用して、ある台帳上で有効な取引を他の台帳上でも実行することにより、送金者の意図しない台帳上で資産移動させてしまうこと」です。 (引用:https://bitflyer.jp/ja-jp/glossary/replay_attack) 対策としては、ハードウェアウォレット/ペーパーウォレットの使用、秘密鍵の厳重管理が挙げられます。日本の大手取引所は、リプレイ攻撃等の不正取引防止のため、ハードフォーク予定の数日前後は取引を停止しています。 最後に、ビットコインの信用性です。ハードフォークを行うと、本来のビットコインのルールを変更することも可能になります。そのため、新しく生まれたコインへ対してだけでなく、ビットコインに対しても不信感が生まれてしまう恐れがあります。「発行数の上限が2100万枚」と言うビットコインの規格も変更できてしまう可能性があります。信用性は通貨の価値と比例するため、ハードフォークのルールを明確に定める必要があるのではないでしょうか。 今後の展望 今年は、昨年から人気を集めているICOのように「フォークブーム」が起こると推測されています。今後、ハードフォークはどのように変化を遂げていき、価値をつけていくのでしょうか?フォークはビットコインの将来だけでなく、その他のアルトコインの価格にも影響を及ぼすことが考えられるため、今後の動向に注目が集まります。
イーサリアム基盤技術を始めとしたエンタープライズ・ブロックチェーンの未来

イーサリアム基盤技術を始めとしたエンタープライズ・ブロックチェーンの未来

2018/02/19 at 7:13 PM 0 comments
ブロックチェーン(Blockchain)技術は2018年、企業の中枢を担う1つの要素になると考えられています。ブロックチェーン技術自体は、ビットコイン(Bitcoin)が誕生して以来、イーサリアム(Ethereum)等の仮想通貨の基盤技術として活用されてきましたが、仮想通貨の注目度が高まることで、多くの企業がブロックチェーン技術を積極的に取り入れ活用、革新しようと試みています。 仮想通貨としては時価総額第2位のイーサリアムブロックチェーン技術を活用しようと、2017年春にEEA(Enterprise Ethereum Alliance)が設立されたこともその証拠と言えます。 本記事では、企業向けのブロックチェーン技術であるエンタープライズ・ブロックチェーン(Enterprise Blockchain)について解説した後、エンタープライズ・イーサリアム(Enterprise Ethereum) の未来を考察していきます。 エンタープライズ・ブロックチェーン(Enterprise Blockchain)とは? ブロックチェーンには大きく分けて2種類あります。 パブリック・ブロックチェーンの特徴(Public Blockchain つまり Bitcoin or Ethereum, etc...) 匿名性が高い データがすべてのユーザーに共有されている コンセンサスアルゴリズムが現行はPoW エンタープライズ・ブロックチェーンの特徴(Enterprise Blockchain つまり  Hyperlegder, Ethereum Enterprise, Ripple,etc...) すべてのユーザーまたデジタルアイデンティティは特定の信頼の置ける組織によって認識されている データの読み書きはロールベースで幾つかのユーザーによる許可をもとに行われる。 複数のアルゴリズムがコンセンサスに使用される 多くの企業がブロックチェーン導入を試み、失敗を重ねているのが現状です。というのも、パブリック・ブロックチェーンを使用していたことが原因とされています。パブリックのものでは、各企業の持つ特殊なプロトコルを採用することが困難であったからです。 そこで、エンタープライズ用のブロックチェーンを代わりに使用することが考えられています。エンタープライズ・ブロックチェーンにも、さらにプライベートとコンソーシアムの2種類が存在します。 プライベート・エンタープライズ・ブロックチェーン 名前の通り、1つの組織または企業によって管理されるブロックチェーンのことです。 コンソーシアム・エンタープライズ・ブロックチェーン 複数の組織または企業によって管理されるブロックチェーンのことで、新規に参加する場合、複数の参加組織または企業からのコンセンサスが必要となります。 エンタープライズ・ブロックチェーンの強み、活用方法 エンタープライズ用のブロックチェーンを作り使用することは、企業にとって幾つかのメリットを提供します。そのため、大手IT企業(マイクロソフト、IBM、SAP、オラクル、etc.)や、様々なプロジェクトがエンタープライズ・ブロックチェーン技術を改良しようと研究開発を行っています。 活用方法 多くの業種や業務において将来を嘱望されています。 例えば・・・ サプライチェーンにおいて、全体の透明性と説明責任を改善する可能性があります。現在は材料の供給元の追跡、信憑性やオリジナルの証明、先行リコール、商品流通の加速などの用途において使われています。 資産管理の新たな方法として公共機関(国)からも新規需要を見出しています。 エネルギーの新たな売買方法を提供します。 これらを実現するためのプロジェクトは、上記の大手IT企業やプロジェクトによって推進されています。 メリット 全般的なメリットとしては、企業の取引や作業の効率化、迅速化。仲介者を減らすことによるコスト削減や時短。それによる収入の増加が見込めます。 エンタープライズ・イーサリアムの強み 各々の企業がブロックチェーン技術を改善している中、仮想通貨イーサリアムもエンタープライズ向けにブロックチェーン技術を提供しようと動いています。 エンタープライズ・イーサリアムの強みを、パブリックイーサリアム・ブロックチェーンと比較した場合と、他のエンタープライズ・ブロックチェーンとの比較に分けて解説していきます。 パブリックイーサリアム・ブロックチェーンと比較して 先述したように、イーサリアムはパブリックブロックチェーンであり、エンタープライズ向きではありません。一方でエンタープライズ・イーサリアムは非公開のブロックチェーンとして、その名の通り企業用途に合わせて設計されていることがあげられます。また、イーサリアムの特徴であるスマートコントラクトは実装されており、コンソーシアム型として使用するのには最適であると考えられます。 他エンタープライズ・ブロックチェーンと比較して 元々イーサリアム技術を使用していることで、最終的にパブリックのブロックチェーンとも連携することが考えられる点です。それにより、より信頼性の置けるデータ管理、取引契約を実施することが期待されます。 冒頭で記述したEEA(Enterprise Ethereum Alliance)が存在し、多くの企業が参加していることは産業横断型のベストプラクティスやブロックチェーンナレッジを、全業界に適宜に提供可能であることもさらなる魅力です。 エンタープライズ・イーサリアムの課題 全企業(全業界、業種)向けのベストプラクティスを目指しているため、より多くのEEA加盟企業が必要となります。それから技術面において、パブリックのイーサリアムプラットフォームとの連携を実現するための手段を模索している段階であり、今後、セキュリティ、スケーラビリティに関係した面を改善していく必要があります。 第一に、エンタープライズ・イーサリアムの実用例がないため、まだ改良、実用段階に移るための時間は必須と考えられます。 「EEA also plans to develop open industry standards. "This open source framework will enable the mass adoption at a depth and breadth otherwise unachievable in individual corporate silos and provide insight into the future of scalability, privacy, and confidentiality of the public Ethereum permissionless network," according to the press release.」(引用:https://www.techrepublic.com/article/growth-of-enterprise-ethereum-alliance-signals-blockchains-impact-on-future-of-business/) エンタープライズ・イーサリアムの未来 ブロックチェーンを導入する大手ライフサイエンス企業は、この5年間で83%にまで到達するといった予測が立てられています。それに準じて、その他多くの業界/企業も活用していくことは明白です。事実、ブロックチェーン技術を検討している北米とヨーロッパの大手銀行の割合は90%にまで達しております。 (引用:https://www.sap.com/japan/products/leonardo/blockchain.html#) 様々な競合、別プロジェクトが活発に動いている中、エンタープライズ・イーサリアムが先陣を切ってブロックチェーン技術を多くの企業に提供する未来は、もう数年の月日がかかると予想されます。しかしその時、世界の全企業の間で革新が起こることに疑いはありません。ブロックチェーン技術の動向、それに伴うイーサリアム・エンタープライズの飛躍に今後も注目です。 参考記事: https://www.linkedin.com/pulse/blockchain-enterprise-new-tech-old-problems-chad-woodward/ https://www.coindesk.com/enterprise-blockchain-may-finally-ready-breakout/ https://azure.microsoft.com/ja-jp/blog/accelerating-the-adoption-of-enterprise-blockchain/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000647.000000183.html https://www.sap.com/japan/products/leonardo/blockchain.html# http://gaiax-blockchain.com/enterprise-ethereum)
UNICEFがイーサリアム活用?マイニング寄付、寄付金の透明化、ICOの可能性も

UNICEFがイーサリアム活用?マイニング寄付、寄付金の透明化、ICOの可能性も

2018/02/16 at 6:28 PM 0 comments
ビットコインやイーサリアム等に代表される仮想通貨の人気の高まりと共に、その基盤システムであるブロックチェーンにも関心が集まっています。あらゆる産業がブロックチェーンの利便性に気づき始め応用を試みています。日本でも馴染み深い国際連合児童基金のUNICEFは、イーサリアムブロックチェーンの活用に関して非常に意欲的です。 イーサリアムの利便性に気づいたユニセフ ユニセフはブロックチェーンを用いた3つの潜在的用途を考案しています。募金の新たな手段の確立、内部プロセスの透明性向上、現地で契約されたトラック運転手など現場作業員等への支払い方法の改善です。 このシステム(イーサリアムブロックチェーン)の良い点は、契約の各段階のトランザクションを監視できる一方で、組織は仲介者なしで請負業者に直接支払いを行うことが可能になることです。 「Unicef sees three potential uses for blockchain technology: introducing new ways to donate money; creating greater transparency in internal processes; and potentially addressing issues like payments to partners of frontline workers, such as locally contracted lorry drivers. According to the organisation, one key benefit of the system is to allow organisations to send payment directly to contractors without the need for intermediaries, while Ethereum monitors the delivery of each stage of a contract.」 (引用:http://unicefstories.org/2017/08/04/unicef-ventures-exploring-smart-contracts/) 代表的なプロジェクトとして、イーサのマイニングによる募金の呼びかけ、イーサリアムブロックチェーンを用いた資金移動に関する実証実験の2つが行われています。 イーサのマイニングを通じた募金プロジェクト 概要 ユニセフはイーサリアムを使ってシリアの子供たちの人道支援をするため、Game Chaingersと呼ばれる募金活動を2018年2月2日より開始しました。これはグラフィックカードを使用し、仮想通貨のマイニングが可能なゲーマーを対象とした2ヶ月間のプロジェクトです。 シリアと周辺諸国には、緊急支援を必要としている子どもがおよそ830万人いるとされており、寄付されたイーサリアムをそうした子どもたちへ、飲料水・教育・医療・衛生サービスの形で提供する予定です。 寄付の仕組み Claymoreというマイニングソフトウェアをインストールするだけで、このプロジェクトに参加できます。参加するゲーマーが、コンピューターを使用していない時間に、ユニセフのイーサリアム・マイニング・プログラムを起動させます。参加者はコンピューターの処理能力へのアクセス以外は何も開示する必要はなく、マイニングできたイーサリアムはそのままユニセフのウォレットに送られます。 イーサリアムブロックチェーンを用いた実証実験 概要 ユニセフの関連会社である「UNICEF Ventures」は、2017年8月4日、イーサリアムのスマートコントラクトを活用した資金移動に関する実験を行うことを発表しました。 寄付においては、自身の寄付金がどのように使われているのか不透明な部分が多いのが現状です。しかし、UNICEFのウォレットアドレスは公開されているため、全てのトランザクションを見ることができ、資金の運用における透明性の向上が期待できます。 (引用:http://unicefstories.org/2017/08/04/unicef-ventures-exploring-smart-contracts/) 実験の目的 この実験の最大の目的は、集まった寄付金の流れを明らかなものにすることで、管理団体であるユニセフが寄付者の信頼を得ることにあるようです。 国際取引を追跡することは困難ですが、イーサリアムブロックチェーンを採用するよりことで改善することができます。人々がユニセフのような、大規模な国際機関に寄付したり参加したりすることを躊躇う要因は、自分の寄付金がどこに流れ、どのように使われるのか明確でないことです。 取引履歴が分散型元帳に記録された場合、自分のレコードを検索して資金の支払いを追跡し、自身の意図した人々の元に確実に寄付することができます。 「With the increased difficulty of tracking international transactions, the organization’s decision to employ an Ether Blockchain could help it gain more support. What prevents most people for donating or participating in large international organizations like UNICEF is the skepticism around where the money they donate will go and how it will be used. When the transaction history is logged in a distributed ledger, it allows even the average person to search their records and track the disbursement of funds to ensure their donations reach the people they were intended for.」 (引用:https://ebitnews.com/markets/ethereum/unicef-to-employ-ethereum-based-smart-contracts/) ICOの可能性 また、ユニセフはイーサリアムベースのトークンを発行するICOの実施も視野に入れているようです。現在は構想段階にあり、詳細は開示されていません。以下はユニセフ・ベンチャーズの共同創業者Christopher Fabian氏のコメントです。 「もし私たちが独自トークンを設計するとするならば、私たちが参加できるような形で他者を支援できるものにしたいと考えています。また、同時に暗号通貨で建てられた投資ファンドの可能性についても考えています。これらは近い将来のロードマップとなるかもしれません」 (引用:http://thebridge.jp/2017/10/no-token-response-unicef-is-open-to-doing-its-own-ico-pickupnews) 上述のように、ユニセフはイーサリアムの応用に非常に積極的であることが伺えます。資金運用の効率・信頼性を同時に高めるインフラとして、こういった基金にとってブロックチェーン技術は将来的に必要不可欠となるかもしれません。
Lightning&Raiden ビットコインとイーサリアムのオフチェーン技術とは?

Lightning&Raiden ビットコインとイーサリアムのオフチェーン技術とは?

2018/02/10 at 3:28 PM 0 comments
  スケーラビリティ問題 ビットコインやイーサリアムを始めとした仮想通貨は近年非常に注目されており、利用者は急激に増加しています。そこで問題になるのが利用者の増加にシステムが追いつかなくなり送金・着金に非常に長い時間がかかってしまう「詰まり」と呼ばれる現象です。 本メディアでは過去の記事で、この「詰まり」がなぜ発生してしまうのか解説しています。これの問題はスケーラビリティ問題と呼ばれており、これを解決する有力な方法の一つとして、ステートチャネルを利用したオフチェーン処理が開発されています。 これは具体的にはビットコインでは「Lightning」、イーサリアムでは「Raiden」という名前で開発が進められています。 本記事ではステートチャネルについて簡単に触れた上で、LightningとRaidenについて紹介します。 オフチェーン処理 オフチェーン処理とは、本来ブロックチェーンの上で行われる取引を、ブロックチェーンに書き込まずに行うことを意味します。 トランザクションの詰まりの原因は、そもそもブロックチェーンがある時間内に処理できるトランザクションの量に限りがあるからです。この時間内で処理できる取引数は、ビットコインで1秒あたり7件程度、イーサリアムで15件程度とされています。 そこで、取引の一部をブロックチェーンに書き込まないオフチェーン処理を利用することによって、実際のブロックチェーンに書き込まれる取引数を減らし、時間あたりの取引数制限の影響を大幅に減らすことができるようになります。 オフチェーン処理の分かりやすい例として、「取引所内での取引」を挙げましょう。本来ビットコインの取引が成立するまで30~60分待つ必要がありますが(詰まりが起こればこれ以上に待ち時間は長くなります。)、取引所内での取引が一瞬のうちに完了するのは、取引所内での取引はブロックチェーンに書き込まれず、取引所のサーバー上でのみ処理されているからです。 ただし、取引所におけるオフチェーン処理のセキュリティ管理は各取引所によるため、オンチェーン処理ほど安全ではありません。そこで、このようなオフチェーンの取引をセキュアに個人間でも実現しようとしているのがLightningやRaidenです。 ステートチャネル ​LightningとRaidenは共に、ステートチャネルと言われる技術に根ざしています。ステートチャネルとは「ある2者間でオフチェーン取引を行うための場」の事を指します。 一つのステートチャネルでは、チャネルが開かれてから決められた時間内で起こった取引については、ブロックチェーン上に記録されません。 そしてチャネルを終了する時(予め決められた時間内か、又は両者がチャネルを閉じる事に同意した時)、元々の2者の残高から、チャネル内の全ての取引を行った後の2者の残高になるよう、ブロックチェーンに取引が記録(オンチェーン処理)されます。 特に金銭の支払いに関するステートチャネルのことを、ペイメントチャネルと呼びます。 ここで、AさんからBさんへのペイメントチャネルを用いた支払いについて考えます。 Aさんは、Bさんが経営するカフェの常連客で、週に5回もやって来て数百円のドリンクを注文し、ビットコインで支払おうとしています。ビットコインでの送金手数料が1回0.001BTCだとすると、Aさんは手数料だけで週に0.005BTC(1BTC=100万円だとして5000円)も支払うことになります。 また支払いがブロックチェーン上で承認されるまで、毎回1時間ほど待たなければいけません。 そこでAさんは、Bさんとの間にペイメントチャネルを作りました。このチャネルの有効期間が1週間だとすると、この期間の間にAさんがカフェで支払った5回の支払いは全てペイメントチャネル上で行われブロックチェーンに記録されません。そして、1週間が経過してペイメントチャネルを閉じる時、AさんからBさんへ支払った総額が計算され、一つのトランザクションとしてブロックチェーンに記録されます。 このような取引の方法を取ることで、ペイメントチャネルの中で取引を行う分には手数料が掛からず、またマイニングによる承認も必要ない為、ブロックが承認される時間を待つ必要ありません。 ペイメントチャネルを利用するために掛かる手数料は、最後にチャネルを終了する際に、Aさん・Bさんの最後の残高の状態を反映する為に行うトランザクションにかかる手数料だけになります。 ステートチャネルを利用したオフチェーンでの支払いの仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説されています。 LightningやRaidenが実現されれば、この手数料の掛からない2者間でのステートチャネルが、複数の参加者の間に複数ある場合でも、ネットワークを辿って支払いが可能になります。この仕組みを利用することによって、以下のメリットがもたらされます。 スケーラビリティ問題の解決 ステートチャネル内で行われた支払いは、ブロックチェーン上には記録されません。そのため、十分なステートチャネルが存在すれば、理論的には現在の数千〜数万倍の数のトランザクションの処理が可能になると言われており、現在問題になっているトランザクションの詰まりの問題を解決することが期待されています。 手数料の削減 1つのステートチャネルを使用する際の手数料だけを支払えば、ステートチャネル内での支払いに対する手数料は実質掛からなくなります。これは一回のトランザクションの手数料を大幅に安くすることを意味しています。 トランザクション処理の高速化 ステートチャネルでの支払いは、マイニングによる承認が必要ないので非常に高速に行う事ができます。 LightningとRaidenの相違点 Bitcoin Lightningとイーサリアム Raidenの考え方は、どちらもステートチャネルが複数繋がったネットワークを利用して、オフチェーンで取引を行うという仕組みを採用しており、基本的にアイディアは同じです。但し両者の間には、利用目的の違いがあります。 ビットコインは元々、ブロックチェーンを利用した新しいお金として開発されており、Lightningネットワークはビットコインを通じた支払いを、より便利に行う事を目的にしています。 対してイーサリアムは、お金としての機能に加えて、分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクト機能を持つトークンが利用できるプラットフォームとして開発されており、RaidenネットワークではDAppsの運用やトークンの交換をサポートしています。 例えばRaidenを使うことによって、Youtubeに代わる分散型のDTubeというサービスを作ることもできます。DTubeはイーサリアム上で動作するDAppsであり、DTuber(YoutubeでのYoutuber)は一定の金額以上を獲得しないと広告料が引き出せないYoutubeと違い、自分の動画が見られたその瞬間に少額の広告料の支払いを得る事が可能になります。 “Additionally, many decentralized applications can run on the speed and scalability of the Raiden Network. For example, a decentralized payment appreciation service. Think of dTube, Steem's decentralized video service, yet instead of creators being paid only when the user chooses to upvote them, they get paid constantly for every second watched. This can set things up to compete better with Youtube, where creators are paid for every ad watched, yet get rid of all of the paywalls and ads in the process.” (引用:https://steemit.com/bitcoin/@mooncryption/scaling-cryptos-bitcoin-lightning-network-vs-ethereum-raiden-network) その他にもRaidenでは、イーサリアム準拠のトークンを扱えることから、分散型取引所(DEX)への応用にも期待されています。DEXについては本サイトのこちらの記事に詳細が解説されています。 LightningとRaidenの開発状況 LightningのDeveloperチームがMediumに掲載したポストによると、Lightningは全てのテストを完了し、現在実際のビットコインのメインネットで動かすことができる1.0RC版がリリースされています。 実際にLightning LaboのYoutubeページでは、Lightningを使って高速にコーヒーの支払いを行っているデモ動画が上がっており、たった1秒ほどで支払いが完了している事が確認できます。 また2018年1月24日には、シリコンバレー地区のあるコーヒーショップでBitcoin Lightningを利用した支払いが始まったようです。 Setup Backyard Brew https://t.co/aGFHfUOfMP with a Lightning-Mainnet coffee storefront interface. If you are near Palo Alto come by if you want to test buying coffee with Lightning! I bought the first cup, coffee tastes so much better with Lightning 😬 pic.twitter.com/8JWo3gcCbR — Alex Bosworth ☇ (@alexbosworth) 2018年1月23日 イーサリアムのRaidenについても、既にイーサリアムのテストネットであるRopsten上で動かすことができるRiden Network v0.1.0が公開されています。 LightningとRaidenの懸念点 これら2つのアルゴリズムが用いているステートチャネルには、いくつかの懸念や問題点が提起されています。 ルーティング問題 1対1でのステートチャネルでの支払いの考え方はとてもシンプルです。しかし、これがステートチャネルを連結させたネットワーク上での話しになると、どのステートチャネルを経由すれば目的の取引を効率的に成立させられるのかを計算する必要があります。 これはルーティング問題として議論されていましたが、現在ではインターネットで用いられているBroader Gateway Protool(BGP)に似た手法を用いて解決されています。 流動性の問題 ステートチャネルを介した多くの支払いが成功するには、ある程度の金額がデポジットされたステートチャネルができるだけ多く開かれていて、かつオンラインである必要があります。 しかし、ユーザーが多くの仮想通貨をデポジットしておくことは、オフチェーン処理にとって良いことではありますが、そのユーザー個人には何の利益もありません。 よって、ステートチャネルネットワークには十分な流動性が確保されないという問題があります。数学的なシミュレーションからも、ステートチャネルネットワークを利用したシステムが非合理的であるといった厳しい批判も見られます。 まとめ 近年急激にユーザーが増加し、スケーラビリティ問題に直面しているビットコインやイーサリアムについて、それぞれの解決策として開発されているLightningとRaidenについて解説しました。 ステートチャネルネットワークを利用することによって、大きく利便性を向上することが期待されますが、まだモデルとしては不完全な部分があるのが現状です。しかし、両者共に積極的に新しい解決策が提案されており、問題が解決されリーズナブルな処理が実現されるのも時間の問題なのかもしれません。
ビットコインやイーサリアム、仮想通貨が起こす金融市場や政府への影響

ビットコインやイーサリアム、仮想通貨が起こす金融市場や政府への影響

2018/01/30 at 7:42 PM 0 comments
政府や金融当局への影響 各国の仮想通貨の法律や課税に関する問題 ビットコインやイーサリアム等の仮想通貨で多額の収益を獲得する人々が増える中、仮想通貨の定義や規制、課税/確定申告に関する問題が浮上しています。第一に、国によって仮想通貨の定義、法律、課税制度が異なります。法制度や課税体制が整っていない国や政府は、現状として、課税徴収に苦戦しています。 韓国の事例 韓国政府の課税当局は仮想通貨の課税について苦悩を抱えています。タスクフォース(TF)の構成や、税金賦課の可否を議論し、課税体制を整えるべく準備しています。建国大学金融IT学科のオ・ジョングン特任教授は、韓国では「仮想通貨に対する明確な定義がないため」課税が難しいという現状を解説しました。課税体制を整える為には、第一歩として仮想通貨に対する定義や規制を明確にし、税制を改正する必要があります。 「仮想通貨は課税当局に新しい宿題を抱えさせた。ビットコインに投資して大金を稼ぐ人たちが次から次へと登場し、『所得のある所に課税する』という『実質課税原則』を守らなければならないという声が出ている。韓国政府もこれに合わせ課税を準備している。企画財政部と国税庁は昨年末からタスクフォース(TF)を構成して仮想通貨に対する税金賦課の可否を議論している。」 「建国(コングク)大学金融IT学科のオ・ジョングン特任教授は『海外主要国と違い韓国で仮想通貨課税が難しいのは仮想通貨に対する明確な定義がないため。仮想通貨の法的性格から規定してこそ税源確保が容易で課税方針により起きる恐れのある混乱も減るだろう』と話した。韓国政府は早ければ上半期中に課税案をまとめ8月に発表する来年度税法改訂案に反映する方針だ。」 (引用:http://news.livedoor.com/article/detail/14159057/) 2017年11月、カリフォルニア州の裁判所は仮想通貨取引所Coinbaseに対し、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)への顧客情報の提出を命じました。具体的には、2013年から2015年の期間、$20,000を超える額のビットコインを売買したユーザーの氏名、生年月日、住所、取引履歴等のアカウント情報(14,355名)を差し出す事となりました。また、これらの情報を元にIRSは税務調査を実施しました。 「On Tuesday, a California federal court ordered the popular cryptocurrency exchange and wallet service Coinbase to turn over records on thousands of customers to the Internal Revenue Service. The requested records include the name, birthdate, address, and account activity for any user who bought, sold, sent, or received more than $20,000 worth of Bitcoin in their accounts between 2013 and 2015.」 (引用:https://motherboard.vice.com/en_us/article/ywnmkk/coinbase-irs-14000-bitcoin-tax) インドにおいても、同様の事例があります。同年12月に、財務省が国内の9つの取引所を捜査しました。財務省は顧客の利益に対して適切な税金を課すため、取引所に対し、顧客の取引データ、メールアドレスや住所等の情報の提出を命じました。財務省はビットコインの価格上昇に伴う多額の利益を得ているビットコイン投資家が存在すると予想し、仮想通貨取引所に着目したことが理由です。政府側としては、仮想通貨を課税対象として定めたいという考えがある一方で、ビットコインは「合法な仮想通貨」として認められていないのが現状です。 「インドの財務省が同国内の取引所を利用する顧客の取引動向を調査するため、各取引所の捜査に乗り出した。同省の職員は、インドの中心部のデリーやベンガル地方など、国内に点在する9つの取引所を捜査している。 捜査を受けた取引所は、顧客の取引データに加え、口座に紐づくメールアドレスや住所などの個人情報を提出するよう求められた。財務省職員は、所得税法の133Aのもと投資家の個人情報や取引履歴のデータを集め、顧客の利益に対して適切な税金を課したい考えだ。 ビットコインは最近の一ヶ月間で2倍以上価格が上昇しており、ビットコインを取引する投資家に多額の利益が発生していると財務省はみているようだ。ビットコインに投資する投資家に正当な税金を課したいと財務省が考える一方で、金融庁はビットコインをそもそも合法な通貨としてみていない。アラン・ジュートリー印金融庁長官は、ビットコインに対して懐疑的な考えを持っており、『政府の方針は明確で、ビットコインを合法な通貨として認めない』と発言している。」 (引用:https://btcnews.jp/46vwkjpm14255/) 上述の通り、単に税金を徴収するだけでなく、仮想通貨の定義、租税法定主義や課税対象の枠組み等、様々な要素を考慮する必要があり、韓国やインドを含む多くの国家政府が手を焼いています。現在、仮想通貨の税金に関する規制や管理が明確ではない国が多く、確定申告の漏れや脱税等の問題が多発しています。Node40の社長、Perry Woodin氏は、2018年の2・3月の仮想通貨における主要議題は、納税の申告/報告に関する問題である事を予想しています。 「Starting around February or March of 2018, the main topic of conversation will be about how to report tax liability. People who have Bitcoin will be looking for solutions like NODE40 Balance. Throughout 2018 we are going to see lots of media stories about new Bitcoin millionaires being under investigation by the IRS for neglecting to self report their gains. 」 (引用:https://www.buzzfeed.com/rabbiyitziweiner/another-group-of-9-experts-share-their-predictions-37p3h?utm_term=.fnepMMnvl#.inA2ooXqO) 仮想通貨は、インターネット及びブロックチェーン上で国際的に幅広く取引されています。そのため、国の司法との間に「大きな隔たり」があるのです。今後、各国は仮想通貨における問題を解決すべく、法律の改正や課税体制の整備等、新たなアプローチを取る必要があるでしょう。 政府発行の仮想通貨の可能性 仮想通貨の普及は、中央銀行/当局及び金融政策に影響を及ぼすと考えられます。仮想通貨の需要や存在感が高まるにつれ、自国の法定通貨の力が弱まり、結果として金融政策効果の希薄化が生じます。政府の今後の対策として、政府の裏付けがある法的な仮想通貨の発行が予測されます。 2017年10月16日にロシア情報通信大臣のNikolay Nikiforov氏は、ロシア政府の仮想通貨「CryptoRuble」の発行の決定を発表しました。CryptoRubleは、従来の仮想通貨と異なり、マイニングができないようになっています。また、ロシアの法定通貨であるルーブルと同様に、金融当局によって維持・管理されます。実用化された場合、法定通貨と仮想通貨の交換が可能となります。ロシア以外にも、英国(RSコイン)、オランダ(DNBコイン)、カナダ(CADコイン)等、各国で仮想通貨の発行を検討しています。 「仮想通貨といえばビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などが代表的だが、今回ロシア政府によって発行されるクリプトルーブルは、従来の投資先としての仮想通貨とは性質が異なるもののようだ。 例えば、ビットコインなどはマイニング(採掘)をすることで得ることが可能だが、クリプトルーブルはマイニングを行うことができない仕組みとなっている。また、クリプトルーブルの発行は政府側で管理がされるという。 このクリプトルーブルは、ロシアの法定通貨のルーブルと交換することもできるが、その際に出所が不明のものに関しては13%の税金が課されることになる。また、仮想通貨の取引で生じた利益に関しても同様に13%の税金を支払う必要があるという。」 (引用:https://apptimes.net/archives/8463) 更に、2017年11月3日に南米ウルグアイの中央銀行が法定デジタル通貨「eペソ」の発行を発表すると同時に、6ヶ月に渡る試験運用を開始しました。具体的には、1万人の携帯電話利用者を対象に2000万ペソ分の「eペソ」(約7800万円)を発行し、個人間の送金や店舗での支払いを可能にしました。 多くの中央銀行や金融当局が法定デジタル通貨を研究・検討する中、実際に「実用化」の段階まで進んだのはウルグアイのみで、世界初の試みとなります。 「南米ウルグアイの中央銀行はブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した「法定デジタル通貨」の試験運用を開始した。携帯電話のネットワークを通じ、店舗での支払いや個人間送金が可能になる。中銀など当局が発行する法定デジタル通貨は世界各国で研究が進むが、実用化は初めてという。  1万人を対象に、通貨ペソと同価値の法定デジタル通貨『eペソ』2000万ペソ(約7800万円)分を発行した。中銀のベルガラ総裁は『新しい通貨ではなく、ウルグアイペソと同じだ』と説明。今後、6カ月にわたり試験運用を実施し、国民の反応をみるという。」 (引用:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23403080T11C17A1EE9000/) 上述の通り、多くの中央銀行/当局等の機関は、仮想通貨やブロックチェーン技術の応用を検討・研究しています。というのも、仮想通貨市場の存在感が急激に高まったことから無視できない存在となっているのです。 現に、IMF(国際通貨基金)長官であるChristine Lagarde氏は「ビットコインの影響は無視できない」と発言しています。同氏によると、ビットコイン(仮想通貨)は未だ「未熟」で、リスクも大きいです。しかし、その一方で、画期的且つ革命的な技術を理由に、今後の発展が期待され、中央銀行/当局/金融機関は、仮想通貨を「無視できない」のです。真偽は定かではないですが、同基金の特別引出権(SDR)による暗号化計画も噂されている程です。 「Lagarde went on to say that digital currencies will not replace the current currencies anytime soon. She believes bitcoin is still too volatile. This is why many institutional investors are still waiting on the sidelines. However, the time will come when they decide to jump in. 『For now, Lagarde said, digital currencies are unlikely to replace traditional ones, as they are ‘too volatile, too risky, too energy intensive and because the underlying technologies are not yet scalable.』 Nonetheless, Lagarde said there will inevitably and undoubtedly be more technical innovation. These digital currencies will continue to grow and thrive. She said, just like the internet, cryptocurrencies will scale and quickly slither their way into the mainstream consciousness. In other words, central bankers should not ignore the technology or underestimate it.」 (引用:https://news.bitcoin.com/imf-chief-lagarde-tells-central-bankers-not-wise-to-dismiss-virtual-currencies/) 「According to the Wall Street Journal, the world may soon have an international cryptocurrency in response to Bitcoin. The story comes as a response to recent comments by Christine Lagarde, head of the International Monetary Fund (IMF), encouraging banks and governments to not short-change Bitcoin and other cryptocurrencies.」 (引用:https://cointelegraph.com/news/imf-could-issue-international-cryptocurrency-to-replace-dollar) 金融市場や金融業界への影響 普通銀行の「脅威」となる Morgan Creek Capital Managementの創立者兼CEOであるMark Yusko氏は、ビットコインの基盤となる技術的インフラが今後更に評価されると考え、将来的には$400,000(約4500万円)に達すると予測しています。更に同氏は、ビットコインの技術や効率性は銀行の脅威となり、「恐れるべき存在」であると考えます。 「Investor Mark Yusko has held steadfast to the notion that Bitcoin’s price will shoot to $400,000 in the future. The founder and CEO of the North Carolina-based Morgan Creek Capital Management firm states that the cryptocurrency has the potential of gaining value, thanks to its technical infrastructure and other factors that are already inclined in its favor. 「Yusko also states that Bitcoin’s disruptive tech and its efficiency is something banks should be very wary of, since this is a real potential for eventually displacing the banks altogether. Apparently, things are going well for Bitcoin so far, which could be a sign that it is already gaining grounds in that particular market.」 (引用:http://bitcoinist.com/bitcoin-will-win-end-banks-every-reason-scared/) 同様に、経済学者の野口悠紀雄氏も、ビットコインが「銀行の業務を奪う」と指摘しています。仮想通貨は、銀行等の営業時間やシステムに左右されず、国内や海外、個人間や企業間等の様々な状況において、迅速な送金/決済を低コストで実現します。金融インフラや設備が未熟な国においても、口座の開設を必要とせず、当事者間のスムーズな取引を可能にします。仮想通貨は、今まで銀行が担っていた「送金」業務における「仲介者」としての役割を奪ってしまうのです。 「送金というのは銀行の業務のかなり重要な意味を占めています。これは国内の送金と海外への送金があるんですが、国内の送金でもかなりのコストがかかりますよね。それが事実上ゼロになってしまうということです。もっと大きいのは国際間の送金ですね。これがビットコインにとって代わられると、非常に革命的な変化が起きます。まず送金の業務を銀行から奪うというのが大変1番大きな点ですね。」 (引用:http://logmi.jp/46410) 仮想通貨の更なる普及と共に、仮想通貨やその基盤となるブロックチェーン技術の活用等、銀行側に動きが見られると考えられます。その為には、従来の銀行システムや制度を変える必要があります。 大きな動きとして、主要銀行やメガバンク(三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行等)の仮想通貨市場への参入が窺えます。これらの三大メガバンクは、日本最大の仮想通貨取引所であるbitFlyerに出資しており、仮想通貨に対する楽観的な姿勢を見せています。更に、三菱東京UFJ銀行及びみずほ銀行は、独自の仮想通貨の発行を計画しています。三菱UFJ銀行は、2017年の5月からブロックチェーン技術を利用した「MUFGコイン」を行内で試験導入し、同年10月に一般者向けのイベントにて初披露しました。現在は、一般公開に向け、検証を進めており、2018年度にはMUFGコインの取引所を開設する事を目指しています。 みずほ銀行も、日本IBMと共同に個人と企業間の決済を可能とする「みずほマネー」を開発しました。今後のアジェンダとしては、2020年までに他70銀行と共同に「Jコイン」という新たな名称で発行する予定です。 「みずほフィナンシャルグループの山田大介常務執行役員は20日、円と等価交換できる仮想通貨『Jコイン(仮称)』を創設する考えを明らかにした。『全ての邦銀が大同団結すべきだ』と述べ、他メガバンクや地銀などとの共同発行を目指す。」 「Jコインは日本円とペッグ(固定)し、ビットコインのように価格が変動しない。プリペイド式の電子マネーの良さを取り込み、信頼性が高く、全国で使える仕組みにする。2020年までに始める構想だ。」 (引用:https://www.nikkei.com/article/DGXLASGC20H04_Q7A920C1EAF000/) この様に、新たな傾向として、仮想通貨技術を応用した決済システムやプラットフォーム等、銀行による仮想通貨市場への積極的な参入が見受けられます。 日系金融機関の仮想通貨への取り組みについては、下記を参照。   (参照:https://consensysmediajapan.com/3463.html) 仮想通貨ベースの金融商品 もう一つの傾向として、仮想通貨をベースとした金融商品の誕生があげられます。 フィスコ仮想通貨取引所(フィスコ子会社)は「ビットコイン建ての債券」を2017年8月から試験発行しています。発行額は約1億円分(200ビットコイン)で、償還期限3年、利率3%の社債です。現段階として「会社法上の社債」に該当しないにも関わらず、マーケット・アナリストの田代氏は今後「金融商品として認められるだろう」という楽観的な姿勢を見せています。 「金融情報サービスのフィスコは仮想通貨ビットコイン建てで債券を試験発行した。ビットコインが将来法的に認められるのを見越した試みで、自社事業の拡大につなげる狙いもある。   同社子会社のフィスコ仮想通貨取引所が10日、グループ企業向けに3年債200ビットコイン(16日の換算レートで約9000万円)を発行した。利率は3%。同取引所の田代昌之取締役によると、ビットコイン建て社債の発行は日本で初めてで、将来有用な資金調達手段となるかの可能性を探る目的もあるという。   田代氏は、ビットコイン債について、いずれ法律の下で『金融商品として認められるだろうという見方をしている』とし、『アレンジャーという形であれば手数料は入る』と語った。今回発行した債券は会社法の定める『社債』には該当しないと解釈されるものの、ビットコイン建てであることを除けば一般社債と同様の性格となるよう開発したという。」 (引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-16/OUROSK6JTSE801) 2017年12月には、CBOE(シカゴ・オプション取引所)及びCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)において、ビットコインが先物商品として上場しました。ビットコインの先物上場により、アメリカにおけるビットコインETN(指標連動証券)やビットコインETF(上場投資信託)等の金融商品の取り扱いの可能性についても言及されています。欧州(デンマーク等)では、既にビットコインのETNが取り扱われています。 「世界最大のデリバティブ取引所、シカゴ・オプション取引所(CBOE)で日本時間12月11日午前8時よりビットコイン先物の取引が開始された。 CBOEの役員の一人は、次なるステップとしてアメリカ証券取引委員会(SEC)からビットコインのETF(上場投資信託)やETN(指標連動証券)の許可が出る可能性について言及している。 ビットコインETFは、アメリカの著名な投資家であるウィンクルボス兄弟による『Winklevoss Bitcoin Trust』として2014年からSECに申請が行われているが、『監視共有契約の欠如』や『市場の規制が必要』等の問題点を指摘されて2017年3月に承認を見送られている。」 (引用:https://jp.reuters.com/article/idJP00093400_20171211_04220171211) 同年11月には、英ネット販売会社LuxDecoによる世界初の「イーサリアム建ての社債」が発行されました。自動発行用のプラットフォームは、英ブロックチェーンベンチャー企業Nivauraによって提供されています。LuxDecoのCEOであるJonathan Holmes氏は「このまま仮想通貨の普及が継続すれば、より多くの社債を発行する予定である」と今後の展望について明かしました。プラットフォーム提供者NivauraのCEO、Avtar Sehra氏は「この社債はパブリック・ブロックチェーンのエンタープライズ・ビジネスへの導入によって生まれる新たな潜在的可能性を示している」と述べました。 また、イーサリアムの特徴である「スマートコントラクト」の導入よって、契約内容の管理や匿名性の向上等の利点が考えられます。更に、CSD(証券集中保管期間)のような仲介機関を排除したビジネス・モデルとして、多くの投資家や企業に新たな機会を与える事が見込まれます。 「Blockchain startup Nivaura has today initiated its first bond denominated exclusively in ether. Built under the regulatory oversight of Britain's Financial Conduct Authority (FCA), the first-of-its-kind instrument was issued by London-based luxury retail startup LuxDeco and created with the help of industry leaders to give the company a new way to raise capital for short-term seasonal demand. But what's truly disruptive about the issuance isn't the use of cryptocurrency, rather it's that the bond will be cleared, settled and registered on the public ethereum blockchain. With a relatively short lifecycle of only one week, the bond is also part of a larger experiment to see if removing financial middlemen can make such investment vehicles more accessible to small businesses on a massive scale. 『As an entrepreneurial business we are always looking at ways to gain advantage and scale,』 said the founder and CEO of LuxDeco, Jonathan Holmes, in an interview with CoinDesk. So, if cryptocurrency becomes a valid funding and trading option we would definitely look at issuing further bonds in the future. And while private blockchains have largely been the purvey of CSDs and other legacy infrastructure providers, the founder and CEO of venture-backed Nivaura, Avtar Sehra, argued that the new bond shows the potential of public blockchains when applied to enterprise business models.」 (引用:https://www.coindesk.com/who-needs-a-csd-nivaura-to-issue-first-regulated-bond-in-ethereum/) 今後は、ビットコインやその他仮想通貨(アルトコイン)が継続的に加熱する中、更なる投資商品の派生が見込まれます。多くの投資家に参加の窓口を与え、多くの企業に新たなビジネス・プラットフォームを提供します。この様にエコシステムが更に整備される事で、仮想通貨市場への参入率が上がり、仮想通貨の価値が更に高まるのではないでしょうか。 証券会社及び金融機関への影響 メガバンクのみならず、大手金融機関や証券会社による仮想通貨の受け入れも見られます。 2017年10月の記事では、米Goldman Sachsグループが仮想通貨の取引を支援するビジネス開始を検討している事が明らかになりました。更に、同グループは、同年12月に仮想通貨の値付けを行うトレーディング・デスクを設置する予定である事を発表しました。大手金融グループによる仮想通貨の積極的な受け入れが、競合や同業他社に大きなインパクトを与え、仮想通貨の受け入れを更に促すのではないでしょうか。 「米銀ゴールドマン・サックス・グループは、顧客によるビットコインや他の仮想通貨の取引を支援するビジネスの開始を検討している。計画を知る関係者の1人が明らかにした。」 (引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-02/OX7X9E6KLVR401) 「米ゴールドマン・サックス・グループは、ビットコインなど仮想通貨の値付けを行うトレーディングデスクを設置する。同社の戦略に詳しい複数の関係者が明らかにした。来年6月末までに業務を開始することを目指していると、関係者2人は説明した。別の関係者によれば、同行は安全性や、こうした資産をどのように保有・保管するかなどの問題の解決に取り組んでいる。」 (引用: https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-21/P1BYMQ6S972A01) 同業のJPモルガン・チェースのCEO、Jamie Dimon氏は2017年9月に「ビットコインは詐欺だ」と発言し、ビットコイン価格が30万円に下落する等、仮想通貨市場に大きな波紋を呼びました。しかし、同氏は今年1月9日のFoxBusinessのインタビューにて、この発言を「後悔している」と述べました。Dimon氏自身はビットコイン自体に無関心で、その基盤となるブロックチェーン技術に興味を示しました。 「JPMorgan Chase Chairman & CEO Jamie Dimon said Tuesday he regrets past comments in which he called Bitcoin a fraud at a September banking conference.」 「『The blockchain is real. You can have crypto yen and dollars and stuff like that. ICO's you have to look at individually,』Dimon said in an exclusive interview with FOX Business’ Maria Bartiromo. 『The bitcoin to me was always what the governments are gonna feel about bitcoin as it gets really big, and I just have a different opinion than other people. I'm not interested that much in the subject at all.』」 (引用:http://www.foxbusiness.com/markets/2018/01/09/exclusive-jpmorgan-chase-chairman-ceo-jamie-dimon-regrets-saying-bitcoin-is-fraud-but-still-isnt-interested-in-it.html) 現に、JPモルガン・チェースは2017年10月にイーサリアムベースであるZCash技術(ゼロ知識証明)及び「Quorum」を統合した「決済処理ネットワーク」のローンチを発表しました。Quorumの統合によって、ネットワーク上のプライバシーや匿名性の向上が期待されます。これらの取り組みから、同グループがブロックチェーン技術を高く評価している事が読み取れます。 「JP Morganは、ロイヤルバンク・オブ・カナダ(RBC)ならびにオーストラリアとニュージーランド・バンキング・グループ・リミテッド(ANZ)と協力し、ブロックチェーン技術の新しいユースケースを開発、テストしています。インターバンク情報ネットワーク(IIN)は、支払いのスピードとセキュリティを向上させます。 ETHNewsは、IINの成果とJPモルガンのEthereumパーミッション型『Quorum』との連携をよりよく理解するために、JP Morganの財務サービスおよびブロックチェーンイニシアチブのチャネル、分析、イノベーションの責任者を務めるUmar Farooq氏と話しました。 『Quorumは、ブロックチェーンアプリケーションを開発するための当社のプラットフォームです。』とFarooq氏は述べています。『これはEthereumコードベースを使用して構築されています。 私たちがEthereumを選択した理由は、コミュニティの大きさとプログラミングに関するコミュニティの知識の深さのためです。Quorumは以前から存在していました。 しばらくオープンソースとなっており、そのコアプラットフォームに新しい機能を追加し続けています。私たちは、比較的限られたパートナーが大規模取引を多く行われる状態から開始したいと考えていました。ネットワークを適切にテストすることができる為です。』とFarooq氏はRBC、ANZとのパートナーシップについて言及しました。」 (引用:https://consensysmediajapan.com/3004.html) 外資系金融機関の仮想通貨に対する動きや見方に関する詳細は、下記を参照。   (参照:https://consensysmediajapan.com/3495.html) 資金調達に変革をもたらす 仮想通貨の普及によって、資金調達に、ICO(Initial Coin Offering / 新規仮想通貨公開)という名の新たな手段が加わりました。ICOとは... 暗号通貨/仮想通貨/トークン/コインを発行し、発行側が資金調達を行うこと 英語ではよくクラウドセール/プレセール/トークンセールとも呼ばれる 従来のIPO(Initial Public Offering / 新規公開株)等の手法では、厳しい審査基準があるため、企業側に大きな負担が伴います。更に、投資家側のデメリットとしては、初期段階からプロジェクトに携われない事や、多額のキャピタルゲインを獲得できない事です。 IPOとは異なり、ICOの実施により短時間で世界中の投資家から資金を集める事ができます。2017年から、新たな資金調達の手段として急速に普及し、流行の兆しを見せています。今後、ICOが更に加熱すれば、従来の資金調達手段であるIPOやベンチャーキャピタル(VC)を超越する可能性があります。 ICOについては、下記記事を参照。   (参照:https://consensysmediajapan.com/3536.html)   (参照:https://consensysmediajapan.com/3257.html 最後に、仮想通貨及びその技術は、政府/金融当局/金融機関における既存の規制やシステムに、新たな風を吹かす事となるでしょう。今後、政府や金融機関が解決すべく課題として「仮想通貨を如何にして既存のインフラやシステムに統合するか」という点が注目されます。
イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoSが解決すること

イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoSが解決すること

2018/01/25 at 7:06 PM 0 comments
この2回の連載記事では、仮想通貨イーサリアムやビットコインブロックチェーンの基本的な仕組みと、その核となる考え方 ”コンセンサスアルゴリズム”  について簡単に解説します。 前回の記事ではブロックチェーンの仕組みと、コンセンサスアルゴリズムであるPoW、そしてその問題点について触れました。 2回目の本記事ではPoWが持つ、51%攻撃、マイニングコスト、スケーラビリティなどの問題を解決する可能性を持つコンセンサスアルゴリズム、Proof of Stake (PoS) について解説します。 Proof of Stake(PoS)の仕組み PoSを直訳すると、”所持金額による証明” となります。PoSを採用している仮想通貨では、ブロックチェーンに新しいブロックを追加する際、よりその通貨を所有している金額が高い人ほど、ブロックをチェーンに繋ぎやすくなる仕組みです。 PoWとの違い 前回の記事で書いた通りビットコインが採用しているPoWでは、より多くの計算を行った人が計算問題の答えを見つけて、ブロックを繋いで報酬を得ることができました。対してPoSでは、計算能力によってではなく、元々持っている通貨の量によって計算の成功率が変わってきます。前回同様に数独を例にすると、PoSでは持っている通貨の量に応じて最初に与えられる問題の難しさが違う、つまり既に埋まっている数字の数が違うことになります。 上図を見ると、右の問題の方が簡単に解けそうな事は一目瞭然です。 またPoSアルゴリズムではどんな人でもある時間のうちに行える計算の回数が決まっています。そのため、PoWの様に計算が難しい分を高性能な計算機を用意して太刀打ちするということはできず、計算を成功させる可能性を上げるには純粋にその通貨の保有量を増やす必要があります。 PoSのメリット PoWに対して、PoSは直感的に分かりにくいと感じた人も多いのではないでしょうか。なぜ保有量に応じて問題の難易度を変える必要があるのでしょうか?ここからは、PoSの仕組みを利用するメリットの側面からこの疑問に答えます。 51%攻撃を行う目的を無くす PoWでは、ネットワーク全体の計算力の50%以上を持つことによって不正な取引情報をブロックに追加することが可能です。これを「51%攻撃」と呼びます。PoSでは、保有する通貨の量でマイニングの可能性が決まるので、同じように全体の通貨の50%以上を保有することによって「51%攻撃」を仕掛けることは依然可能です。しかしPoSでは51%攻撃ができる立場の人がそれを踏みとどまるような仕組みが確立されています。 もしある通貨の50%以上を持つ人が、51%攻撃によって不正な取引情報が入ったブロックを誰よりも早くブロックチェーンに繋げたとしましょう。その時確かに、攻撃を仕掛けた人はその取引によって不正にそのブロック内の通貨を得ることができます。しかし攻撃を仕掛けた直後には、攻撃された側がその不正を暴いてしまい、その事実を世界中に発信するでしょう。 この攻撃の事実が知れ渡ると通貨の信用は大幅に下がってしまい、これは通貨自体の価値(価格)の暴落を招きます。 結果として攻撃を仕掛けた人は、不正なブロックによって多少の通貨を得られても、自分が元々保有していた50%以上の通貨の価値が暴落してしまうため、結局はトータルで損をします。 この様にPoSでは51%攻撃ができる人は攻撃をするメリットが無く、51%攻撃は起こらないとされています。また資金的に考えても、ある通貨の50%以上を保有する事は容易ではありません。 莫大な電気代・専用装置を必要としないマイニング PoSでは、計算できる量に制限があることから、PoWの様に膨大な計算を行うコンピューターを必要としません。よって、マイニングに大量の電力を消費するといった事も起こらなくなります。 実際のPoSでのマイニングは非常にシンプルで、一般的に使用されているコンピューターにPoSを行うソフトウェアをインストールして、常時起動しているだけです。 前回の記事で、PoWでは莫大な電気代がかかる為に電気代の安い中国でマイニングが集中している問題を書きましたが、PoWでは通貨を保有さえしていれば良いので電気代などの地理的な条件でマイニングが集中することも無くなります。 その一方で、例えばイーサリアムの様な市場規模が非常に大きな通貨の場合、ある程度の量の通貨を保有できる人は大口の投資家、大企業、又は初期段階で大量にその通貨を購入して保有し続けた人(多くの場合はこれも大口投資家や開発者達)と限られてきます。そのため、やはり一部の人たちが殆どのマイニング報酬を寡占してしまう問題が指摘されています。 スケーラビリティへの対応 ビットコインでは利用者が多すぎる為に、リクエストされた取引をシステムが処理しきれない”詰まり”問題が発生しています。これはPoWシステムの弱点と言えます。詳細はこちらの記事に解説がありますが、PoSを採用することによってサイドチェーンやシャーディングといったスケーラビリティ問題を解決するアルゴリズムをシステムに組み込むことが可能になります。 PoSが持つ問題点 Nothing at Stake Nothing at Stakeを直訳すると”掛け金がない” という状態です。PoWでは不正なブロックを作るのにも、ある程度のコンピューターで時間をかけたマイニング作業が必要です。特に既にブロックチェーンに書き込まれた情報を書き換えようとすると、それ以降のブロック全ての計算を解き直す必要があるため、そのようなハッキングはかかる手間を考えると現実的ではありませんでした。 しかしPoSでは、もしある程度の通貨を保有していれば簡単に、手間を要さずにブロックを作る事が可能になります。これは彼らにとって、なんのリスクもなくハッキングが可能になることになります。これをNothing at Stake問題と呼びます。 Long-range攻撃 PoSアルゴリズムが持つ別の問題としてLong-range攻撃があります。もしあるPoSアルゴリズムを採用する通貨で、初めの頃のブロックに記録されている通貨を全体の1%程度の少量でも持っていれば、そこから不正なブロックチェーンをNothing at Stakeな状態で長く繋いでいくことができ、簡単に本物のチェーンと同じ長さのものを作ってしまう可能性があるという問題です。この問題の仕組についてはイーサリアムの生みの親Vitalik氏によって解説されています。 “A version of this attack also exists for naively implemented proof of stake algorithms. In a naively implemented proof of stake, suppose that there is an attacker with 1% of all coins at or shortly after the genesis block. That attacker then starts their own chain, and starts mining it. Although the attacker will find themselves selected for producing a block only 1% of the time, they can easily produce 100 times as many blocks, and simply create a longer blockchain in that way. ” (引用:https://blog.ethereum.org/2014/05/15/long-range-attacks-the-serious-problem-with-adaptive-proof-of-work/) イーサリアムのPoS移行 イーサリアムでは、ホワイトペーパーに則ってFrontier, Homestead, Metropolis, Serenityの4段階に分けて主要なアップデートが予定されています。現在は、2017年10月にMetropolisの中のByzantiumへのアップデートが完了し、次期constantinopleへのアップデートを待っている状態ですが、その次のSerenityへのメジャーアップデートではコンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSへと変更する予定です。 イーサリアムのMetropolisや全体のロードマップについてはこちらの記事で詳細に解説しています。 イーサリアムでは、基本的なPoSアルゴリズムに独自の要素を加えたCasperと呼ばれるPoSアルゴリズムの開発が進んでいます。このCasperアルゴリズムでは基本的なPoSの流れを汲むことで、スケーラビリティへの対策を打ちつつ、Nothing at Stake, Long-rangeといった問題への解決策が組み込まれています。既にCasperのテスト版は稼働しており、PoSへの移行への準備が着々と進んでいると考えられます。 Casperのαテスト版は2017年12月31日から稼働しており、Karl Floersch氏のTwitterで稼働中の様子が報告されています。 Casper testnet stats! So much love to all the Casper implementers on the Ethereum research team! @changwu_tw, @ChihChengLiang, @davidlknott, @jon_choi_, and of course @VitalikButerin ❤️ pic.twitter.com/LIt60NjLm4 — Karl Floersch (@karl_dot_tech) 2017年12月31日 まとめ 如何でしたでしょうか、簡潔ではありますが本連載でブロックチェーンの基本的な仕組みから始めて、核となる考え方であるコンセンサスアルゴリズムについて主要な方式であるPoWとPoSの基本やその特徴について解説しました。
イーサリアムのスケーラビリティ問題とその解決策

イーサリアムのスケーラビリティ問題とその解決策

2018/01/24 at 7:47 PM 0 comments
本記事ではイーサリアムのスケーラビリティ問題とその解決について説明します。そもそもスケーラビリティ問題とは一体何なのでしょうか?なぜイーサリアムは“詰まって”しまうのでしょうか? なぜイーサリアムは詰まるのか イーサリアムに関わらず、ビットコインをはじめとする仮想通貨はブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳システムに取引(トランザクション)の記録を書き込むことによって動いています。ある一定時間内におけるトランザクションは、最新のブロック(ブロックチェーンの先頭)に書き込まれることになりますが、書き込むことができるトランザクションの量(容量)には限りがあります。よって、あるブロックに収まりきらなかったトランザクションは、次のブロックに書き込まれるのを待つことになります。 例えば、一つのブロックは10件のトランザクションを取り込めるとし、100件の未承認のトランザクションが存在するとします。現在のブロックは10件しかトランザクションを取り込めないため、ブロックに入ることが出来なかった残りの90件のトランザクションは、次回以降のブロックを待つことになります。この状態においては全てのトランザクションが承認されるのは9ブロック先となります。(実際には常に新しいトランザクションが発生しているため、9ブロック先までに取り込まれる保証はありません。) イーサリアムのブロック生成時間は15秒~17秒と言われており、1ブロック待つ程度であれば人によっては気にならないかもしれません。しかしこれが1ブロック、2ブロック…と待たされることになると、トランザクションが“詰まった”と感じるユーザーが多くなるでしょう。 最近はこのトランザクション詰まりが頻発するようになってきており、それに対する解決策の導入が期待されています。このことを「イーサリアムのスケーラビリティ問題」と呼んでいます。このスケーラビリティ問題に関して私たちができることは、イーサリアム送金時の手数料を高めに設定することぐらいです。これは高い手数料が付加されたトランザクションほどブロックに取り込まれやすいためです。 ここで”一度に取り込めるトランザクション数を増やせば良いのでは?”と思いつく方もいるかもしれません。一つの方法としてブロックの容量を増やす必要があります。しかし単純にブロックサイズを大きすることには次のようなデメリットがあります。 それはマイニングに関わる者(マイナー)に、より高性能な計算機リソース(ストレージ容量、通信速度...etc)が求められることです。マイナーには個人から企業まで様々な規模が存在します。しかし肥大化したブロックチェーンの処理が、企業のような大規模マイナーでしか処理できないようになってしまうと、イーサリアムネットワークの分散化が妨げられ中央集権化が進む恐れがあります。これはイーサリアムにとって望ましい状況とは言えないでしょう。 数字で見るトランザクション詰り ここで実際にどれほどのトランザクションがイーサリアム上で実行され、詰まっているのかを確認してみましょう。 次の図はイーサリアムのトランザクション数の日時推移を示したものになります。一目見て分かるように、トランザクションの数は2017年の7月あたりから大幅に増加していることが分かります。グラフを見る限り、このままトランザクションの数は増え続けることが考えられます。 (12月12日午前11時点 引用:https://ethgasstation.info/gasguzzlers.php) 一方で、下図はPending transactions Queueの数、つまりどれだけのトランザクション数が詰まっているか(送金待ちか)を示したグラフになります。2018年1月12日~2018年1月17日の状況が掲載されており、1分間あたり2万~3万件ほどのトランザクションが詰まっていることが分かります。 (引用:https://etherscan.io/chart/pendingtx) トランザクション詰まりの要因 トランザクション詰まりが起こる根本的な原因としては、ある一つのブロックに書き込めるトランザクションのデータ量に限りがあることは先に述べた通りです。ここでは、トランザクションのデータ量が増えてしまういくつかの要因について説明します。 ユーザー数の増加 トランザクションの数が増える要因として、真っ先に思い浮かぶのがユーザー数の増加です。具体的にイーサリアムを利用しているユーザーの人数を正確に知ることは難しいので、代わりにイーサリアムのアドレス数で考えてみましょう。下図はイーサリアムのアドレス数の増加を示したグラフになります。 (12月12日午前11時点 引用:https://etherscan.io/chart/address) 2018年1月18日現在、アドレス数は2200万を超え、約20万/日の勢いで増加しています。さらにグラフの傾きを見ると急激にアドレス数が増加していることが分かり、今後も増え続けるものと考えられます。ユーザー数が増加している背景としては、イーサリアム上で動作するアプリーケーションの開発(ICO,Dapps)が活発化していること、イーサリアムの価格が高騰していることなどが挙げられます。これらに関しては下記の記事が参考になるでしょう。 「ICOが変える世界(2017年概況と2018年再加熱の可能性)」 「2018年イーサリアムとDAppは飛躍するか?」 「【イーサリアム】2017-2018 相場高騰 価格変動 チャート」 当然、ユーザー数(アドレス数)が増加すればするほど、トランザクションの数も増えることになります。一方で、イーサリアムの一つのブロックの容量は簡単に増やすことができません。ですので、多くのユーザーが一度にイーサリアムの送金を試みた場合(価格が暴騰、暴落した場合など)、トランザクションが詰まる状況が発生してしまいます。 ICO, DAppの増加 イーサリアムは、ブロックチェーン上で動作するアプリケーションのプラットフォームを目指してこれまで開発を続けてきました。簡単にトークンの発行/スマートコントラクトの実行ができることから、ICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)やDApp(Decentralized Application/分散型アプリケーションサービス)にイーサリアムが用いられています。 これらのアプリケーションの実行には、当然イーサリアムのブロックチェーンを利用することになります。そうするとイーサリアム自身は単純に「送金情報」のトランザクションを取り込むだけでなく、「送金+様々な情報(スマートコントラクト)」のトランザクションを取り込む必要があります。最近はICOやDAppの数が爆発的に増加していることもあり、それ自体は悪い事ではないのですが、イーサリアムに対して負荷となっています。 ノード数 イーサリアムをはじめとする仮想通貨の多くは、P2Pと呼ばれるネットワーク上で動いています。P2Pネットワークを結ぶ一つ一つの点をノードと呼ぶのですが、イーサリウム上には32,000ほどのノードが存在しています。これらノードには様々な種類がありますが基本的にはトランザクションの処理 – 検証作業(マイニング)および情報の伝搬- を行なっています。 ノードの数が多いことは、それだけネットワークが分散化しており、非中央集権化されているということになります。このオープンなネットワークは、誰でも参加できるものであるがゆえ、各々のノードのスペック(処理速度、通信速度…etc)は大きく異なります。低スペックのノードはそれだけトランザクションの処理・伝搬が遅く、ネットワークにとっては足手まといになってしまいます。なぜならトランザクションはすべてのノードの行き渡り検証される必要があるからです。 このノード数という点に関しては、分散化とトランザクションの処理速度はトレードオフの関係にあります。また今後イーサリアムの拡大に伴い、各ノードに求められるスペックが上がってくると、当然脱落するノードも出てきます。こうなるとある特定のノードしかトランザクションを処理することができなくなり、非中央集権化→中央集権化の流れが進むことになってしまいます。 スケーラビリティ問題の解決策 今後のイーサリアムの発展のためには、非中央集権化とセキュリティーを維持しながら、トランザクションの処理速度を上げていく必要があります。現在、スケーラビリティ問題に対してどのような解決策が考えられているのでしょうか?いくつかの手法がオフチェーン処理、オンチェーン処理として考えられています。 オフチェーン処理における解決 まずオフチェーン処理とはそもそもなんでしょうか?オフチェーン処理とは、本来ブロックチェーン上で処理されるトランザクション(の一部)を、ブロックチェーン外で行うことです。これによって、ブロックチェーン本体で処理されるトランザクションの情報量を減らすことができ、トランザクションの処理速度を高めることができます。 プラズマ(Plasma) プラズマは、イーサリアムのブロックチェーンから不必要なデータを取り除き、トランザクションを高速化することを試みているプロジェクトです。プラズマは2017年8月にイーサリアム創設者のヴィタリック氏によって発表されました。 現在起きているスケーラビリティ問題は、イーサリアムのブロックチェーンにトランザクションの全ての情報が記録されてしまうことが原因とも言えます。そこでブロックチェーンに記録されるデータ量を減らしてあげることが一つの解決策となりえます。 階層構造を持ったサイドチェーンをブロックチェーンとは別に用意することで、トランザクションの拡張が可能です。後述するライデンネットワークは、マイクロペイメント(少額支払い)に焦点を当てた解決策ですが、プラズマはより複雑なトランザクション処理に焦点を当てているためイーサリアム上で動作するDApp等が恩恵を受けられると考えられます。 ライデン(Raiden) ライデンとは、現在イーサリアム上で処理されているEtherやERC20に準拠したトークンの送金をオフチェーンにおいて行うスケーラビリティ解決策です。ライデンネットワークの導入によって、イーサリアムの1秒あたりのトランザクション数の引き上げとトランザクション手数料の引き下げが可能とされています。主にライデンネットワークはマイクロペインメントをターゲットとしており、以下のような特徴を持った支払いが可能です。 高速性:1秒以内に送金完了 安い手数料 秘匿性:ブロックチェーンには個々の取引は記録されない 拡張性:100万トランザクション/秒 ライデンネットワークに参加するユーザーは、送金の際にある金額のEtherをデポジットし、支払いのための専用チャンネル(ペイメントチャネル)を開きます。このペイメントチャネルを利用することによって二者間の送金が実質無制限に(ただしデポジット金額を超えない範囲で)行えます。 取引の途中経過は記録されず、最終的な結果のみがメインのブロックチェーンに記録されます。また複数のユーザー間における送金もカバーしています。ライデンネットワークはマイクロペイメントに焦点を当てているため、イーサリウム上で動作するDApp等はその恩恵を受けづらいと考えられます。 オフチェーン解決策として、プラズマおよびライデンを取り上げましたが、これらの技術は実装に向けて開発中の段階で、実用化の目処は今のところ公表されていません(2018年1月23日現在)。 オンチェーン処理における解決 オフチェーンの対義語として、オンチェーンが挙げられます。オンチェーンとはブロックチェーン自身のことを指しており、本記事における”オンチェーン処理における解決”とは、イーサリウムのプロトコル基盤自身を変更することを指しています。 PoSの導入 現在、イーサリアムの合意形成(トランザクションの検証作業)はプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と呼ばれるアルゴリズムによって行われています。しかし将来的にはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)と呼ばれるアルゴリズムに移行することが予定されています。 簡単にPoW/PoSの違いを述べると、PoWはトランザクションの検証作業(マイニング)に最も貢献した者が報酬をもらえますが、PoSは仮想通貨をより多く、そして長く保有している者が報酬をもらえる仕組みになっています。 より詳細なPoW/PoSの仕組みに関しては、こちらの記事が参考になります。 「ビットコイン&イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoWの特徴と課題」 PoWからPoSへ移行することによって、検証作業に割かれる時間がなくなりブロックの生成時間を早めることが出来ます。結果として、1秒あたりに処理できるトランザクションが増えるため、スケーラビリティ問題を解決する一つの手段になりえるでしょう。 シャーディング ノード数増加において、検証作業を担う全てのノードが全部のトランザクションの処理を行う必要があると述べました。これではイーサリアムネットワークの処理能力は一つのノードの処理能力と同じになってしまいます。そこでイーサリアム創設者のヴィタリック氏が提唱しているのがシャーディング(Sharding)です。 シャーディングとは、処理すべきトランザクションをいくつかのシャード(Shard:破片)に分割し、それをいくつかのノードが集まったグループが役割を分担しながらトランザクションを並列的に処理することです。普段は割り当てられたトランザクションのシャードをグループごとで処理し、定期的にその結果をグループ同士で同期し合うことになります。 このシャーディングによって、大幅に処理速度を上げることができ、スケーラビリティ問題を解決することができると考えられています。なおこのシャーディングの導入にはセキュリティの観点からPoSの導入が前提とされています。シャーディングにPoSの導入が必要な理由は以下の記事に分かりやすくまとめられています。 「シャーディングは、全てのノードが全てのトランザクションの検証作業を行うのではなく、複数のノード群でトランザクションの検証作業を役割分担していくことでした。つまり、それぞれのシャードごとに状態が異なり独立して成り立っています。なので、少ないマイナーのハッシュパワーによってセキュリティが維持されているシャードに対して、攻撃が簡単になってしまうという問題があります。例えば、シャードAとシャードBをという2つのシャードに分かれて検証作業を行っているとします。そして、シャードAが全体の10%のハッシュパワーを持っていて、シャードBが90%のハッシュパワーを持っている場合、シャードAに対してはたった5.1%のハッシュパワーで51%攻撃が可能になってしまいます。」(引用:https://zoom-blc.com/sharding-ethereum)
ビットコイン&イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoWの特徴と課題

ビットコイン&イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoWの特徴と課題

2018/01/19 at 5:20 PM 0 comments
近年ブロックチェーンは革新的な技術だと騒がれ、そんなブロックチェーン技術をベースにした仮想通貨が大きなトレンドになっています。なんとなく多くの人が認知しているブロックチェーンですが、その仕組など技術的な部分を調べてみるとなかなか難しく理解しずらいと感じている方が多いのではないでしょうか。 そこでこの2回の連載では、ブロックチェーンの基本的な仕組みとその核となる考え方 ”コンセンサスアルゴリズム”  について簡単に解説します。第一回目の本記事のテーマは「 ビットコイン&イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoWの特徴と課題」です。第二回目の記事「イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoSが解決すること」はこちら。 ブロックチェーン ブロックチェーンとはその名前の通り、ビットコインなどの取引のデータの塊、つまり “ブロック” を ”チェーン状” に連ねたものです。新しい取引データは新しいブロックとなりブロックチェーンに繋がれていきます。 ビットコインやイーサリアム等の仮想通貨のブロックチェーンはインターネット上で世界中に公開されており、誰でも同じ一つのブロックチェーンを信用して取引内容を確認することができます。 ここで、誰でも ”同じ一つのブロックチェーンを信用して” 取引できる仕組みがブロックチェーン技術の革新的な所です。この仕組みが無いと人によって異なるブロックチェーンを信用したり、そもそもブロックチェーンの内容を信用できなくなったりしててしまい、そのデータを信用した仮想通貨の取引等は行なえなくなってしまいます。 ここからどのようにして同じ一つのブロックチェーンを信用するのかを解説します。 ブロックチェーンに新しいブロックを繋げる方法はとてもシンプルです。手順は、まず新しいブロックを作りその中に取引の情報を入れます。チェーンを繋げる際には、一個前のブロックの情報と、ある計算問題の答えをブロックの中に一緒に入れなければなりません。 この計算問題は答えを見つける事はとても難しく、答えが合っているかどうかはとても簡単に確かめられるという特徴を持っています。数独がとても良い例になります。 数独は3x3のマス、縦、横の列全てで1~9までの数字を1回づつ使ってマス目を全て埋めるゲームです。答えを探すには色々なパターンの数字を入れてみるので時間がかかる一方で答えを見ればそれが合っているかどうかはとても簡単に確かめられます。 またあるブロックでの計算問題は”一つ前のブロックの情報の一部を使って問題が作られている” という仕組みがあります。例えば新しい数独の問題に前のブロックの数独の答えの一部を持ってくるような感じです。(但し実際には数独ではなくハッシュ関数という暗号理論が用いられています。) このように問題が順番に解かれることで繋がっているブロックチェーンは、それぞれのブロックの中の数独の答えが合っているか確認することで、正しく繋がっているチェーンなのかを確認できます。 正しいブロックかを確認するのは簡単ですが、内容を自分に有利な様に書き換えようとすると、書き換えたブロックの次のブロックの計算問題が変わってしまうので問題の答えも書き換えなければなりません。更に、この問題の答えが変わるということは、その次のブロックの問題も変わるので…と言った具合に、既に繋がっているブロックの情報を改ざんするには途方もない計算問題を解き直す必要が出てきます。これは内容を改ざんする事は事実上不可能だということです。 このようにブロックチェーンの内容は改ざんが途方もなく難しいので、あるブロックチェーンに記録された取引情報は信頼することができます。 そしてブロックチェーンでは、更に”幾つかの正しいブロックチェーンがある時は、一番長く繋がれた物が正しいので皆で信頼する” というルールがあります。これに皆が従うことで「同じ一つのブロックチェーンを信用して」取引できることになります。 ブロックチェーンの世界では、世界中の至る所にブロックを繋げる計算に挑戦する人がいますが、その半分以上が悪巧みを考えていない正直な協力者だと考えています。もしこれが本当であれば、いつでも悪巧みを考えている人より正直な人たちの集団が作ったブロックチェーンが一番長くなることになります。 コンセンサスアルゴリズム ブロックチェーンに新しいブロックを追加する作業を通称 ”マイニング” 、それを行う人を ”マイナー” と呼びます。仮想通貨ではマイニングをすることによって、新しい取引の記録をブロックチェーンに記録し有効にし、またマイニングに成功した人(計算問題の答えを見つけた人)はその時に報酬として新しく発行された仮想通貨を貰うことができます。 コンセンサスアルゴリズムとはこのマイニングをする際に、誰がどうやって問題の答えを見つけるのかを決めているルールです。 実際のコンセンサスアルゴリズムには代表的なものとしてビットコインが採用しているProof of Work (PoW)やイーサリアム(現在はPoWを採用)が今後採用予定のProof of Stake (PoS)があります。 Proof of Work(PoW)とは? Proof of Workでは世界中のマイナーが同じ計算問題を解きます。計算問題には特に攻略法は存在しないので、ただ繰り返し適当に数字を入れてみて合ってるか検算するしかありません。この繰り返しをより多くするほど答えを見つける可能性が上がるので、マイニングはどれだけ多くの繰り返し計算ができるかの競争になります。 Proof of Workの問題点 Proof of Workは計算の競争を続けることでブロックチェーンの信頼性を上げる革新的な方法としてビットコインの発明者 ”サトシ・ナカモト” によって提唱されました。(Bitocoinのホワイトペーパーでは半ページ程でPoWについて説明されています。) しかしPoWには幾つかの問題があると言われています。 51%攻撃 ブロックチェーンでは、マイナーの半分以上(50%以上)が悪巧みを考えていない正直な協力者だと考えました。しかし、もしそうでなかったら、つまり誰かが全体の50%以上の計算量を持つことができた場合、彼らは自分たちにビットコインの支払いが行われるような不正な取引にブロックの情報を書き換えて、誰よりも早く計算結果を見つけてブロックに繋げてしまうことが可能になります。 これは通称 ”51%攻撃” と呼ばれており、Proof of Work の根本的な問題点だとされています。CoinDeskによると過去には、Ghashという当時最大規模のマイニング業者のマイニング量が全体の50%を超えそうになり、ビットコインの価値(信頼)が大きく下がるという事が発生しました。 マイニングに掛かるコストの増加 ビットコイン等のマイニングに掛かる電気代は急激に上昇しています。当初ビットコインは研究者やエンジニアの研究や実験として2009年に始まりました。しかし、それが通貨として認知され始めると、一気にビットコインを使おうとする人や、マイニングに参加して利益を得ようとする人が増えました。 ビットコインは計算問題の難しさが自動でコントロールされる設計になっています。よって、もしより沢山のマイナーがビットコインを得る為に計算してブロックを繋ごうとすると、自動的に計算問題が難しくなります。数独で言うと、最初のマス目の空白が増えることになります。 問題が難しくなるにつれて、マイナーはより高性能なコンピューターを用意したり、沢山のコンピューターを用意したりする必要が出てきます。一般的に沢山のコンピューターを繋げたり性能を上げたりすることで消費電力は高くなります。 事実、ビットコインマイニングにかかる電力は急上昇しており、Expressによる記事では既にデンマーク一国分の消費電力に相当し、このペースで上昇を続けると2020年までに全世界の消費電力に追いついてしまうとも言われています。 これはマイナーが高い電気料金の支払いを強いられるだけでなく、環境面でも非常に深刻な問題です。 限られたマイナーによる寡占 計算の難しさが上がるに連れて、かつては家庭用のコンピューターでも出来たマイニングが、普段では使用しない様な高性能なコンピューターが必要になり、しまいにはASICと呼ばれるビットコインの計算問題だけに特化した装置を使わないと利益が上がらなくなりました。 計算装置がより専門的になったこと、マイニングにかかる電気代が上昇したことによって、一般の人がマイニングを続けることは困難になりつつあります。 その代わり、中国など世界的に電気代が安い地域にある大手のマイニング業者がその大部分を行うようになりました。更にこの様な業者同士の中でも熾烈な効率化競争が進み、淘汰が進んでいます。結果としてビットコインのマイニングでは、ほんの数社の企業がマイニング量の半分以上を占めています。(このシェアはリアルタイムでBlockchain.infoで確認できます。)BBCの記事によれば地域別でも、中国内でのマイニングが世界全体の7割以上を占めています。 2017年8月1日にビットコイン(BTC)からハードフォークしてできたビットコインキャッシュ(BCC)は、中国のマイナー達に強く後押しされて作られた仮想通貨だとされています。このような一部の強力なマイニング能力を持つ集団によって彼らに有利な形で中央集権的に物事が進むということも実際に起きたのです。 これは本来何者にも管理されない世界中に分散された取引システムを目指すビットコインの考え方と矛盾していると言えます。 スケーラビリティ問題 PoWを採用するシステムでは一定の時間で処理できる取引量に限界があり、大量の取引が行われた時に、ブロックチェーンへの取引情報の追加に時間がかかる”詰まり”という現象が発生します。このあるシステムの利用者が増えた時に発生する問題は一般に ”スケーラビリティ問題” と呼ばれています。 この問題については本メディアの以下の記事で詳細に説明しています。 ・イーサリアムのスケーラビリティ問題とその解決策 Proof of Stake(PoS)とは? これらPoWの問題点の解決策としてPoSを始めとした新たなコンセンサスアルゴリズムが開発されました。そこで次の記事ではPoSがどのようにこれらの問題点を解決するのかを解説します。 第二回目の記事「イーサリアムブロックチェーンの仕組み PoSが解決すること」はこちら。
2018年イーサリアムとDAppは飛躍するか?

2018年イーサリアムとDAppは飛躍するか?

2018/01/12 at 7:00 PM 3 comments
2018年、新年を迎えイーサリアム価格が大きく高騰しました。 その要因の一つがイーサリアムのブロックチェーンプラットフォーム上で作動している”DApp”です。 それは、”CryptoKitties”=”仮想通貨子猫”というDAppゲームのことです。現在、CryptoKittiesは全イーサリアムの日計トランザクションボリュームの20%を占めており、イーサリアムの価格設定に大きな影響を与えています。(参照:こちら) そこで今回は、イーサリアムの価格価値に影響を与えるDAppについて説明、考察していきます。 DAppとは まずは簡単にDAppの説明をしていきたいと思います。DAppとは、Decentralized Applicationの略で、つまり、ブロックチェーン技術によって構築された分散型のアプリケーションサービスのことを示します。現在は、基本的にスマートコントラクトを活用、実装することで利用価値を高め、サービス提供しています。そのため、スマートコントラクト技術を有するイーサリアムを基盤に作られることが多いのです。 DAppの特徴はネットワーク上に広がるサーバーとコミュニティにより共同的に管理していくことが可能なことです。従来の集中型アプリケーションと違い、主体の単一障害点(単一箇所が働かないと、システム全体が障害となるような箇所を指す)がなく、オープンソースであるため、データ改ざん不可能、よって透明性が非常に高いのです。簡単な図で説明すると以下のようになります。 また、イーサリアムのDAppは主に3つの種類のアプリケーションに分類されます。 ①Financial Applications:お金が絡む契約に関してより良い管理方法を提供するもの ②Semi-Financial Applications:お金が関係するしないに関わらず、重要事項を提供するもの ③Governance Applications:オンライン投票やお金に関連しないdecentralized governanceを提供するもの 現在イーサリアム上のDAppは約1000種類存在し、稼働しているDAppはおよそ300アプリケーションになります。こちらのサイトから全てのDAppを確認することができます。(参考:https://www.stateofthedapps.com/) 現在進行しているDAppのプロジェクト例 2018年最初のイーサリアム価格高騰の要因にもなったと考えられているDAppのプロジェクトを二つ紹介します。 Gnosis https://gnosis.pm/ Gnosis(ノーシス)はイーサリアム上に構築された分散型予測市場プラットフォームです。Gnosisは誰でもあらゆるイベントの結果を予測できるオープンなプラットフォームを提供し、予測市場アプリケーションの作成やカスタマイズを劇的に単純化させることを計画しています。 2017年12月に、Gnosis Olympia(誰でも参加可能のイーサリアム推移予測トーナメント)が開催され、Gnosisの注目度が上昇しました。そして、2018年1月末に携帯やタブレット端末で使用できるアンドロイド版イーサリアムウォレットアプリケーションがリリースされることがイーサリアム価格高騰に影響を与えたといった考えがあります。 「The Gnosis Safe wallet for Ether and other ERC-20 tokens is geared towards single users using 2 or more factor authentication. The additional factors can be held by mobile devices (phones, tablets) and hardware ledgers. We plan to release an MVP for Android by the end of January 2018.」(引用:https://gnosis.pm/timeline) Airswap https://www.airswap.io p2pで直接ERC20トークンの売買が可能なプラットフォームです。 注文処理のみにオンチェーンを利用しており、トークンを交換したいパーティー/トレーダー同士をマッチングさせ、オフチェーンで取引のレートを決めさせ、両パーティー/トレーダーが合意する条件で取引を成立させます。この時AirSwapは、オラクルにより適切なレートを提案することが特徴です。また、取引処理のみオンチェーンで行うため、取引スピードが速く、GASも安く済むというメリットがあります。  そして、新年を迎えAirswapは1月16日にトークントレーダーをプライベートリリースすることを発表しました。この新たなプロダクトは今までのプロダクトが保有していない新しい機能を備えており、今回のリリースに対して多くの期待が集まりました。よって、これがイーサリアムの年始高騰に影響を与えた可能性は十分に考えられます。 (参照記事:https://consensysmediajapan.com/3357.html) 「We’ve scheduled a private release of the Token Trader for January 16th. We’ll be working with our beta tester group to start making our first mainnet trades, and look forward to open a public release soon thereafter. This release will also include some new key features that we’re excited to share.」(引用:https://blog.airswap.io/airswap-team-update-jan-5-2018-662bc4696172) DAppの課題と解決策 DAppは確かにイーサリアムの価格を高騰させる影響力を有し、いくつかのDAppは画期的な機能を兼ね備えています。しかし、DAppの課題も同時に挙げられます。 影響力の強いDappはでてくるか? DAppが今後、冒頭で挙げたCryptokittiesほどの影響力を生み出すことは難しいと考えられていることです。Cryptokittiesの需要はほんの短期間の間に著しく上昇しました。しかし、それはたった一度の出来事で、今後これに似た急需要が起こることは考えにくいでしょう。現に、新たなCryptokittiesを目指そうとCryptoPuppiesやCryptoPetsといったDAppが開発されています。 「CryptoKitties was a one-time success story of a decentralized application that reached large-scale commercial success. It did so through extensive mainstream media coverage triggered by a sudden increase in demand. It is extremely rare for an app on the Ethereum protocol to achieve the level of success that CryptoKitties did.」(引用:https://cointelegraph.com/news/dapp-browsers-will-radically-accelerate-mainstream-ethereum-adoption) Dappダウンロードプラットフォーム 現在の時代背景に関連することから一つ挙げられます。現代社会を生きる私たちは普段様々なアプリケーションをインストールする際、基本アップル社のApp Storeかグーグル社のGoogle Play Storeから取得します。携帯やパソコンから簡単にダウンロードできることが当たり前になっているのです。そのため、特定の代理店、webサイト、デベロッパーからアプリケーションをダウンロードすることは手間を要し、需要を高めることが難しくなっています。 数ヶ月前からこの問題を解決すべく、イーサリアム上にApp StoreやGoogle Play Storeのようなプラットフォームを形成するよう開発が進んでいます。現在では以前よりも使い易いDAppダウンロードプラットフォームが登場しています。 「To imagine the current structure of Ethereum’s decentralized application market, one has to consider the mobile app era prior to the existence of Google Play Store and Apple App Store. At that time, users had to download apps from websites directly from the distributors and developers. The process was highly inefficient and for apps to gain popularity, a significant amount of capital had to be allocated to marketing. Over the past few months, Ethereum-based browsers have provided a better platform for users to search for innovative decentralized applications. These browsers are essentially operating similarly to the Google Play Store and the Apple App Store in terms of aggregating decentralized apps for users to peruse.」(引用:https://cointelegraph.com/news/dapp-browsers-will-radically-accelerate-mainstream-ethereum-adoption) トランザクションの遅延 イーサリアム上のトランザクション速度を遅延させてしまうことです。分散化ネットワークでは、ブロックチェーン上の一つのブロック内に収まるデータ/取引情報の容量には限度/制限があります。その結果として、処理能力の低下、送金遅延、手数料の増加やノードの詰まり(集中化)等の問題が顕在化しています。これらを一括して「スケーラビリティ問題」といいます。DAppもこの問題を引き起こす一因と考えられています。 現在、その改善のためにシャーディングを行うことを公表しています。(参照:https://consensysmediajapan.com/3512.html) 注目のDApp Etherions https://www.etherions.com/ 2018年1月9日に公開された、今最も注目されているドラゴン育成DAppゲームです。これはCryptokittiesと似ているアプリケーションです。しかし、Cryptokittiesよりも豊富なファンクションを兼ね備えています。例えば、3Dでキャラクターが表されること、戦闘が可能であることが挙げられます。しかし現在はデモ版のみの配信に限ります。今後完全公開され、Cryptokittiesのような需要を獲得することができるのか楽しみなDAppです。 APPIAN https://appian.io/index.html APPIANは未だ開発段階ではありますが、DAppを世界に広めることをビジョンとして持つ世界初のDApp Storeを備えたアプリケーションです。上述しましたが、AppleのApp StoreやGoogle Play Storeのような存在を構築することが今後のイーサリアム又Dappの需要を高めることは間違いありません。近い将来APPIANが完全公開され、DApp全体の需要が伸びることが期待されます。 今後のイーサリアムとDApp イーサリアムとDAppは、DAppがイーサリアムのブロックチェーン技術を使用していることから密接に関係しているといえます。その結果として、イーサリアム価格の高騰の一因にもなりました。上記のDAppやその他今後出現してくるDAppが脚光を浴び、需要を高めることで自然とイーサリアムの価値は右肩上がりとなるでしょう。 しかし、DAppには長期の開発期間が必要不可欠であるため、現状を変えることには長期的視点が求められます。DAppとその基盤技術イーサリアムの成熟は、新しいアプリケーション時代の到来の鍵であると考えられるでしょう。
イーサリアム参入を画策する日系大手企業の思惑

イーサリアム参入を画策する日系大手企業の思惑

2017/12/28 at 6:30 PM 0 comments
  仮想通貨を「実体のない通貨」と考えている人は少なくないでしょう。しかし、仮想通貨は通貨としての機能を持つと同時に、革新的機能・可能性を備えているブロックチェーンプラットフォームを基幹としています。 Ethereum(イーサリアム)は仮想通貨市場にてBitcoin(ビットコイン)に次ぐ時価総額を有し、イーサリアム独自のブロックチェーン技術(分散型台帳技術)やスマートコントラクト技術は、Bitcoinを含むその他の仮想通貨/ブロックチェーンプラットフォームより利便性・柔軟性において秀でている分散型プラットフォームです。 「Ethereum allows developers to program their own smart contracts, or 'autonomous agents', as the ethereum white paper calls them. The language is 'Turing-complete', meaning it supports a broader set of computational instructions.」 (引用:https://www.coindesk.com/information/ethereum-smart-contracts-work/) そんなイーサリアムに興味関心を寄せる企業は少なくありません。 2017年2月に、企業間取引に耐えうる企業ニーズに合致したイーサリアムの業界標準仕様を策定していく「Enterprise Ethereum Alliance」の設立が発表されました。設立メンバーは、JPモルガン、UBS、クレディ・スイス、BBVA、マイクロソフト、アクセンチュア、 BPなど金融機関をはじめとした欧米の大手企業約30社で、現在では加盟企業が増え世界各国500以上の企業から構成されています。また、日本企業は8社が参加しています。(2017年12月現在) 加盟企業はEnterprise Ethereum Alliance (EEA)ホームページにて確認できます。 「EEA’s purpose to coordinate the engineering aspect of open-source reference standards, as well as private permissioned versions of Ethereum. The condition is that the members are mandated to work with the Ethereum developers addressing the common interests in particular fields」 (引用:Ethereum: How to Safely Create Stable and Long-Term Passive Income by Investing in Ethereum, 著者:Anthony Heston, 発行日:2017年8月31日) 今回は主に、EEAに加盟している日系企業8社のうち大手企業4社に焦点を絞ります。イーサリアムに何を期待し、どのような活用性・可能性を見出そうとしているのでしょうか。 トヨタ自動車(子会社:TOYOTA Research Institute) トヨタ自動車はTOYOTA Research Instituteという子会社を設立し、人工知能や仮想通貨、ブロックチェーン技術の研究を行っています。また、この子会社はEEA日本企業初メンバーの1社です。(2017年5月22日、同時に他5社参加…三菱東京UFJファイナンシャル・グループ(MUFG)、スマートコントラクト株式会社、クーガー、コンセンサス・ベイス、Kaula) 同社はそのブロックチェーンの台帳技術を応用することによる、より高性能な自動運転システムの開発を促進しようとしています。イーサリアムの持つブロックチェーン技術の新たな活用方法として成功が期待されています。 「it is exploring blockchain and distributed ledger technology (BC/DL) for use in the development of a new mobility ecosystem that could accelerate development of autonomous driving technology. 」 (引用:http://corporatenews.pressroom.toyota.com/releases/toyota+research+institute+explores+blockchain+technology.htm) KDDI株式会社 KDDI株式会社は2017年9月27日よりEEAに加盟しました。また同日に以下引用文が記すように、国内初のイーサリアム使用によるスマートコントラクトの実証実験を開始しました。上述しましたが、元々EEAとは主にイーサリアムプラットフォーム上でスマートコントラクトをビジネスにおいて活用することを目的としています。つまり、今回の同社の試みはEEA加盟企業の目的達成の足がかりとなります。この実証実験の内容は以下引用を参照してください。 「第一弾として、KDDI、KDDI総合研究所、クーガーは共同で、ブロックチェーン技術を活用し、携帯電話の店頭修理申し込みから完了までの工程における、リアルタイムな情報共有およびオペレーション効率化の可能性を検証します。 さらに『スマートコントラクト』により、修理事業とは別事業であるリユースサービスなど異なる事業者間におけるシステム連携の可能性を技術検証します。具体的には、携帯電話の修理の際、修理価格、機種変更価格、中古市場価格など異なるシステム間の情報をプログラムが自動判別し最適な契約が行えるかを検証していきます。」 (引用:http://news.kddi.com/kddi/corporate/english/newsrelease/2017/09/27/2715.html) 同社はイーサリアムを使用することで、様々なビジネス間で生じる企業間の契約を携帯電話によって可能にする仕組みを構築することを目標においています。また、人工知能とブロックチェーン技術の新たな可能性に期待を抱いています。 「KDDI seeks to use blockchain technology will involve coordinating with other businesses to re-use mobile phones. KDDI is also interested in exploring the possibilities of an Internet of Things (IoT) network matched with artificial intelligence (AI) and blockchain technology.」 (引用:http://bigcryptocoins.com/news/kddi-joins-enterprise-ethereum-alliance-540.html) 株式会社NTTデータ 株式会社NTTデータは2017年10月2日よりEEAに加盟しました。同社は以前よりブロックチェーン技術に興味を示しており、分散型台帳技術関連団体「Hyperledger Project」に加盟しています。また、ブロックチェーン推進チームを設けることでその可能性について深く探ってきました。今日、同社がEEAに加盟している理由は主に2点あり、トレーサビリティやKYC(Know Your Customer)に関するノウハウ取得、今後のイーサリアム技術発展による革新技術のR&Dです。 「Ethereumを扱ったテーマ(トレーサビリティやKYCなど)が国内外で複数あり今後も増えることが見込まれること、エンタープライズ領域でのEthereum活用が広がることを踏まえ、このたび『Enterprise Ethereum Alliance』に加盟する運びとなりました。」 (引用:http://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2017/2017101001.html) 三菱東京UFJファイナンシャル・グループ(MUFG) MUFGは上記でも述べたようにEEA日本企業初メンバーの1社です。同社は、EEAに加盟はしていますが、独自のブロックチェーン技術により決済システム「MUFGコイン」を開発しています。2017年5月より実証実験を社内にて行なっています。 「"We can use the data to create new value." In a bid to capitalize on the value-laden data, the bank is developing a blockchain-based "MUFG Coin" that is pegged to the Japanese yen. 」 (引用:https://www.ethnews.com/mufg-coin-from-mitsubishi-ufj-financial-group-designed-to-capitalize-on-transaction-data) MUFGは日本の銀行の中で最も早い段階からブロックチェーン技術による利便性を追求していました。現在、みずほ銀行も「J-Coin」という独自の仮想通貨(MUFGコインと類似)を構想しており、2020年に一般向けの発行を試みています。 「MUFG isn't the only Japanese bank developing a cryptocurrency to tap a new metric of information for marketplace use. Mizuho Financial Group, a Japanese lender, is also developing a cryptocurrency dubbed "J-Coin" slated for mass-use in 2020.」 (引用:https://www.ethnews.com/mufg-coin-from-mitsubishi-ufj-financial-group-designed-to-capitalize-on-transaction-data) MUFGはEEAには加盟しているものの、イーサリアムを活用していく方向性に関する情報はないのが現状です。MUFG、その他日本の金融機関の動向に関する情報は本メディア内「日系金融機関の仮想通貨に対する取り組みと見解」にてより詳しく記されています。   イーサリアムに限ってというわけではありませんが、上記に述べた企業以外にも多くの企業が仮想通貨事業に参入しています。周知の大手企業の中では、リクルート、サイバーエージェント、HIS、DMM、GMOといった企業が挙げられます。イーサリアム、仮想通貨全体の今後の進展に注目が集まります。また、注目が集まることで仮想通貨の所有者が増すことはイーサリアム、仮想通貨の持つ分散型プラットフォームの利用価値を高めることにつながります。多くの大手企業の仮想通貨事業参入は仮想通貨の新たな可能性を見出し、私たちの生活に変革をもたらすきっかけとなるでしょう。 その中でもイーサリアムの持つ技術は前述した通り他仮想通貨と比較して、大きな変革をもたらす潜在力に溢れています。上記企業また、新規参入企業のイーサリアムによる今後の飛躍に期待が高まります。
【イーサリアムとは?総集編】仮想通貨/ブロックチェーン技術仕組み/変遷

【イーサリアムとは?総集編】仮想通貨/ブロックチェーン技術仕組み/変遷

2017/12/22 at 6:00 PM 0 comments
「仮想通貨」「暗号通貨」「ビットコイン(Bitcoin/BTC)」「イーサリアム(Ethereum/ETH)」。様々な媒体を通して、これらの単語を頻繁に耳にするようになったのではないしょうか。 本章では「イーサリアムとは何か?」をテーマにし仮想通貨・暗号通貨の定義、ブロックチェーンの技術や、イーサリアムに関する情報をまとめていきたいと思います。 第1章【イーサリアムとは?】 仮想通貨/暗号通貨とは? 「仮想通貨」とは、「インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用できる通貨」です。特徴として、完全に分散化された仮想通貨は、中央銀行や国等の発行主体・管理者が存在しません。(一部、発行主体が存在する仮想通貨もあります) 「仮想通貨とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用でき、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず専門の取引所を介して円やドル・ユーロ・人民元などの通貨と交換できます。仮想通貨の種類は600種類以上あるといわれています。」 (引用:https://bitflyer.jp/ja/glossary/virtual_currency) 「暗号通貨」とは、仮想通貨の一種であり、暗号技術を応用したものです。暗号技術を用いる事によって、取引上の記録の改ざんや詐称を阻止し、安全性を保証します。 暗号通貨の例として、ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン等が挙げられます。この章では、イーサリアムについて解説していきたいと思います。 「暗号通貨とは、セキュリティ対策として暗号技術が利用されている通貨です。Virtual Currencyとも価値記録とも呼ばれます。公開鍵暗号、ハッシュ、その双方を用いた電子署名等の技術が利用されています。暗号通貨の対義語として法定通貨があげられることが多いです。法定通貨は日本円や米ドルなど法律で価値が保証された通貨です。法定通貨はFIAT通貨とも呼ばれます。電子マネーなどの第三者式支払手段は暗号通貨に含まれません。」 (引用:https://bitflyer.jp/ja/glossary/cryptcurrency) ブロックチェーンとは? イーサリアムの説明に入る前に、まずは仮想通貨にとって必要不可欠な技術「ブロックチェーン」の仕組みを説明したいと思います。 「ブロックチェーン」とは、仮想通貨における「取引データ」の技術です。取引履歴は「トランザクション」と言い、一定期間における複数のトランザクションの集合体が「ブロック」となります。「ブロックチェーン」とは、これらのブロックが鎖状で保存されたものになります。 「ブロックチェーン」とは、ビットコインの中核となる「取引データ」技術のことを指します。取引のデータ(履歴)を「トランザクション」と呼び、そして、複数のトランザクションをまとめたものを「ブロック」と言います。このブロックが連なるように保存された状態が「ブロックチェーン」です。 (引用:https://ferret-plus.com/7706) ブロックチェーンの特徴として、P2P (Peer to Peer) ネットワークを利用しているため、中央集権的な管理組織が存在しません。つまり、ブロックに記録された取引情報がネットワーク上で共有され、ユーザー同士又は複数のコンピューターが「分散」して管理しあう仕組みとなっています(これを分散型取引台帳と言います)。 更に、「分散型自動化組織」(Decentralized Autonomous Organization / DAO)というシステムを採用しているため、管理主体を持たずに、一定の「ルール」や「プロトコル」に基づいた組織として機能しています。 「DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略称であり、日本語では一般的に自律分散型組織と呼ばれている。これは2013年ごろから、ビットコイン・ネットワークの運営体制から着想を受けて提唱されたコンセプトで、分散的に、組織や会社、コミュニティ自体が自律して運営されることを表している。組織を会社と言い換えて、DAC(Decentralized Autonomous Corporation)と呼ぶこともある。DAOには特定の主体がおらず、いかなるビジネスルールや制御下に置かれていない。意思決定や意思決定に至るためのプロセス、実行、組織全体のガバナンスや紛争解決は人ではなく、プロトコルが予め定めたルールに従って執行する。これを実現するためには、自律分散型である必要がある。」 (引用:https://btcnews.jp/dao-and-the-dao-and-bitcoin-governance/) なぜブロックチェーン上のデータは改ざんが難しいのか? ①P2Pネットワーク ユーザー間でデータが共有されているので、改ざんが難しい。 ②中央サーバーが存在しない 「特定の中央サーバー」が無いため、データ破損が生じた場合においても、他データやブロックから復元可能。 ③ブロックは「ハッシュ化」されている 取引件数、取引量、ハッシュ値、前ブロックのハッシュ値等のデータが、全て鎖状で記録され、取引内容の改ざんやハッキングはほぼ不可能。 ④プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work / PoW) コンピュータの演算処理によって、取引承認/マイニング(採掘)が行われる合意形成アルゴリズム。ネットワーク全体の51%以上のコンピュータパワーが無いと改ざんできない。 ブロックチェーンの種類? パブリック型とプライベート型の二種類があります: 「パブリック型(パブリックチェーン)は、中央集権的な管理期間を持たず、不特定多数のだれでも自由に参加でき、だれでもマイニングに参加できるブロックチェーンを指します。ビットコインが代表的です。」 「プライベート型(プライベートチェーン)は、管理者がいるのが特徴です。マイニングを行うためには、管理者の許可によってコントロールできるため(パブリック型はマイナーの賛同を得なければならない)、金融システムの管理などに活用できるでしょう。」 (引用:https://ferret-plus.com/7706) イーサリアムとは?/ビットコインに次ぐ市場規模 イーサリアムとは、スマートコントラクトの実装・分散型アプリケーション(DApps)の構築が可能な「分散型」ブロックチェーンプラットフォームです。また暗号通貨・仮想通貨の一種で、通貨単位はイーサ(Ether / ETH)です。ETHは様々な仮想通貨取引所/プロジェクト/DApps等において使用/売買されています。 「分散型グローバルコンピューティングプラットフォーム」又は「だれでもスマートコントラクトベースの分散型アプリケーション(DApps: Decentralized Applications)を作り、保存して実行できるバーチャルマシンです。」 (引用:https://gatecoin.com/ja/ethereum/) 「ブロックチェーンを使った様々プロジェクトの総称」  (引用:http://crypto-currency.site/?p=909) 「スマートコントラストを実行することができる分散型プラットフォーム」 (引用:https://ethereum.org) coinmarketcap.comによると、ビットコインの時価総額は$286,070,473,640(約32兆円)で、イーサリアムの時価総額は約$81,331,473,019(約9兆円)です。イーサリアムはビットコインに次ぎ、2位の時価総額を誇ります。 仮想通貨全体の時価総額$638,237,664,633(約72兆円)で、ビットコイン及びイーサリアムで全体の約57.6%となります。 (12月21日午後13時調べ 引用:https://coinmarketcap.com) イーサリアム・クラシックとは? イーサリアム・クラシック(ETC)とは、ハードフォークによってイーサリアムから分家した仮想通貨です。イーサリアム上で、「The DAO」というプロジェクトが約150億円に及ぶ資金をICOによって調達しました。しかし、The DAOのスマートコントラクトコードの脆弱性により、日本円で約50億円程の資金が不正に送金されました。これを「The DAO事件」と呼びます。 事件発生後、イーサリアムコミュニティは「ハードフォークによって、不正送金が行われる前の状態に戻す」という決断に至りました。しかしコミュニティ内では反対派も存在し、この決断に反発したコミュニティによって「イーサリアム・クラシック」が作られました。 「イーサリアムクラシックが生まれた契機は、イーサリアムを利用したプロジェクトであるThe DAOのスマートコントラクトコードの脆弱性を突いて当時の金額で約65億円相当のイーサリアムが不正に送金された『TheDAO事件』と呼ばれる事件です。これに対しイーサリアム開発チームは『ハードフォークによって不正送金が行われる前の状態に戻す』という手段を取ることで解決を図りました。そして最終的にはコミュニティの約90%がこれに賛成し、ハードフォークが実行されイーサリアムの不正送金は無効化されました。」 (引用:http://businessblockchain.org/about-cryptocurrency-ethereum-classic) イーサリアムの需要と供給 <供給> currexy.comによると、12月19日午前11時時点のイーサリアムの供給・発行量(下記を参照)は96,426,711 ETHです。2014年の初期発行量の7200万ETHに比較すると、約2200万ETH増加しています。今後更に増加する可能性があり、増加以降は一定量に保たれると考えられます。 (12月19日午前11時調べ 引用:https://www.currexy.com/cryptocurrency/ethereum) <需要> 今後、イーサリアムの需要は更に高まることが予想されます。 現在、多くの人々・団体・企業がイーサリアムの独自の技術「スマートコントラクト」に注目している為、一種の投資対象として多くの投資家を引き寄せています。 又、イーサリアムを用いて、他のICOプロジェクトへ投資することが出来ます。今後、ICOが継続的に実施されれば、ICOに投資するためのイーサリアム買い需要が更に高まるでしょう。 更に、イーサリアムやスマートコントラクト技術を応用した分散型アプリケーション(DApps)の構築数増加による需要増大も考えられます。Investing Havenの研究チームによると、約5〜7年後には、DApps数が20〜30倍程の増加が予測されています。 a. The current and future supply of Ethers There are currently 92 million coins of Ether in circulation. Although this number is likely to increase over the next couple of years, it will probably flatline after that. Which means that the developers in charge of Ethereum will make sure that the number of circulating coins stays constant. b. Ether applications The edge Ether has over Bitcoin is the ability to use smart contracts. These are contracts that are automatically executed without any human intervention the instant their terms are met. However, Ethereum also permits developers to build decentralized apps, also known as dapps, on top of its blockchain technology. Interestingly, the more apps are built, the more valuable the Ether becomes. The research team at Investing Haven expects that 5 to 7 years from now, we will see a 20 to 30-fold increase in the number of decentralized blockchain apps from the numbers we have today. c. Ether demand Demand for Ether will be driven by one of two things. Either for its functionality as a currency that is built on a blockchain with several applications. Or as a possible investment vehicle that keeps appreciating in value. When it comes to the functionality of Ether, the technology behind smart contracts is what interests people most. However, as we just saw, the building of new applications on top of the Ethereum blockchain will also drive up demand. (引用:https://investingpr.com/ethereum-price-predictions-for-2018/) Who is Vitalik? ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、イーサリアムを考案/構想した人物です。彼は幼い頃から仮想通貨に魅了されていました。大学時代には、世界中のビットコインプロジェクトを見回る旅を5ヶ月間続け、ブロックチェーンの更なる潜在性及び可能性に気づきました。同氏は19歳という若さでブロックチェーンの「分散型」という特徴に着目し、イーサリアムの開発に至りました。 経歴  1994年:ロシア・モスクワにて生まれる  2011年:仮想通貨に特化した出版社「Bitcoin Magazine」社の共同設立者となる      「Thiel Fellowship」(大学中退者に10万ドル支援するプログラム)に選抜  2012年:ウォータールー大学在学中、情報科学国際オリンピックでメダル獲得  2013年:19歳の時、イーサリアムを考案する  2016年:「Fortune」誌の「40 Under 40」に選出 (写真:http://crypto-currency.site/?p=909) 何の課題解決を目指しているのか  ・より安全な仮想取引を実現、透明性の向上 過去の契約内容が半永久的に保存され、信用情報が自動的に蓄積されます。P2Pネットワーク及びブロックチェーンの仕組みによって、改ざんや偽造を困難にします。 ・マイナーの寡占化や集中化問題の解消 「Proof of Work」という合意形成/承認アルゴリズムは(第2章で説明)、演算が早ければ早いほど、報酬を得られる確率が上がります。例えば、スーパーコンピュータ等の技術を持つ人は、圧倒的に有利です。 イーサリアムは今後のハードフォークを通して「Proof of Work」(以下PoW)から「Proof of Stake」(以下PoS)に移行する予定です。PoSに移行した場合、「コイン(資産)保有量」によって報酬が貰えるようになり、上記のようなマイニング(採掘)の集中化を避ける事が可能になります。 ・コストの削減 第三者や仲介者を必要とせず、ユーザー間で取引を行うので、コストの低下に繋がります。 第2章【他暗号通貨/ブロックチェーンとの違い】 ビットコインとの違い/スマートコントラクト イーサリアムの最大の特徴は、「スマートコントラクト」という技術です。 「スマートコントラクト」という呼称及び概念は、1994年に暗号学者Nick Szaboによって提唱されました。Szabo氏は、自動販売機を同概念の「起源」としました。彼によると、自動販売機はとても「シンプルなメカニズム」により、表示価格に基づき硬貨(コイン)を受け取り、商品を提供します。これは一種の契約として成立し、硬貨を持っている人は取引参加者として、業者(仲介者)の介入無しに取引を執行できます。更に、金庫によって、硬貨は攻撃者(窃盗)から守られます。 「A canonical real-life example, which we might consider to be the primitive ancestor of smart contracts, is the humble vending machine. Within a limited amount of potential loss (the amount in the till should be less than the cost of breaching the mechanism), the machine takes in coins, and via a simple mechanism, which makes a freshman computer science problem in design with finite automata, dispense change and product according to the displayed price. The vending machine is a contract with bearer: anybody with coins can participate in an exchange with the vendor. The lockbox and other security mechanisms protect the stored coins and contents from attackers, sufficiently to allow profitable deployment of vending machines in a wide variety of areas.」 (引用:http://www.fon.hum.uva.nl/rob/Courses/InformationInSpeech/CDROM/Literature/LOTwinterschool2006/szabo.best.vwh.net/idea.html) イーサリアムにおけるスマートコントラクトの概念もSzaboの思想に基づきます。 ブロックチェーン技術を応用したアプリケーションやプラットフォーム上で、コントラクト(契約)の「自動化」によって契約の条件確認から決済/履行までの過程を自動的に執行するプロトコル/プログラムを指します。 (引用:http://gaiax-blockchain.com/smart-contract) スマートコントラクトのメリット ①トラストフリー(契約相手方を信用する必要/カウンターパーティリスクが無い) 契約のプログラムに沿って自動的に実行され、改ざんや詐欺を防ぎ、相手の契約を「信用」する必要性を排除します。同時に、取引履歴が公開される為、透明性の向上に貢献します。 ②コスト低下 第三者機関/仲介者を必要とせず、契約に関する訴訟等も減少し、コスト削減に繋がります。 コンセンサスアルゴリズム ブロックチェーン上の取引承認プロセスは、予め定められたルール「コンセンサス(合意形成)アルゴリズム」に基づいて実行されます。代表的なアルゴリズムは2つあり、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work / PoW)とプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake / PoS)と呼ばれています。 プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work / PoW) 「演算量(Work)による証明」を意味し、投入した演算量が多いほど、ブロック承認の成功率が上がります。よって、より多くの報酬をもらえる仕組みとなっています。 プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake / PoS) 「コイン保有量(Stake)による証明」を意味し、保有量が大きいほど、ブロック承認の成功率が上がり、報酬をもらえる仕組みとなっています。 現在イーサリアムは、ビットコイン同様にPoWを採用しています。しかし、2018年に実施予定である第四段階のセレニティへの移行アップデートでは、PoSアルゴリズムへの移行が完了すると見込まれます。 DApps(分散型アプリケーション)構築プラットフォーム Decentralized Applications(以下DApps)とは、直訳すると「非中央集権型・分散型のアプリケーション」です。 DAppsに投資するDavid Jonston氏のVCファンドの定義によると、DAppsとは、下記要件を全て満たすものを指します: ①アプリケーションはオープンソースである。オペレーションは自動であり、中央のコントロール主体を持たない事。トークン・データ・レコード等につき、暗号化・分散化されたブロックチェーンを利用している事。 ②アプリケーションは、オープンに流通可能な、暗号トークンを持っている事。アプリケーションの利用に際してトークンを利用する事。参加者には、そのトークンによってリワード(報酬)が支払われる事。 ③アプリケーションは、マーケットやユーザーからの改善要求によりプロトコルを改善していく事。この改善は、ユーザーのコンセンサスによる事。 (引用:http://doublehash.me/what-is-dapps/) (英語版原文:https://github.com/DavidJohnstonCEO/DecentralizedApplications) 第3章【イーサリアムのロードマップ・課題・どう解決していくか】 4段階の説明 イーサリアムのアップデートは、大きく分けて、フロンティア、ホームステッド、メトロポリス、セレニティの第4段階に分かれています。各段階における詳細は、下記の通りです: 第一段階:フロンティア Frontier( 2015年7月〜2016年3月) イーサリアムネットワークの初期リリース DAppsのツール構築が可能 イーサリアムネットワークとの適合性テストが可能 第二段階: ホームステッド Homestead( 2016年3月〜2017年10月) 商業企業向けのプロダクションをリリース プロトコルの改訂:ネットワークアップグレードやトランザクションの高速化 MicrosoftやIBMを含む大手がイーサリアムベースのプラットフォーム開発を開始 第三段階:メトロポリス Metropolis ( 2017年10月〜2018年??) ビザンチウム(2017年10月17日〜)及びコンスタンティノープルの二つのハードフォークに分かれている 4段階において、大きな「肝」と言われている 第四段階:セレニティ Serenity(2018年〜2019年??) イーサリアムの最終段階  最大の目標は、コンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSに移行する事 Frontier The initial release of the Ethereum network that went live in July 2015. It was a bare bones beta release that allowed developers to learn, experiment, mine Ether (ETH), and begin building Dapps and tools. Homestead The second major version of the Ethereum platform and the first production release of Ethereum, which was made public in March 2016. It included several protocol revisions and a network change that provided the ability for further network upgrades and sped up transactions.」 (引用:https://www.ethnews.com/ethereums-road-map-for-2017) 今後の課題・具体的な解決策(主にMetropolisアップデートにおいて) ①プライバシー保護の強化 メトロポリスアップデートにおける目玉となるのが、ゼロ知識証明技術です。EIP96、197によって、zk-SNARKs(ゼロ知識証明の手法)が適用されます。zk-SNARKsとは、Zcashの暗号ツールの一つであり、取引内容の詳細を必要とせず、取引の正誤の確認を可能にするプロトコルです。ユーザーの匿名性及びプライバシー保護の向上に繋がります。 zk-SNARKs:Zcashの基礎となる暗号ツール。取引内容を確認する事なく、ユーザーのプライバシーを保護しながら、情報の正誤を証明するシステム zk-STARKs:zk-SNARKsの改良版。コスト面・スピード面・スケーラビリティ・安全面において優位性が保証されている(https://www.coindesk.com/zk-starks-new-take-on-zcash-tech-could-power-truly-private-blockchains/を参照) ゼロ知識証明:暗号理論において、当事者が真実が偽の記述以上の物を受け取ることなく、声明が正しいかどうかを検証する事を可能にする技術(引用:https://consensysmediajapan.com/3181.html) ②セキュリティの強化 The DAO事件等、ハッキング被害による問題が顕在化し、セキュリティ面において懸念視されていました。今回のアップデートで、「マスキング」が可能となり、ユーザー自ら秘密鍵のアドレスを決める事が可能となります。セキュリティ強化により、量子コンピュータ等の攻撃に対しても安全となります。 ③スマートコントラクトの簡略化・プログラミングの負担軽減 スマートコントラクトの簡略化により、プログラミングが簡素化され、プログラマーの負担を減らします。更に取引実行において、ガスコストの節約にも繋がります。 ④スケーラビリティ問題/マイニング難易度の向上 マイナーによって、手数料の高いトランザクションが優先的に処理されます。よって、安い手数料のトランザクションが残り、送金や取引が完了せず、取引承認の遅延が発生しています。これをスケーラビリティ問題と言います。 解決方法として、承認アルゴリズム/マイニング方式の移行(PoW→PoS)があげられます。PoS移行によって、マイニング時の電力消費量の低減や、処理速度の加速化に繋がります。今回のメトロポリスのビザンチウム・ハードフォークでは、PoS移行は途中段階にあります。移行を完成させる為には、先に「ディフィカルティボム」という問題を解決する必要があり、現在は「エテリアムアイスエイジ」に突入しています。 ディフィカルティボム問題・アイスエイジとは? 現在のイーサリアムの平均ブロック生成時間を確認すると30秒に到達しており、15秒の2倍のブロックタイムになっていることがわかり、つまり単純に考えて送金時間が通常の2倍であることがわかります。またこのディフィカルティ増加は指数関数的に増えていくため最終的には恐るべき速度でブロック生成できなくなっていきプロトコルが停止してしまいます。これを通常アイスエイジ(イーサリアムの氷河期)と呼んでいます。 (引用:https://ethereum-japan.net/ethereum/metropolis-hardfork-byzantium/) もう一つの解決策として、「シャーディング」(Sharding)があります。シャーディングとは、マイニングを実施する端末を複数のサーバーに繋げ、作業を分散させる事を言います。承認作業が分散される事によって、各端末の作業負荷の減少に繋がります。 PoS移行時への懸念 PoSのメリット: ①51%問題への対抗力向上 51%問題とは、個人・団体によって、51%以上が支配される事により、不正に二重支払いになってしまう事があります。この問題は、PoWで生じる問題として取り上げられていて、PoSに移行する事によって、51%問題に対して、より強力になります。 ②コスト削減 PoWにおけるマイニング(計算・演算)の際、高額な電気代が発生します。PoSの場合、マイニングを行う必要が無い為、電気代や設備代等のコストを大幅に削減できます。 ③競争に参入しやすい PoS移行によって、高性能コンピュータ等の高価な設備・技術を持たない一般人が競争に参入しやすくなります。 PoSのデメリット: ①一極集中が起こりやすい PoSでは、資産を保有する事によって利益が得られる仕組みとなる為、売買せずに溜め込む人が多くなります。しかし、Proof of Stake Velocity(コインの古さによって持ち分評価を下げる事)等の対策によって、この問題は解決します。 ②Stake Grindingやロング・レンジ等の攻撃 PoSに移行する事によって、Stake Grindingやロング・レンジ等(下記を参照)、様々な攻撃への対抗力が弱まります。 「There are also “stake grinding” attacks which require a trivial amount of currency. In a stake[2] grinding attack, the attacker has a small amount of stake and goes through the history of the blockchain and finds places where their stake wins a block. In order to consecutively win, they modify the next block header until some stake they own wins once again. This attack requires a bit of computation, but definitely isn’t impractical.」 (引用:https://en.bitcoin.it/wiki/Altcoin#Proof_Of_Stake) ロング・レンジ攻撃とは、攻撃者が、コインもデポジットもない”古い”鍵を持っていて、イベントに匹敵するバージョンを作り出すのにその鍵を使うことができるという攻撃 この攻撃は、伝統的なproof-of-stakeとセキュリティ・デポジットを基にしたPoSに対して、ジェネシス・ブロックで認証が終わるまで起きる基本的な攻撃 (引用:http://block-chain.jp/tech/long-range-attack/) 第4章【イーサリアムベースの他暗号通貨/トークン紹介】 イーサリアム・トークンとは? 「トークンセール、イニシャルコインオファリング(ICO)、イニシャルトークンオファリングまたはトークンジェネレーションイベント(TGE)として知られるプロジェクト開発のクラウドファンディングの方法として、dapp創設者によってよく作られます。ほとんどの場合、dappがリリースされるとき、トークンはそのdappの通貨または燃料として使われ、AWSクレジットと似たような役割を演じます。」 (引用:https://gatecoin.com/ja/ethereum/) それでは、DAppsの事例やDApps内で使用される通貨・燃料として頻繁に使用されるトークンの例を見ていきましょう。 AirSwap https://www.airswap.io プロジェクト概要 AirSwapとは、Michael Oved氏及びDon Mosites氏によって開発された「分散型ERC20トークン交換プラットフォーム」です。ERC20トークンを交換するための分散型P2PプロトコルであるSwapを実装したサービスであり、「取引所を介さずに個人対個人で直接ERC20トークンの売買」が可能になります。 オプションとして「Oracle」という機能を提供しています。 この機能を通じて、トークンの適正価格を世界中のマーケット/外部データソースから引っ張り出し、取引の際に参照する事ができます。AirSwapは、柔軟且つオープンな環境を提供し、トランザクションを促進すると共に、コスト削減や公正性(フロントランニングの防止等)を実現します。 AirSwapは一言でいうと、「分散型のERC20トークン交換プラットフォーム」です。この分散型交換システムは、英文表記するとDecentralized Exchangeとなり一般的に「DEX」と呼ばれます。ERC20トークンとは、ERC20という規格/基準に則って発行されたイーサリアムベースの仮想通貨で、この規格は9月12日にEthereum Foundationのエンジニアよって正式に制定されました。AirSwapは、Ethereumブロックチェーン上で、ERC20トークンを交換するための分散型ピアツーピアプロトコルであるSwapプロトコルを実装したサービスです。要約すると、Swapはプロトコルで、Swapを使ったサービスがAirSwapということです。 (引用:https://consensysmediajapan.com/2763.html) 今後のロードマップ AirSwapの公式ブログにて今後のロードマップが紹介されています。 (引用:https://blog.airswap.io/the-airswap-roadmap-1c1a3c3b20d3) Q4 2017 Token Trader:マーケットメーカーにP2Pを提供する Q1 2018 Token Market Place:DEXにおいて、P2Pを「当たり前の選択」にする Q2 2018 Partner Network:パートナーと組み、グローバルなP2Pネットワークを提供する   ICO概要 ・日時:2017年10月10日 午前10:10から午後10:10(EST) ・参加者数:12,719名 ・調達額:$12,600,000(約14億円)※2017年10月10日付近のレートで計算 ・トークン供給数:42,000,000AST Gnosis https://gnosis.pm プロジェクト概要 Co-Founders、Martin Koppelmann氏及びStefan D George氏によって、2015年1月より始動したプロジェクトです。Gnosisとは「イーサリアムベースの分散型予測市場プロジェクト」です。特徴としては、株式市場等の場面において、クラウド(群衆)の知恵を通じて将来の出来事を予測する先物取引のような仕組みとなっています。ユーザーはイベントの結果についてYESかNOを選択し(バイナリーポジション)、購入・トレードができます。 世界中のユーザーを接続するパブリックネットワークを提供し、限られた人材のみが意思決定を行う「中央集権型意思決定」から世界中の群衆が意思決定を行う「分散型意思決定」への移行を促進します。Gnosisは今後、保険、IoTやAI、金融市場等の様々な場面における活躍が期待されています。ConsenSys社も支持しています。 Gnosis(ノーシス)はイーサリアム上に構築された分散型予測市場プラットフォームです。Gnosisは誰でもあらゆるイベントの結果を予測できるオープンなプラットフォームを提供し、予測市場アプリケーションの作成やカスタマイズを劇的に単純化させることを計画しています。 GnosisはConsenSys社が支持するプロジェクトで、マーティン・コッペルマンとステファン・ジョージによって創業、2015年1月よりプロジェクトが始動しています。このFounderの2名は2013年に、ビットコインブロックチェーン上に予測市場プラットフォーム「Fairlay.com」を創業しています。 (引用:https://consensysmediajapan.com/2546.html) 今後のロードマップ Gnosisの公式ブログにて今後のロードマップが紹介されています: (引用:https://blog.gnosis.pm/2017-retro-and-the-year-ahead-42959d1380b5) Q2 2018 Crytoeconomic Experiments:暗号化経済における実験 Q1 2018 Reality Keys/Oracle Integration:Reality Keys等のプロバイダー統合 Q1 2018 GNO/WIZ Functionality:GNO/WIZ機能のリリース   ICO概要 ・日時:2017年4月24日 開始 ・参加者数:??? ・調達額:$12,500,000(約14億円)※2017年4月24日付近のレートで計算 ・トークン供給数:10,000,000GNO Blockmason https://blockmason.io/#home プロジェクト概要 Blockmasonは主に4つのプロジェクト(Credit Protocol, Foundation, Friend in Debt, Giftchain)に取り組んでいます。最終的にはこれらの4つのプロジェクトが相互的に連携しあい、一つのまとまったプロトコル/システムとして機能します。「送金=価値の移動」という概念から「権利の取引」への移行、また「分散型経済」における次ステップである「信用の民主化」の実現を図ります。チームはJared Bowie氏、Timothy Galebach氏及び Michael Chin氏の三名のCo-foundersを含みます。 Blockmasonはイーサリアムブロックチェーンのテクノロジーを駆使し、複数のプロジェクトを立ち上げ、相互的に連携し合うプロトコル/システムを開発しているチームです。主に貸借/信用に関する情報を、イーサリアム上に記録し取引できるよう目指しています。 今までの「送金=価値の移動」から「権利の取引」へ、本来イーサリアムが目指しているスマートコントラクトの概念を具現化するプロジェクトです。単なるキャッシュフローに留まらず、企業/個人はより大きな経済活動を行うことが可能になる仕組みと考えられます。 (引用:https://consensysmediajapan.com/2865.html) 4つのプロジェクトの基盤となるのが、Credit Protocolです。イーサリアム上で、貸借/信用/債務情報を記録・保管を可能にするプラットフォームです。下記ICO概要はBCPT(Blockmason Credit Protocol Token)のトークンセールに関する情報です。   ICO概要 ・日時:2017年10月8日〜11月8日 ・参加者数:??? ・調達額:$15,300,000(約17億円)※2017年11月8日付近のレートで計算 ・トークン供給数:33,700,000BCPT(トークン全体の29%) (引用:https://blockmason.io/creditprotocol/) Bancor https://www.bancor.network プロジェクト概要 2017年設立以来、イスラエルに本拠を置くBprotocol Foundationがリードし、Eyal Hertzog氏、Guy Benartzi氏、Galia Benartzi氏等のメンバーによって進められているプロジェクトです。「スマートトークン」という新世代の暗号通貨の標準を作る事を目的としています。第2次世界大戦後、ケインズとシューマッハが構想した世界の中央銀行としての役割を担う「幻の世界通貨バンコール」から、思想的影響を受けています。 「バンコール(bancor)は、1940年から1942年にジョン・メイナード・ケインズとエルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーが提案した超国家的な通貨のことを言う。第二次世界大戦後に世界経済を安定させるため、英国がブレトン・ウッズ会議でバンコールの導入を公式提案したが、アメリカ合衆国の合意をとりつけることができず、実現には至らなかった。」 (引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/バンコール) この新世代の暗号通貨は、市場における取引・売買量のバランスを保ち、継続的な計算に基づいた価格で提供されます。スマートトークンである「Bancor」は、ERC20(イーサリアムのトークン標準)の交換を行う為の「中間トークン」であり、リクイディティ・プールとして機能しながら市場に流動性の向上をもたらす事を目的とします。 プロジェクトはイスラエルに本拠を置くBprotocol Foundation(2017年設立)がリードし、LocalCoin Ltd.の主要メンバーであるエヤル・ハートゾグ、ガイ・ベナッティ、ガリア・ベナッティが中心となり開発が進められている。 バンコール・プロトコルは、イーサリアムのトークン標準であるERC20の交換をスマートコントラクトを用いて行うための中間トークンだ。Bprotocol Foundationは、バンコールのトークンであるBNTを「スマート・トークン」と呼び、イーサリアム・ネットワーク上のリクイディティプールとして機能させることを主眼においている。 (引用:https://btcnews.jp/5k8o872y11509/) 同社の公式ページ(https://www.bancor.network/protocol)によると、Bancorを用いる事によって、様々なメリットがあります: ・Convert tokens directly on-chain:トークンをオンチェインで交換 ・No counter party, no counter party risk:カウンターパーティのリスクを削減 ・All tokens welcome, big and small:値段や規模に関わらず、全てのトークンが対象となる ・Formulaic Price Stability:計算式による価格の安定性 ・Predictable Price Slippage:予測可能な価格スリップ ・Adjustable "Connector", adjustable liquidity:調整可能な「コネクター」及びリクイディティ ・Buy/Sell at same price, no spread:スプレッド無しに、同価格での売買   ICO概要 ・日時:2017年6月12日、10:00GMT 開始 ・参加者:10,885名 ・調達額:$152,300,000(約172億円)※2017年6月12日付近のレートで計算 ・トークン供給数:79,323,978BNT(トークン全体の50%) (引用:https://medium.com/@EthereumRussian/ico-details-of-bancor-network-bnt-tokens-8607bdc1685c)   トークンの配分/用途を表すグラフです: (引用:https://medium.com/@EthereumRussian/ico-details-of-bancor-network-bnt-tokens-8607bdc1685c) (引用:https://medium.com/@bancor/bancor-network-token-bnt-contribution-token-creation-terms-48cc85a63812) Grid+ プロジェクト概要 Grid+とは、ConsenSysチームが手掛ける、電力配電システムプロジェクトです。具体的には、パブリック・イーサリアム・ネットワーク上で登録と支払いを行う「分散型電力供給プロバイダー/マーケット」です。 グリッドの情報処理能力が発達していない為、電力コストの約38%が電力損失によるものです。Grid+は、既存のグリッドに新レイヤーを追加し、エネルギー市場の再定義を行うと共に、効率を上げるエネルギー配分方法を既存インフラに提供します。結果的には、リスクと管理コストを大幅に削減します。 「Grid +は、世界中のエネルギー界を再定義しようとする電力配電システムです。ブロックチェーン・ソフトウェア会社ConsenSysは、Grid +と呼ばれる新たな配電レイヤーの導入を発表しました。 イーサリアム・ネットワーク上に構築されているため、登録ユーザはリアルタイムで支払いを決済し、エネルギー使用を最適化することができます。 これにより、電力損失のために発生した管理コストが大幅に削減されます。」 (引用:https://consensysmediajapan.com/2938.html) ICO概要 ・日時:2017年10月30日 12:00PM(EST) ・参加者数:??? ・調達額:$44,713,000(約50億円)※2017年10月30日付近のレートで計算 ・トークン供給数:90,000,000GRID(トークン全体の30%)
【仮想通貨】ビットコインやイーサリアムはバブルなのか?

【仮想通貨】ビットコインやイーサリアムはバブルなのか?

2017/12/15 at 5:54 PM 0 comments
2017年12月8日、1ビットコインの価格が200万円を超え大きな話題となりました。そして、12月15日(金)現在ビットコインの価格は、180〜190万円台で落ち着きを見せています。ビットコインバブル、仮想通貨/暗号通貨はバブルとして弾けてしまうのでしょうか?世界最古の金融バブルであるチューリップマニアとの比較を基に、仮想通貨/暗号通貨の今後や可能性について考察やまとめを行います。 チューリップマニアについての簡単な説明 チューリップマニア(Tulip Mania)とは、17世紀のオランダ(当時:ネーデルランド)にて起こった世界最古の価格バブルです。ここで言われるチューリップは周知の通り、お花の「チューリップ」を指します。当時の貴族や富裕層にとって、チューリップは異国情緒あふれる珍しい花として人気を博し、高値で取引されていました。特に一緒くたではない特殊な色のチューリップは、当時の通貨価格で小さな家の購入が可能なほどでした。 しかし、その特殊な色のチューリップは突然変異で生まれるため、意図して栽培する事はできなかったのです。(現在、それはウイルス感染によるものと証明されています。)そこで、多くの庶民が一攫千金を目指し、そのチューリップを栽培し貴族に売るためにチューリップの球根を買い漁ったことが原因となり、バブルが発生しました。 以上の内容はペペラといっしょ(チューリップバブル:最古の金融バブルの凄さをわかりやすく解説)にてより詳しく説明されています。 ビットコインとチューリップマニアの曲線類似 以下のビットコインとチューリップマニアの価格レート推移曲線に注目してみて下さい。 (引用:https://static.seekingalpha.com/uploads/2017/11/21/saupload_DOHka7iWsAAsU4Q.jpg) 上図にて確認できるように、殆ど同じ動きを見せている事が伺えます。さらに現在、ビットコインはバブルであり、バブルはいずれ弾けるといった世論が増しています。チューリップを比喩に用いてビットコインを表す方も多く伺えます。欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は「ビットコインはチューリップの様なものです。」「投機の手段である事に疑いはないが、実際に通貨ではなく、銀行の方針に介入する兆しを孕(はら)んではいません。」とECBの会議で提言しました。 「“Bitcoin is a sort of tulip,” Constancio said at an ECB conference. “It’s an instrument of speculation ... but certainly not a currency and we don’t see it as a threat to central bank policy.”」 (引用:https://www.reuters.com/article/us-ecb-bitcoin-stability/ecbs-constancio-compares-bitcoin-to-dutch-tulip-mania-idUSKCN1BX26C) それでは、現在存在するビットコインを含む約700種類の仮想通貨はチューリップと同じ運命を辿ってしまうのでしょうか。 チューリップバブルの崩壊要因 チューリップバブル崩壊の要因は、チューリップの球根を引き渡す事ができなかった事があげられています。それは取引方法にも関連してきます。 チューリップの球根の売り買いは、“先物取引“として行われていました。チューリップの球根が収穫可能な春時期以前に値段を設定し、購入契約を結び、春に球根が出来上がった後、以前設定した価格で実際に購入する(セトルメント)といったフローでした。 「球根ができるのに時間がかかるので、今花壇(かだん)の中に眠っている次の春に手に入る球根を売ったり買ったりする約束して取引をしていたんだぺぺ!つまり、今でいう先物取引なんだぺぺ。」 (引用:http://pepera.jp/story_of_bubble/tulip_mania/ ) 基本的に売り手の人々は、原料となる球根を仕入れるため自身の家等を担保に設定し、大量の球根を手形決済していました。そして春の売り時期に向けて、球根を売る契約を結ぼうとした人(売り需要)が、買い需要を大幅に超える事になり、流動性が消失したと考えられます。 「暴落の理由らしい理由はなかったものの、春になると受け渡しの期日が来ることで、その前に売ろうとしたところ、買いが入らず、売りが売りを呼ぶ展開となったのではないかといわれる。」 (引用:https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20171205-00078915/) 現代社会(仮想通貨)との比較 崩壊が起こった理由は、当時の時代背景(現代社会では起こり得ない)も含まれると考えます。売り需要と情報量に関する観点です。以下、仮想通貨との比較を行っていきます。 チューリップは元々1530年に設立されたアムステルダム取引所で金融商品や金融サービスの先物取引として主に貴族や商人に取引されていました。つまり、チューリップとは特に貴族に対してのみ買い需要を有していたと考えられます。しかし、下記引用文の通り、その後庶民の介入による売り需要の異常な増大を生じました。 一方、仮想通貨に対する需要は、投資手段としての需要に限らず、多くの商品やサービスや現金に交換可能といった売り需要が常に多くあります。例えば、ギフト券、PC、食事、電気ガスといった公共サービスにまで仮想通貨の売り需要があります。つまり、チューリップにはなかった流動性を保っています。 「オランダでは、その地形や気候により花の栽培に適しており、特に好まれたのがチューリップ栽培であった。オスマン・トルコからチューリップが持ち込まれた当初は、貴族や商人など一部の収集家だけで取引されていたが、1634年あたりから一般個人も値上がり益を狙って、チューリップ市場に参入するようになった。」 (引用:https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20171205-00078915/) 次に、データ情報が可視化できていなかった事です。チューリップバブル時代には個人間での売り買いの記録は当事者が拡散しない限り知る余地がなく、また、それらすべての情報を記録しておく現在のデータベースのような技術・方法はありませんでした。そのため、流通量・需要規模を理解する事が不可能でした。しかし、仮想通貨では、ブロックチェーン上でのみ取引が可能になっているため、個人間の取引でさえ、ブロックチェーンプラットフォームにデータとして蓄積されます。 チューリップとは異なる仮想通貨の潜在的可能性 仮想通貨にはチューリップとは全く違った能力を兼ね備えています。上述しましたが、ブロックチェーンが仮想通貨の基盤となっている事です。 (引用:http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/latest/) 「ブロックチェーンとは分散型台帳技術と呼ばれ、データベースの一部(台帳情報)を共通化して、個々のシステム内に同一の台帳情報を保有するという考え方ができます。つまり、個々のシステムがそれぞれ台帳情報を保有する世界から、台帳情報の共有を前提としてシステムが連携する新しい世界へと変わっていくことを意味します。」 (引用:http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/latest/) 仮想通貨には、私たちの社会をより発展させる力を秘めています。現在、会社各々で管理している帳簿データシステムを、ブロックチェーン技術によってすべての会社個人が帳簿を共有する事によって会計管理が容易になり、さらにコスト削減・改ざんの不正を防止する事が可能になります。現在日本で乱発しているデータ不正問題の解決策にもなりうるかもしれません。 「製造履歴などの情報をブロックチェーン上で各社が共有するようになれば、データ連携も容易となり、台帳の更新時に参加者間で合意を取ることで、内容の正当性と一貫性を確保することが可能となります。そして、コストの掛かる第三者機関(仲介役)を立ち上げずに偽装や改ざんを防ぐトレーサビリティー環境を整備することが可能になります。」 (引用:http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/latest/) 仮想通貨の今後、考察まとめ 仮想通貨技術は未だ発展途上であり問題がないとは言えません。ブロックチェーン技術は分散型のプラットフォームであり、パブリックブロックチェーンは各台帳情報の整合性確認に一定の時間を要することため、リアルタイム性が求められる即時決済などの用途には向いていないといった問題もあります。 「ただし、ブロックチェーンは分散型であるがゆえに、ネットワークを介した各台帳情報の整合性確認に一定の時間を要することから、リアルタイム性が求められる即時決済などの用途には向いていません。またFinTechの波に乗って、既存ネットワークがブロックチェーンに全て置き換わることで低コストでの決済システムが実現するとの見方を示す意見もありますが、適用領域を正しく見極めなければブロックチェーンによる恩恵は受けられないでしょう。」 (引用:http://www.nttdata.com/jp/ja/services/sp/blockchain/latest/) そのため現在、仮想通貨技術をあらゆる外資系・日系大手企業が実用化するため、改善や用途見極めを画策しています。特に注目されるのは、Ethereum(イーサリアム:ビットコインに次ぐ時価総額を有しています。)です。 イーサリアムは独自のパブリックブロックチェーンを有し、スマートコントラクトといった個人が行った全ての契約をイーサリアムのブロックチェーンプラットフォームで行い、記録、管理することが可能になります。EEA(Enterprise Ethereum Alliance)というイーサリアム実用化を推進する団体が大手企業により設立され、イーサリアムが今後様々な面で活用されていくことに期待が高まります。Enterprise Ethereum Allianceは、JP MorganとMicrosoftを含む86社以上の企業で構成されています。 本サイト内「イーサリアムとは」にてイーサリアムに関してより詳しい説明が記されています。 「ユーザが独自に定義した契約(スマートコントラクト)・財産を扱うことができる柔軟性の高い仮想通貨です。また契約はチューリング完全な言語により記述することができ、中央機関なしに契約を自動執行できます。」 (引用:https://bitflyer.jp/ja-jp/ethereum) 対して、最もバブリーなビットコインですが、ついに”先物取引”が開始されました。チューリップマニアと近い、取引方法の導入により価格暴落といった可能性も考えられるかもしれません。しかし、売りの需要を生み出した背景がチューリップバブルとは違うといった上述の観点から、チューリップマニアのような急降下の可能性は低いのではないでしょうか。来週の価格推移に注目が集まります。 本サイト内【ビットコイン】200万円突破 先物上場ニュース相次ぐにて、より詳しい説明が記されています。
【音楽販売&著作権】KraftwerkやBjorkがブロックチェーンを活用

【音楽販売&著作権】KraftwerkやBjorkがブロックチェーンを活用

2017/12/06 at 7:05 PM 0 comments
自動的な決済が可能な音楽配信手段として、アーティストがブロックチェーンやスマートコントラクトを使用すると、現在の仲介業者を省いたネットワークを築くことができます。しかし技術進歩のトレンドを追って進化を続ける音楽業界において、ブロックチェーンの導入もまた小さな変化の側面にすぎません。 会場へのアクセスやアルバム提供の手段として、ブロックチェーンテクノロジーの分野に介入するミュージシャンがいます。 世界中の金融機関がブロックチェーンの波に呼応している今、知的財産のクリエイターもブロックチェーンに技術的可能性を見出しているのは当然のことです。 自動的な決済が可能な音楽配信手段として、アーティストがブロックチェーンやスマートコントラクトを使用すると、現在の仲介業者を省いたネットワークを築くことができます。しかし技術進歩のトレンドを追って進化を続ける音楽業界において、ブロックチェーンの導入もまた小さな変化の側面にすぎません。 私たちが音楽を楽しむ媒体は長期に渡って非常にさまざまに変化し、そして常に進化していきます。iPod NanoやShuffleのような比較的新しいものでさえ、音楽ストリーミングサービスが人気を集めているために、ブロックチェーンテクノロジーの分野に足を踏み入れています。MP3ファイルが間もなく廃止され、その代わりにAACのような強力なMPEGコーデックが、より低いビットレートでより良い品質を提供すると言われています。レコードは、ヒップスター愛好家たちのブームとなる機会を逃してしまったようです。 ファンが音楽を聴くためのメディアやプラットフォーム、またその精神までも日々変化していく中で、アーティストは自分たちの音楽を配信する手段として、ブロックチェーンプラットフォームに目を向け始めています。このような傾向がより強まれば、新技術によって混乱を避けられない次なる機関は、音楽出版社やレーベルとなるでしょう。 たとえば、伝説となっているドイツの電子音楽グループである「Kraftwerk」は、モスクワのクレムリン宮殿で、2018年2月13日に予定されているショーのチケット販売を管理するために、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン使用を予定しています。流行を広める最先端のミュージシャンであるKraftwerkが、Ethereum基盤のチケット販売を始めるのはファンにとってそう驚くべきことではないかもしれません。この方法を使ってコンサートチケットを購入するときには、モバイルアプリに「スタブ(stubs)=半券のようなもの」を保存することで物理的なチケットの必要性をなくし、廃棄物を削減します。会場は、EDCCによって管理されるチケットの販売を通じて、ある程度、自律的管理を達成することができます。ブロックチェーンを利用することで、消費者にもアーティストにも大きな問題であるチケット転売を防止するのに役立つでしょう。 BjorkやImogen Heapのようなアーティストも、暗号化通信とブロックチェーン技術を音楽に取り入れようとしてきました。 Heapは、Ethereumブロックチェーン上にニューシングル「Tiny Human」を公開することで、2015年に歴史に残りました。そしてこのプロジェクトは、Heapによって創られたビットコインウォレットアプリ「Mycelia」として成功しました。ConsenSys社は、バックエンドのエンジニアリングに携わって、スマートコントラクトを介した流通と取引を管理しました。 「Tiny Human」ブロックチェーンプロジェクトは、スムーズな販売ではなかったかもしれません(インターフェイスやEtherを入手する方法に関する知識の一般的な欠如によって、シングルを222販売し総売上額130.20ドルであった)。 しかし、ブロックチェーンが直面している障害=消費者の暗号通貨に対するリテラシーの低さ等、重要な課題に光を当てています。 Bjorkは英国のスタートアップ「Blockpool」と協力して、ブロックチェーンを通じた流通に着手しました。最新アルバム「Utopia」は、2017年11月24日現在、イーサリアム、ビットコイン、その他のさまざまな暗号通貨で購入可能です。アルバムをあらかじめ注文しているファンには、100枚のAudio Coins(プレス時には約0.20ドル相当)が贈られます。これは、限定版アルバムなどの購入をより容易にします。これは小さいながらも面白い仕組みであり、他のアーティストもインスパイアされ、ファンに独占的なコンテンツを提供する方法として暗号通貨のチャンネルを探り始めるかもしれません。 ブロックチェーンシステムが消費者の要求に応えるまでには長い道のりがありますが、技術を活用するアーティストによるこれらの試みはその過程の重要なステップです。   (ソース元記事:https://www.ethnews.com/musicians-are-tuning-in-to-blockchain-technology)